あるむなしさ
20代はホトリソでした。会社員時代の思い出です。自社製品用の半導体、いわゆるLSIを作る現場にいました。ホトリソというのは製造工程のひとつで、回路のパターンを形作る工程です。ニコンのステッパー、NSRの出始めの頃でした。1980年代ですね。
LSIを作るのは難しく、おっさん達が必死になってやっていました。インプラの後のレジストが取れないとか、現像の後にレジストの表面に薄皮が一枚めくれたみたいになったとか、機械が壊れたとか。トラブル続きでした。
30代でテスティングに移った頃だったか、TVのニュースでコーヒーカップを持ち上げるとメロディーの出るものを見てガックリしました。最新のLSIの応用だとか。光センサーとチップをコーヒーカップの下のお皿に埋め込んだのでしょう。
こんなくだらねえモノじゃあ、おっさん達の苦労は報われねえだろうなというむなしさを感じました。
最近YouTubeで、懐かしさから半導体製造関係の動画を見ようと思って探して、ASMLの EUV露光装置にまつわるものを見ました。液浸という言葉は聞いた覚えがありましたが、EUVとは何だろうと思ったらX線ですね。一台100億円以上する機械だそうです。
そうして作ったチップがスマートホンに使われるそうです。
EUV露光装置とかを据え付けた最先端の半導体製造工場で働く人々は、昔ボクの感じたむなしさと同じものを感じるでしょうか。それとも、スマートホンで迫真のゲームをしたり、超高性能のカメラを使えるようにすることに誇りを感じるのでしょうか。
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