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大事な物語

 宮崎駿監督の新作「君たちはどう生きるか」は見ていません。YouTubeで色々動画を見て、だいぶわかったので見なくても良いかなと思いました。

 なかでも、おまけの夜というチャンネルの柿沼さんの解説は良かった。起承転結の無い一枚の絵画のような作品とのこと。絵画だけを見て感動できる人は良いとして、適切なキャプションがあれば理解が深まり感動につながるだろうから、自分が美術館の学芸員になってこの作品にキャプションをつけてみましょうと言います。

 以下はボクの連想。

 ユバル・ノア・ハラリは「サピエンス」で、ホモ・サピエンスは7万年ほど前の認知革命以降、現実世界を、自分たちの作った幻想(物語)世界を介して間接的に生きることになったと述べています。神やお金や国や会社といった共同幻想。自我という個別の物語。

 私たちホモ・サピエンスは物語が好きというか、物語を必要としているのだろうと思います。本能では生きられないので。

 そうは言っても、共同幻想や自我の物語は作りものなので、うさんくさいです。そのうさんくささを紛らわす為にもお芝居や小説やマンガや映画などの物語を常に求めるのでしょう。戦争で死んだり、犯罪の加害者になったり被害者になったり、自殺したりするのは、うさんくささの犠牲かもしれません。

 自分はこのような物語を生きてきたけど君たちはどんな物語を生きるのだろう、という宮崎駿という優れた物語作者の遺言めいた作品なのかなと思いました。

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