安全なメモリーバックアップの作り方(理論編:その1)

安全なメモリーバックアップの作り方(理論編その1)

メモリーバックアップの自作を見ているとちょっと危ないな~と
思うものもあるので自作の際の個人的考え方を記載する。
まずは、理論の話。尚、一般の方にわかりやすくするため正確では
ない箇所もありますがご了承ください。また電気自動や、ハイブリ
ット車は除外し、通常のエンジンのみで動く車両で考えています。
また、バッテリー電圧は12V車で考えているものであり12V以
外の車も考え方から除外します。あくまで12Vのバッテリーで動
作する車両として記載してますのでご理解ください。
また文章のなかで言葉の意味が分からないという方は自作はやめて
置いたほうが良いと思われます。ご了承ください。

ここで言うメモリーバックアップは車やバイクのバッテリー交換の
際に電源が切れないように別電源を用意する事を言います。

1.なぜメモリーバックが必要なのか?
 いつを昔というのか定義が難しいところであるが、その昔車のエ
 ンジンの点火はディストリビューターが担っていた。キャブレタ
 ー(気化器)からインジェクター(燃料噴射装置)へ変わり、点
 火タイミングもマイコンがコントロールするようになってきた。
 ECUは最初はエンジン・コントロール・ユニットとして発達し
 てきたが、EPS(電動パワーステアリング)やパワーウィンド、
 電動ファン、オーディオ、ナビなどなど車の電装部品が増えてく
 るとECUはエレクトロニック・コントロール・ユニットと呼ば
 れるようになり、車載用の電装部品を総称してECUと呼ぶ事が
 増えてきた。
 ECUの中にマイコンが搭載されるようになりECU自体の学習
 機能などが備わると学習したデータなどを保持する必要がある。
 バッテリー交換の際に電源が切れると自動学習のデータ保持が難
 しくなるため車載のECUの電源保持としてメモリーバックアッ
 プが必要となってきた。
 そもそも車のECUってなに?って話はそのうちに書いて見たい
 と思う。
 図の引用元:https://ednjapan.com/edn/articles/0604/01/news015_2.html

01 なぜメモリーバックアップが必要なのか

2.ECUの仕組み
 まずはECUの仕組みついて。ECUはいろいろな半導体(電子
 基板についてる黒いもの)というIC(Integrated 
 Circuit:集積回路)で動作するようにできている。
 ちょー簡単に説明すると図1のように電源ICとマイコンICと
 駆動用ICに分けられる。*ICは LSI( Large Sc
 ale Integration:大規模集積回路)と表現され
 る事もある。
 電源ICとはバッテリーの12Vをマイコン用の5V電源を作っ
 たり(マイコンとしてはもっと低い電圧の場合もある)メモリー
 用の電源を作ったり駆動用ICでは高い電圧を必要とする場合も
 あるので12Vを昇圧して12Vよりも高い電圧を作ったりする
 場合もある。
 電源ICから供給された電源にてマイコンや駆動用ICが動作す
 る事で目的とするECUの動作を行う。

02 ECUの仕組み

3.メモリーバックアップが9Vで動作できる理由 
 ではメモリーバックアップが9Vで動くのかという点について説
 明していくと、電源ICの動作可能電圧範囲の最低電圧が9V以
 下で動作するように作られていれば、電源ICは動作可能である
 ためメモリーやマイコンICへ電源供給が可能となり、9Vの自
 作メモリーバックアップとして動作可能となる。
 例えばA車種という車のあるECUの電源ICの動作電圧は7~
 15Vだったとすると9Vで作った自作のバックアップメモリは
 動作可能となる。がB車種の電源ICは10V~15Vの動作電
 圧だとすると9Vのメモリバックアップでは動作しない事となる。
 A車種は動作するがB車種は動作しないという事がおこる可能性
 がある。なので、9Vで全ての車両に対して動作が保証できるわ
 けではないし、車両メーカーや部品メーカーはECUの仕様を開
 示してくれるわけではないので注意が必要となる。

03 メモリバックアップが9Vで動作する理由

4.9V電源のメモリーバックアップが危険と考える理由
 単純に電流は電圧の高いところから低いところへ流れる。車載の
 バッテリー電圧は12Vであり、9V電源のメモリーバックアッ
 プでは電流はバッテリーからメモリーバックアップへ流れる環境
 となる。
 メモリーバックアップが乾電池であればバッテリーと比較すると
 比べるものにならない位容量は小さい。乾電池に不具合があった
 りバッテリーの脱着などの際に過電圧が発生したり、作業ミスが
 あると乾電池の破損などの危険性が発生する。
 電流の逆流防止としてDiodeを入れる方法もあるが、過電圧
 などが発生した際はDiodeの耐圧を超える場合もある。また
 電気回路の世界では天と地がひっくりかえるということが瞬間的
 に発生する場合がある。この際にも逆流防止Diodeは全く約
 に立たない場合いもある。
 他にもあるが個人的に9Vのメモリバックアップは危険性がある
 と考えている。
 *普通に9Vでのメモリバックアップが販売されてますが、販売
  されているメーカーさんもそれぞれ考えがあるでしょうから
  これらを否定するわけではありません。個人的はリスク低減と
  してバッテリー電圧より高い電圧を推奨します。

04 9Vが危険

5.安全なメモリーバックアップの作り方(理論編)

 バッテリーは新品時12.57Vが基準でだいたい12.5V~
 13.0V程度位の電圧である。発電時は13.5V~14.5
 Vとなる。ECUの仕組みで述べたようにECUの電源ICの動
 作電圧は下限の電圧は不明でも上限は14.5Vよりはちょっと
 は高いところにあると推定できる。
 そうするとメモリーバックアップの電圧は発電時と同じ位の電圧
 である13.0Vより高く14.5Vより低い電圧であれば問題
 ない、という事となる。
 電圧は水圧と同じで高いところから低いところへ流れるのでメモ
 リーバックアップの電圧をバッテリー電圧より高くすれば安全が
 確保しやすい。
 ただしECUを壊してはいけないのでECU内部の電源ICの動
 作電圧以内にする必要がある。発電時の電圧から考えれば発電時
 の電圧程度になれば、バッテリー電圧よりは高くECUも壊さな
 い電圧にできると想定できる、発電時の電圧を考慮すれば13.
 5V~14.0V程度が理想となる。

 次回 自作メモリーバックアップの注意点に続く・・。
 

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