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【ポケカ】ポケモンカード終末論

こんにちは。Ryoです。


今回は、ポケモンカードにおける終末論についてお話していこうと思います。


終末論と言えば、
「黙示録」「カリ・ユガ」「ラグナロク」等々、
主に各宗教を中心に様々なものがあります。

それぞれに教えや信仰対象等に基づいた終末が存在するのですが、
同様にポケモンカードにも理論に基づいた終末が存在します。

ポケモンカードにおける終末とは一体どんなものなのか、
詳しく紐解いていきましょう。

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1.タイムアドバンテージと要求値

ポケモンカード終末論について語る下準備として、
皆様に共通認識として持っておいていただきたい考え方があります。


それは、
ポケカにおけるタイムアドバンテージと要求値についてです。

以前投稿した「ポケカのすべてを書きました。」という記事で詳しく述べたのですが、

https://note.com/cayhane_87/n/n7ad6aca48e2e

ポケモンカードにおいて最も重要なアドバンテージは、
ハンドアドバンテージ(手札の枚数)やボードアドバンテージ(場にあるカードの枚数)ではなく、

「タイムアドバンテージ」です。

どういうことか簡単に説明しましょう。

ポケカは、

①相手より早く攻撃に必要なカードを全て集め、
②相手よりダメージ効率の良いワザで攻撃し、
③相手より早くサイドを6枚取りきる

以上の3つの要素に全リソースを注ぎ込んで戦うゲームです。

たとえ自分の手札が1枚で相手の手札が7枚でも、
必要なカードを相手より先に全部引ければこちらが勝ちますし、
自分のポケモンについているエネルギーが2枚で相手のエネルギーが4枚でも、
こちらの1エネルギー当たりのダメージが相手の2倍以上であれば相手より先に相手のポケモンを倒すことができます。


この「自分と相手のどちらが早く云々」というのがつまりタイムアドバンテージという概念であり、

タイムアドバンテージを得るということは「自分の方が早い」ということになるので、
タイムアドバンテージを突き詰めていけば必然的に相手より先にサイドを6枚取りきることになります。

以上のことから、
ポケカにおいて最も重要なアドバンテージはタイムアドバンテージである、
と言えるわけですね。

もうひとつ、 タイムアドバンテージと密接している重要な考え方があります。

「要求値」です。

先述したポケカの要素②の"相手よりダメージ効率の良いワザで攻撃する"というのは、
より少ないエネルギーで高いダメージが出せる(=強い)ワザを持ったポケモンを使ってデッキを組めば達成するのは容易いです。

しかし、
①の"相手より早く攻撃に必要なカードを全て集める"という点を考慮すると話が変わってきます。

どんなに強いワザを持ったポケモンでデッキを組んだとしても、
引いてくるカードや先攻後攻がランダムである以上、
必ずしも相手より早く攻撃に必要なカードを集められるわけではありません。

むしろ、
与えられたワザが強いが故に動き出しにくいポケモンだってたくさんいます。

この辺のバランスを見てポケモンを選べるといいのですが、
大型大会等の「予選数回・決勝トーナメント数回」のように、
連戦連勝が必要なシチュエーションで多くのプレイヤーが候補にあげるのは、

相手より早く攻撃に必要なカードを"集めやすい"ポケモン(デッキ)です。

そういったポケモン(デッキ)は往々にして、
攻撃に必要なカードが極めて少ないか、
攻撃に必要なカードを集める手段が豊富か、
のどちらかであることが多いです。

ポケモンカードではこれを、
「攻撃の要求値が低いデッキ」と表現します。

すなわち要求値とは、
このターンあるいはnターン目までに集めなければならないカードの総量だと思ってもらって差し支えありません。

たとえば、
現実的かつ平均的に満たせる要求値を5としたとき、
要求値10のデッキは爆発力は高いが事故を起こしやすく(いわゆるロマン砲)、
要求値3のデッキは安定して同じ展開を再現しやすいデッキであると言えます。

大型大会で要求値が低いデッキが人気なのは、
連戦連勝を目標にする大型大会で事故負けを数回してしまうと、
決勝トーナメントに進めなくなるからです。

安定して戦えるデッキを持ち込んでプレイングとデッキパワーで勝つのが、
大型大会における定石と言っても過言ではないでしょう。

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要求値の話をもう少し続けます。

要求値には

・初撃要求値(攻撃を始めるのに必要な要求値)

・継戦要求値(攻撃を続けるのに必要な要求値)

以上の2つが存在します。

どちらの要求値も先述の「集めなければならないカードの総量」という意味ではあるのですが、
少し意味合いが異なります。

初撃要求値はその名の通り、
ゲームスタートから攻撃を開始するまでの要求値です。

最初のアタッカーにエネルギーをつけてワザを撃つまでの難易度のことですので、
攻撃に必要なエネルギーが少ないほど、
もっと言うと、
アタッカーがアタッカーとして成立するまでに必要なカードが少ないほど初撃要求値は低くなります。

ゲームにかかるターン数がどんどん短くなり、
1ターンの遅れが致命的になってきている昨今のポケモンカードにおいては、
デッキを組む際に最も重視するべきポイントでもあります。


一方の継戦要求値は、
初撃要求値をクリアして攻撃を開始した後、
2匹目以降のアタッカーの準備を整える際に必要なカードの総量のことを言います。

対戦開始時のサイドが6枚で、
アタッカー1匹が倒されて取られるサイドは多くて3枚なので、
少なくとも2匹はアタッカーを用意する必要があります。

いくら初撃要求値が低くても、
継戦要求値が高いとそれをクリアできなかったときに攻撃が止まり、
タイムアドバンテージを大きく損なうことになります。

このことから、
タイムアドバンテージを突き詰めるという点において、
継戦要求値が非常に重要な概念であることがわかると思います。

ただ、
取られるサイドが3枚のVMAXポケモンがメインアタッカーとなりつつある昨今のポケモンカードは、
取られるサイドが2枚のEX・GXポケモンが主体だった頃と比べて、
対戦中に用意しなければならないアタッカーの数が減り、
全体的な継戦要求値が下がってきたと感じます。

勝敗が着くまで途切れずワザを撃ち合いやすくなってきているというのは、
ポケモンのゲームとして正しい方向に進んでいると私は思います。

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以上がタイムアドバンテージと要求値についてのお話になります。


少し難しい概念ですが、
これらを理解していると対戦中に相手の継戦要求値を上げたり、
タイムアドバンテージが計算できたりするようになります。

ポケモンカード終末論もこれをもとに話していくので、
輪郭だけでもご理解いただけると幸いです。

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2.終末特異点「アローラフワンテ」

タイムアドバンテージと要求値について理解したところで、
記事の本題に入りましょう。

ポケモンカードにおける終末についてです。

プレイヤーは勝利のためにより強いポケモンを求め、
より強いデッキを組み、
そして練習します。

初撃要求値も継戦要求値も低く、
1エネルギー当たりのダメージ効率にも優れていて、
試合毎のブレが少ないデッキを今この瞬間もなお求め続けていることでしょう。

1回勝つだけではただの一発屋ですから、
本当に強いプレイヤーになるために、
"勝ち続けられるプレイヤー"を目指します。

100戦やって60回勝てればまあまあ、
80回勝てれば充分強豪でしょう。

ですが一度勝利を求めるようになったプレイヤーは、
勝利に飢えて更に上を目指したくなるものです。

対戦ゲームにおいて、
「勝ちたい」という欲求を持つのは極めて自然なことだと思います。

100戦やって90回勝つためには、
初撃要求値と継戦要求値を極限まで落とし、
使うポケモンの1エネルギー当たりのダメージも、
ゲームバランスに許される最大をとることが必要不可欠でしょう。

プレイングのブレを無くすために感情を捨て、
まるで機械の如くカードをプレイする技術も必要です。

引きのブレによる影響も極小に抑える必要があります。(単構築等)

そうしてひたすら勝利だけを求め続けた先に、
「100戦100勝」という1つの到達点が見えてきます。

その"点"こそがいわば終末特異点であり、
ポケモンカードを終末に導く「越えてはいけない点」です。

ポケモンカードに限らず、
あらゆるカードゲームにおいて100戦100勝するデッキなど存在してはなりません。

多様性およびランダム性の否定は、
カードゲームそのものの否定と同義だからです。

しかし、
ことポケモンカードゲームにおいては、
理論的に100戦100勝が可能なポケモンを作り上げることができます。

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タイムアドバンテージの観点から、
最速である後攻1ターン目から初撃要求値0で攻撃することができ、
継戦要求値0で攻撃し続けることが可能なポケモンこそが、
理論的に終末特異点と言えるポケモンです。

そのスペックを文字に起こすと以下のようになるでしょう。

アローラフワンテ

たね

タイプ:無

HP600

特性「ひとりでただよう」
このポケモンは、おたがいのポケモンが使うワザ・おたがいのポケモンの特性・おたがいが使うトレーナーズ・おたがいのポケモンについているエネルギーの効果を受けない。

ワザ「きんようびのであい」
0エネルギー 600
このワザのダメージは、相手のバトルポケモンにかかっている効果を計算しない。

このポケモンがきぜつしたとき、相手はサイドを6枚とる。

弱点・抵抗力なし

にげる0


0エネルギーで攻撃ワザが撃てるので、
初撃要求値は0です。

0エネルギーでワザを撃ち続けられることと、
サイド6枚分のポケモンであることから次のアタッカーを用意する必要もないため、
継戦要求値も0になります。

終末特異点である自分自身を一撃で倒せないと、
逃げられて別のアローラフワンテをバトル場に出され、
ベンチポケモンをバトル場に呼び出す要求を生み出してしまうため、
HP600の自分自身を一撃で倒すためにダメージは600としました。

なぜHPが600なのかは以下の記事に詳しく書いてあります。

(https://cayhanekun.hatenablog.com/entry/2019/09/28/110621)

簡単に説明すると、
現代のポケモンカードはサイド1枚あたりHP100分の価値があるため、
サイド6枚分のポケモンは必然的にHPが600になる、
というわけです。

サイド3枚分のVMAXポケモンのHPがだいたい300であるのも同じ理由です。

あらゆる要求値が0であるため、
デッキにアローラフワンテを1枚入れて残りの59枚をたねポケモン以外の好きなカードで組むことになります。

現存するどんなデッキも必ず要求値が1以上はあり、
その要求値を満たせなかった試合で要求値0のアローラフワンテに負けるため、
100戦100勝が可能なポケモンは唯一アローラフワンテのみです。

つまり、
このアローラフワンテがポケモンカードに登場したら最後、
対戦環境にアローラフワンテしか存在できなくなります。

貪欲に勝ち続けることを考えるなら、
要求値をクリアできないことによるテンポロスを引き起こす確率が0%のデッキを使わない理由がないので、
当然です。

そしてアローラフワンテが環境シェア率100%を占めるところまで進むと、
後攻1ターン目の「きんようびのであい」で100%全ての試合が終わります。

そうなるともう"そのゲーム"はポケモンカードゲームである必要性を失います。

終末特異点アローラフワンテによるゲーム性の破壊、
これがポケカ終末のシナリオです。

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突拍子もない話に聞こえるかもしれませんが、
多くのプレイヤーがポケモンカードの対戦で勝利することを望み続ける限り、
否応なしに終末特異点に向かって進み続けることになります。

なぜならアローラフワンテは、
プレイヤーがポケモンカードの対戦で勝利することにこだわり続けた成れの果てのポケモンだからです。

あなたが今「勝ちたい」と思ってデッキを組み、
要求値をクリアするプレイの練習を繰り返し、
新カードを見て評価を下すその一挙一動が、
アローラフワンテの丸い身体に終末特異点としてのアイデンティティを蓄えさせ続けるのです。

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3.まとめ

今回は、ポケモンカードの終末論についてお話してきました。

タイムアドバンテージと要求値の考え方を理解していただけた方なら、
アローラフワンテが「ぼくのかんがえたさいきょうのポケモン」以上に危険な存在であることはお分かりいただけると思います。

念のため補足しますが、
私はポケモンカードに終わってほしいとは微塵も思っていません。

逆に、
あえてこのように理論的な終末を明示することで、

そちらに辿り着かないようにカードをデザインし続けていただくことができるようになり、
ポケカの終末を食い止めることができます。


私はポケモンが大好きで、
ポケモンカードが大好きです。

だから、どうか。

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