日記:主語を広げて遊んだ話
「主語がデカイ言葉にろくなもんはない」
確かにそうだろう、そうと思わざるを得ない。
「これだから男は」
「これだから女は」
「最近の若いものは」
「団塊世代が」
「あの国の奴は」
主語だけを列挙したも関わらず、この後に続く文章はろくでもないんだろうなぁと想像できてしまう。
んで、捻くれ者の天の邪鬼な私は、実際に色々な言葉の主語を拡大して遊んでみようと思い立った次第なのである。
さっそく遊んでいこう。
「○○は死ね!」という悪口の主語を極大化してみよう。
「全人類は死ね!」
悪の帝王か哲学者のようになってしまった。多分こいつがラスボスだ。まぁろくなもんじゃないことに変わりはないな。次にいこう。
「貴方は素敵な人だ」というプロポーズのような言葉を拡大しよう。
「生きとし生ける者全ては素敵な人だ」
やっぱり主語をでかくすると哲学者になるのでは?もう少しためそう。
「お箸を持つ方が右手です」
さぁちょっとややこしくなってきた。主語が「箸」なのか「持つ方」なのか「右手」なのか、主語を広げるとどうなるのか予想がつかなくなってきた。片方、両方、いろんなパターンでやってみよう。
「世界を持つ方が右手です」
スケールがでかすぎる。急に創世神話めいてきた。多分左手には虚無とか滅びを持ってるんだろう。
「お箸を持つ人類が右手です」
ふむ、言葉として意味を成していないように思える。どうやらここは主語ではなかったらしい。次にいこう。
「お箸を持つ方が全国民です」
お箸共和国が爆誕してしまった。まぁこの言葉の主語はやはり右手だったのだろう、一番それっぽい。最後に全部の語を拡大してみよう。
「全人類を持つ世界が宇宙です」
哲学的すぎる。SF小説の世界説明か?
やっぱり主語をでかくすると哲学者になるのでは?
いや、今のは例が悪かったのかも知れない。
今度はちゃんとろくでもない言葉からチョイスして試していこう。
「最近の若者は礼儀がなってない!」
いかにも老害な言葉だ。若者とひとくくりにしているせいで礼儀正しい若者が居ないかのようなセリフ。実に丁度いい。早速主語を更に広げてみよう。
「歴史上の全人類は礼儀がなってない!」
お前は神か?
外宇宙から飛来した古来から存在する神なのか?
いや、今のは確かに私のやり方が悪い。ついつい主語じゃない所まで極大化してしまった。だってその方が楽しそうだったもんで。
最後にもう一度だけ試させてくれ。
「女に仕事が務まるか!」
実に最悪のセリフだ。男女差別、男尊女卑の権化のようなセリフだ。早速もてあそんでみよう。
「人類なんかに仕事が務まるか!」
アカン、この世界は機械に支配されている。完全なディストピアだ。
きっとマザーコンピューターに全てが管理されて、人類は保護対象生物として生かされているんだろう。市民、あなたは幸福ですか?
まぁとにかく、結論は出た。
「主語がデカイ言葉にろくなもんはない」
この仮説は、正しかった。
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