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手前味噌狂

 自家製味噌を作ると「手前味噌ですが」ってリアルで言えるのが面白い。こそばゆい不思議な気分になる。配布先は同僚、後輩、先輩方、担当マッサージ師、担当美容師、実家などにとにかく配りまくる。残りはウチの分。なるべく変わったことはせずに美味しく作りたい。今年も無事に味噌開きをし、配り終えたところで書いている。無事にと言うのは、万が一でも腐造になってしまうと廃棄するしかなくなるので、開いた後の安心感は半端ない。だから無事にとつく。

 材料は適当にネットでポチッと出来る汎用品を選ぶように心がけている。作り始めて9年目になるが、大豆と乾燥麹は産地やメーカーを替えていない。塩の種類や生麹を追加したりを試しながら美味しい味噌を目指す。今年の材料はこちら✍

◇材料(参考:2023年出来高約10.6Kgでした)

伊勢惣「みやここうじ」乾燥麹(3kg)
北海道産大豆(3kg)
塩(沖縄産藻塩1kg+伯方の塩0.1kg)
漬け物用のビニール袋2枚
その他ラップ、琺瑯の樽、重石、アルコール布巾など。大きいボウルがあると非常に便利。

◇作り方

1.前日のうちに大豆を選別し、よく洗い一晩(8時間以上)水に浸ける。
2.翌日大豆を圧力鍋で煮る→マッシャーなどで潰す→冷ますを繰り返す
(大豆は手でつまんでぶしゃーっと潰れるくらい。一度に大豆を煮る鍋が欲しい…😢)
3.大きいボウルで乾燥麹と塩をまんべんなく混ぜる(塩麹)
4.ビニールの中で塩麹と30℃以下に冷えた大豆をまんべんなく混ぜる→ひたすら練る
5.ソフトボール大の味噌玉を作る。この時味噌玉がぱかっと割れるくらいの硬さを目指す。
6.綺麗に洗ってアルコール消毒済の琺瑯の樽にビニール袋をセット(ビニールがなくても良い)
7.味噌玉を投げ込む。容器の底へグーパンをしながらとにかく空気を抜く
8.最後に表面を粗塩で蓋をする
9.ラップをかけ、念入りに汚れた部分をアルコール除菌で綺麗にしてから極力密閉して重石をする。冷暗所で保管。(ウチは納戸にぶち込む)

 寒仕込と言い、寒い1月〜2月に仕込んだらウチの場合9月〜10月に開けている。カビに注意し、樽の中のムラを上手く混ぜながら小分けにして保管。この時たまり醤油が取れる年もあるので、味噌本体に混ぜずにすくい取るのも良い。色が濃い田舎味噌は豚汁がおすすめ。最近TVで観た味噌の炊き込みご飯なんかも良かった。書いててお腹が鳴った。

 配り終えて大事なのは人の感想。これがなかなか聞きづらい。正直にいろいろと伝えてくれる人を見つけるとどんどん配りたくなる。手前味噌の良いところは味噌談義を出来る人を見つけて次に活かせること。いや、活かせなくてもいろんな話のネタになるのが楽しい。悪いところは、少しでも自信がないと配る時にとても緊張する。美味しくないかもとか申し訳無さを抱えてお渡しする羽目になる。なので消毒なんかは念入りになるし、丁寧に作業をするようになる。煮上がった大豆をこんちくしょーとは潰さないし、塩麹と大豆を練る時の全身運動は既に職人気分。味噌玉を樽へ投げ込む時も怒りはない。美味しくなーれ的なまじないはとうに呟かなくなり、ほぼ無心。仕込んだ時、無事に味噌開きを終えた時、お配りして喜ばれた時なんかがやってて良かったなって感じる。最後に家族と食べてほっとする、を毎年繰り返す。

 寒仕込みをするには、年末までに材料を買い揃える。次は藻塩の配分を減らして、違う粗塩を試したい。急に全部を変えると失敗が怖いので、にゃんこの餌やり同様配分を変えつつ別のものに切り替えを検討する。記念すべき10年目の自家製味噌も美味しくなりますように。無心と言いつつも、怨念がこもってんじゃん。これだから味噌狂は怖いんだ。ふふ。



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