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 花を追って住宅街や公園を散歩するのが好きだ。まだ寒い時期に咲く梅や沈丁花は春の前哨戦。ハクモクレンが咲くと今でも玉蘭という名を思い出す…少し漫画ネタに話がそれた。満を持して桜の季節に入るとソメイヨシノから、開花が遅い八重桜まで一気に駆け抜ける。そしてすぐにツツジがみっちりとしてくる。あ、藤棚も気を付けて見ないとあっと言う間に過ぎる。新緑の気持ちの良い日が続くと、モッコウバラが炒り卵のようにもこもこと咲く。紫陽花は曇りの日にも映えて気持ちが良い。夏が過ぎ金木犀が香ると、柿が鈴生りに色付いて木々が紅葉してくる。底冷えして雪がちらつく頃椿が咲き始めると一周り、また梅はまだかとそわそわする。

2006年8月、銀座
一度だけ展示会に参加する

 20代の頃、花屋さんのフラワーアレンジレッスンに通っていた。教室で習うよりも”店”というのが良かった。花の香りに包まれながらフラワーアレンジの基礎を教えて頂く。まるで自分が花屋さんにでもなったような気分を味わえた。細工もののリースが作れるようになり、着々と道具が増えてくると「こんな仕事もあるんだ…」と頭の中がお花畑になる。正しくドハマりした友人がお花の海外留学&花屋へ転身した時はマジリスペクト状態だった。転職願望をくすぐられたものの、私には踏み出せない。思いを断ち切るように、他の教室のアレンジレッスンや華道もちょびっとかじる。後ろ髪たらったら。

2014年12月、正月飾りのアレンジ

 30代になるとレッスンには通わず花屋へ通うようになる。自己流開眼?いえいえ、単純に花に触りたい。月一回、予算を決めて花を選ぶことにしたが、これがかなり難しかった。レッスンでは既に花材が決められている。配色、サイズ、形、全てを自由に自分で選んでいいですよと言われると、案外立ち止まってしまう。それに予算!無尽蔵に買い足せば何でも出来てしまうので、この予算設定が大事だった。確か2500円以下にして、どれをメインにしようか、ラインとマスやグリーンはどうする?花材をじっくり選んで作るアレンジは、習っていた頃とは異なるわくわくがあった。

2015年12月、正月用の松飾風リース
代用海老に旦那さんのおもちゃが立つ(特撮ファンに怒られろ)
2017年1月
猫を回避すると飾る場所が限られてしまう

 お花を始めて季節感を大事にするようになった。40代になりアレンジをする数は減ったけれど、季節を感じる事自体は変わらずに残っている。いやむしろ増えたようにも思う。ご近所のお庭に咲く金木犀や、桜はお寺や公園、街路樹の桜並木を見つけるのも楽しい。百日紅の並木なんて見つけるとその珍しさと可愛さにうきうきする。薔薇は家の外壁に育てていらっしゃるお宅をいくつか記憶しているので、時期が来るとふらふらーと通りすがりにその美しさと香りに癒されている。そんじょそこらの公園よりも凄いお宅があるんすよ👀言えないけど!年がら年中、花を追いかけて自ずと覚えた季節感。これが旬の食材を追いかける私の食い意地にもつながる。仕事で一年を数えるのも一つだけれど、季節を数えても良いじゃんね。ミュージカル映画の中で『Seasons of Love』という曲が降って湧いてきた。”How do you measure, measure a year"って歌詞好き。観て。

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