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僕が最後に出会えたささやかな幸せ

https://www.youtube.com/watch?v=PUDyDIEbc8Q&list=RDPUDyDIEbc8Q&start_radio=1

電車の人混みの中で見かけたとっても綺麗な人。素敵な笑顔はまるで天使のよう。でも別の男と一緒にいるし、僕にはやることがあるから、二度と会うこともなきゃ一緒にいられることもない。そんな行く末に長く続く幸せなんてないことは分かってる。でもこの瞬間の幸せを知ってほしい。そんな曲の独断と偏見に満ちた解釈です。


My life is brilliant
My life is brilliant
My love is pure
I saw an angel
Of that I’m sure
She smiled at me on the subway
She was with another man
But I won’t lose no sleep on that
Cause I’ve got a plan

僕の人生は最高だ
なんて最高な人生なんだろう
僕の愛は純粋なんだ
天使に会えた
間違いなく天使だった
地下鉄で僕に微笑みかけてくれて
他の男と一緒にいたけど
でも別に気にすることじゃない
だって僕にはやることがあるから

何故「My life is brilliant」か。wonderfulでもgreatでもなく、brilliantなのか。人生がbrilliant、すなわち、僕の人生は明るく煌めいていると言ってるわけだが、本当にそうだったのだろうか。なぜ歌はこの一言から始まるのだろうか。なぜ呟くように冒頭に一回、その次に一回、二回もこの台詞を繰り返すのだろうか。そんな疑問が次々と浮かんでくる。

電車の人混みの中で見かけた美しい人。明るく煌めいているのは僕の人生じゃなくてその人。僕の人生はbrilliantじゃなかったけど、「plan」の直前にそんな綺麗な人を見かけた僕はなんて幸運なんだろう。「見かけた」ことも「煌めく」ことも決して続くことのない刹那的なこと。まさにこの瞬間に幸せを感じたからこそ、台詞はmy life is brilliantじゃなきゃいけない。微笑みの天使に会えたことで、僕の人生はbrilliantなものになった。

まるで納得したように二回呟くmy life is brilliant。終わり良ければすべて良し。僕はこれから死にに行く。



You’re beautiful
You’re beautiful
You’re beautiful, it’s true
I saw your face in a crowded place
And I don’t know what to do
Cause I’ll never be with you

君は美しい
本当に美しい
君は美しい 本当さ
人混みの中で君を見て
どうしていいのか分からなかったよ
だって、もう二度と会うことはないから

それはもうハイになってしまっている僕。地下鉄の喧騒に煌めく(brilliantな)その美しさに見惚れてしまう。でもふと我に返る。二度と会うことはないんだ。



Yes, she caught my eye
As we walked on by
She could see from my face that I was fucking high
And I don’t think that I’ll see her again
But we shared a moment that will last till the end

そう、彼女のことが目に止まったんだ
ちょうど歩いてた時
きっと彼女は僕の顔からそりゃもうハイになってたことが分かったはずさ
二度と会うことはないんだ
でも最後のその時まで続く一瞬をシェアできたんだ

ささやかに僕なりの馴れ初めを語ってみる。少しはにかむように。二度と会うことはないけど、最後のその時まで消えることのない一瞬を分かち合ったことが嬉しかった。彼女にとって僕は同じ地下鉄に乗り合わせたただの同乗客。彼女はきっと目が合ったからにっこりしただけなんだろう。でも僕にとってその一瞬は、ちょうどいいタイミングでシャッターを切ったように、ずっとずっと、最後の時まで残ることが嬉しくて仕方ない。だってもう二度と会うことはないんだから。



You’re beautiful
You’re beautiful
You’re beautiful, it’s true
I saw your face in a crowded place
And I don’t know what to do
Cause I’ll never be with you

君は美しい
本当に美しい
君は美しい 本当さ
人混みの中で君を見て
どうしていいのか分からなかった
だって、もう二度と会うことはないから

煌めく彼女の笑顔に、ただyou're beautifulとしか言えないくらい、僕は見惚れてしまう。でもやっぱり、二度と会うことはないだろうとふと我に返る。

La la la la
La la la la
La la la la la

You’re beautiful
You’re beautiful
You’re beautiful, it’s true

君は美しい
本当に美しい
君は美しい 本当さ

これからの僕のplanとは対照的に、僕は鼻歌でも口ずさみながら軽やかな気持ちになっている。君はこんなにも美しい。幸せなその一瞬を心に留めて、僕はただただ彼女の美しさに心を奪われている。


There must be an angel with a smile on her face
When she thought up that I should be with you
But it’s time to face the truth
I will never be with you

微笑みの天使はいたんだ
仮に彼女が僕と一緒にいたいと思ってくれたとしても
でも本当のことに向き合わなきゃ
もう二度と会うことはないんだってことに

もう二度と会うことはない。見惚れてしまうほ美しい人を目の前にしながらも、it's time to face the truth(本当のことに向き合う時だ)。同じ地下鉄に乗ればまた会えるかもしれないという期待はしない。本当のことではないから。本当のこととは、見かけた綺麗な人と僕の「plan」。

そして、まるで納得したように、何かを諦めたように、それでいて潔い一言で曲は終わる。I will never be with you. 終わり良ければすべて良し。僕はこれから死にに行く。

saw、brilliant、caught my eye、shared a moment、endなどの語感、最後まで明確に述べられない僕のplan。どこか切ないメロディに乗せられた僕の気持ち、それらから、死に向かう僕が最後の最後に出会えた一瞬の幸せを歌っているようにしか思えない。そんな曲でした。

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