【第2話】シイキビ兄さん
開店して2週間ほど経った頃。
口開け(その日の1組目のお客様)で1人の小柄な男性が来られた。40代ぐらいの少しハーフかクォーターにも見える男性。
「お姉チャン1人でやってんの?」
と訊かれ、
「はい😊」
と答えると
「へ〜。シイキビ」
と。
「???シイキビってなんですか?」
「厳しい」
「ん???何がですか?」
「ココ。この場所。俺ずっと大久保に住んでっけど、ココ何が入ってもすぐ潰れんだよ。一つ前がケバブ屋だろ?できたと思ったらいつの間にか潰れてたよ笑」
実際、うちがこの物件借りる前は3年も空き家だったらしく、トルコ人のケバブ屋は諸事情によりたったの3ヶ月で撤退し、大久保駅南口で今もお店をされてる。
「その前がおばあちゃんがやってた立ち食いそば屋なんだけどよ、味はそこそこ美味かったんだけど、立ち食いそばなのに出てくんのめちゃくちゃ遅ぇの笑。注文入ってから天ぷら揚げるから急いでる時に入ったら大失敗。俺5回も行ってねぇし、結局5年ぐらいで辞めちったんじゃないかな」
「そうなんですね……」
「その前の立ち食いそば屋だけめちゃくちゃ長かったんだよ。夫婦でやってて20年ぐらいやってたのかなぁ?速い安い美味いで大繁盛してたよ。」
「へーーーーー!!なぜ辞められたんですかね?ご高齢で?」
「わかんねぇけど、その時はまだそんな年いってなかった気がするから、繁盛して儲けてどっか他のデカいとこ移ったんじゃねぇの?」
「あ〜、凄いですね😳」
「いや、知らねぇけどな笑」
なるほど、うちの店は厳しいと。
「ふ〜ん、見とけよ。うち意外と根性あるから、シイキビ兄さんに"俺そんな事言ったっけか!?"ぐらいにヤッてやっかんな」
と、声にこそ出さなかったものの、
「そうなんですね😊じゃあ頑張ります♪」と、その時は可愛く答えておいた。
そして1周年を迎えた時、シイキビ兄さんにこの時の話をしたところ、
「俺そんな事言ったけか!?」
と、そのまんまの答えが返ってきた笑
「言ったよ笑。うち、"この人何言ってんの?ナメんなよ"ぐらいに思ってたからめっちゃ覚えてる」
と言うと、
「へーーーーー!!じゃあ俺のお陰で反骨精神湧いて頑張れたって事か!!」
「は?何言ってんの?元々最初から1年で辞める気も無いし、そんなんだったら最初から店やんないわ!!」
って、シイキビ兄さんそれ以来、この覚えてもない開店2週間目の出来事を、まるで"あの時の俺のお陰"ぐらいに自ら語る様になった😅
もし当店でそんな話をされてるお客様がおられたら、それがシイキビ兄さんです笑
今は"おいちゃん"って呼んでますけどね。
そして先日14周年を迎えましたけどね🤣
浜松市天竜区水窪の新店和泉屋の屋根と外壁の補修工事に使わせて頂きます。 よろしくお願い致します。