【第1話】ある女性の話。
その女性は、当店の開店当初、いや、まだ店の工事中の時から話し掛けて来た。
「ここ、何ができるの?」
から始まって。
うちが糸ノコでカウンターをギコギコしてようが、サンダーで磨いてようがペンキ塗りに悪戦苦闘してようが、人の都合もお構い無しに話し掛けてきて、内容はその女性の身の上話。
サンダーの音と電車の音と自分本位な身の上話で時々何を言ってるのか意味がわからない時もあるけど、そんな時はテキトーに相槌を打ってる。
とにかく、北関東訛りのある早口で身の上話しかしない。
お歳は当時