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   なぜ藤沢だけが

 寒い風が吹いている。外に出ると、のどかなトンビの声が聞こえる。遮るもののない広い空は、どんなにか寒いだろうと思うが、その声は普段と変わらないような気がする。
  美容院に行くと、藤澤から来ているという人の話が出た。何かというと「藤澤はよかった。」と言うそうだ。「そんなによかったのですか。」ときくと、「人の品格が違う。」というのだそうだ。品格、人格、どこがどのように違うのかは分からないが、藤澤の人は品格があり、このあたりの人には品格がないということなのだろう。どのような人達と付き合っていたのかもわからないが、例えば上流階級の大使とか学者、博士級の人との付き合いで、この辺の人と話題が違うというのであれば、それはそれで仕方のないことだろう。だが自分が品格のある人と付き合いのある、品格のある人間だと自慢したいのなら、全く品格のない人だと思う。本当に品格のある人ならば、誰とでもどんな階級の人とでも普通に話せるのではないだろうか。私は、そういう人でありたい。最も私にはそんな自慢できるような品格もなく、人格者でもない。ただの田舎者でしかない。この土地に馴染み、この土地の人と話を合わせてお付き合いできる、それだけでいいと思う。品格というものは、外から見えるものではなく、自然ににじみ出るものなのだから、あえて口に出して言わなくてもいいのではないだろうか。

                                                                                  (H23.12.6)


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