見出し画像

宇宙飛行士の持ち帰ったものは

 携帯電話のCMで、犬が宇宙飛行士の古川さんと会話するものがある。その古川聡さんが、宇宙から帰って来た。もうこのコマーシャルは終りだと言う人がいたが、今度は犬が宇宙へ行った。何人の宇宙飛行士を見ても、穏やかな表情で、しっかりした受け答えで、的確に表現しているのには感心してしまう。厳しい訓練に耐え、それくらいは何とも思わないように鍛えられているのだろうが、宇宙から戻って疲れも体調不良もあるだろうに、そんなことは全く感じさせず、にこやかに応対している。
  古川さんはカザフスタンのー20℃の雪原に降りた。無重力で筋肉が弱った体を椅子に支えられ、記者達の質問に答えている。「重力を本当に感じています。重力のおかげで座れますから。」「冷たく新鮮な空気、息ができる空気がまわりにたくさんあるのはすばらしい。」と宇宙からの帰還者ならではの答えだった。交代要員の遅れで野口総一さんの記録163日を抜くことになったそうだ。野口さんも笑顔で出迎えた。山崎直子さんの帰還後の著書『夢をつなぐ』の中で『どんな存在も決してムダというものはなく、世の中の全てのものは意味がある』と書いているそうだ。『飛行士達は、日本語で伝える天空体験の数々は等しく地球と人間の尊さ愛おしさを語っているが、その優しさの何割かは、宇宙から持ち帰ったものらしい』と書いた人がいたが、遠く離れて地球の美しさ、尊さ、愛おしさが見えるのかも知れない。お父さん犬は、地球に帰還したときに、どんなメッセージを発するのだろうか。

                                                     (H23.12.7)
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?