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     雪はこわい

 風が冷たい。冬型の気圧配置で、どこも気温が低く寒いようだ。会津地方は雪がかなり積もったようで、49号も磐越道も閉鎖されたという。主な2つの道路を閉鎖されたら、抜け道を知っている人はいいが、知らない人はどうなるのかと他人事でも心配になる。
  49号線ではスリップしたトラックが道を塞ぎ、次々と車が止まり、300台以上が立ち往生したそうだ。子どもや高齢者もおり、体調の悪い人もいたという。国土交通省郡山国道事務所は、昨日除雪を行う一方、ドライバーに食べ物を配ったり、車への給油作業なども実施した。陸上自衛隊も出動して、除雪、車の救出に全力をあげたという。今日も大雪になりそうだ、ということだ。
 2年前だろうか。叔父の納骨で会津に行った。出発時は何事もなかったが、猪苗代あたりから雪がちらつき始めた。お墓に行くときには、もう雪を除くか踏み固めないと進めないほど雪が積もっていた。それでもなお大粒の雪が止むことなく落ちてくる。「早く帰りましょう。」と言う私に、主人は「大丈夫だ。」と全く心配していない。食事をご馳走になり、それでも少し早めに出発したが、すでに磐越道は通行止め。一般道を走るうちに少しずつ車が繋がってきた。若松を抜けた大きな坂の途中でトラックが斜めに止まってしまい、全く止められたわけではないが、1台ずつわきをすり抜けて通るのに時間がかかるのだ。道路の端の方でタイヤ交換をしている車も数台あった。雪景色はすばらしかった。主人は雪道に慣れているし、スッタトレスタイヤをつけていたのでそれほど心配はしなかった。ようやくのろのろから解放されて磐梯熱海まで来ると、空には本当に降るような星が出ていた。さっきまでの雪は何だったのだろうと、夢を見ているような気分だった。あのときはのろのろでも走れたからよかったが、もし動けなくなっていたら、と今考えると恐ろしくなる。
 河井酔名は『雪は怖い。小さな一片が粉のように、花の舞うようにちらちら降ってくるだけだが、地を隠し森を隠し、遂には人間の生命を隠そうとするのだから恐ろしい』と書いているそうだ。ちょっと間違うと生命の危機にも陥りかねない雪は、美しい姿をみせつけながら、今日も降っているのだろうか。

                      (H22.12.27)

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