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◆カタリナ・プロジェクトアーカイブ【電脳都市編】◆

本記事は、カタリナ・プロジェクト三周年に合わせてWorldTypeに蓄積されている資料を加筆修正し、公開するものである。

一部の都市はVR-SNSのcluster上に体験コンテンツとして再構築されているが、当然ワールドとしての使用に合わせて内容の落とし込みを行っている。

また、一部の都市は次期創作に備えた内容の修正を盛り込んでいるが、この内容が後々別のコンテンツで実際に使用されるかは現状不明確である。

◆電脳都市の仕組み

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電脳都市とはカタリナ・プロジェクトの世界で使われている大規模メタバース「メガロチェイン・ネットワークス」の構成単位となる電脳空間である。正式名称はコンティネント(大陸)であり、電脳都市は中国語圏から広まった通称とされている。

(私達のよく知る多くのVRSNSと異なり都市は単一インスタンス制でそれぞれ独自に管理運営され、ポータルで繋がり合っている。また、ユーザーはそれぞれどこかの都市に所属している。これはSNSとしての仕組みにおいてマストドンを参考にしたためである。)

都市はユニークナンバーを抱えており、運用終了した場合でも現行欠番となっている。実際、アクティブに運用されている都市は全体の3分の1から4分の1とされている。

◆№784 トッシャーシティ

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直訳すると「どぶさらいの街」。ポータル登録人口16000人。元々は隠遁者が静かな区画を求めて移り住んだエリアであり、あまり知られていなかった。近年、旧時代電子文明の探検や遺産の研究を行う人々によって活況を呈しており、一種のゴールドラッシュとなっている。

(カタリナ・プロジェクトの舞台。初稿ではレガシーオーシャンとどちらが母体なのかは決まっていなかった。現設定においては、この街の海洋区画がスターダスト流入を司る貯水池の一つと融合したものとされる。)

「そうだな、だがそうも言っていられない者たちもいる。
この一か月で、良くも悪くも都市の様相は大きく変わってしまった。」

(LegacyOceanReport第一章のラストで電脳海底遺跡「二十世紀都市」が崩落、採掘事業は大きく衰退した。なお、cluster向けワールドとしては「ステラーラウンジ-night-」がこの都市に所属する。)

◆№238 ヴェイパーライダー

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ポータル人口21000人。VaporWaveをテーマにした観光商業都市で、都市内部は常時深夜2時相当の夜空を映し、ピンク色の光と靄がかった空気が街を覆う。

1980年代リバイバルな映像や演出は実は当時のものをサンプリングしたものではなく、当時繁栄を極めるも後に没落したアーティストが、食い扶持を求めて制作したものである。

公にはされていないが、実はこの視覚効果には心理学に基づいた弱い催眠効果があり、都市に入って暫くすると時刻に関わらず頭がぼんやりしてくる。商業地区ショップの店員がサングラスを掛けている事が多いのは、この催眠効果に対する予防の意味合いがある。

また、稀に催眠に伴う高揚感に支配された人々が集団で喚き散らし、半ば暴徒化する事がある。こうした場合、街灯等に設置された警報装置を起動することでキャピタルマスターに通報することが可能だが、意図的な誤報と判定されるとペナルティを食らうためあまり機能していない。

(LegacyOceanReportは元々「vtuber文芸博覧会」に出展した「電子夜景に照らされて」という作品から始まったものであり、その舞台であるここは世界観のはじまりの地とも言える。ちなみに車やバスを持ち上げられるのは、上記の「暴徒化」を再現"してもらう"ためである。)

◆№1366 ベルベットラグーン

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ポータル人口322人の中型沿岸都市。都市の建造物デザインをビードロ調の織物で統一したデザインシティの一つ。ビーチはVRヒーリングスポットとして知られ、電脳都市になじみが薄いニュービーへの観光スポットとしても知られていた。

しかし数年前、全身が暗緑色の無制御アバターが数百体次々と海から上陸、市街地エリアに侵入する「グリーンマン事件」が発生。この正体は不完全なエクト・マスコット現象の産物であり、それまで都市伝説同然に語られてきたスケープゴートの扱いについて各都市に迫るきっかけとなった事件となった。

一方現場となったベルベットラグーンはブランドが急落し、キャピタルマスターは権利売却を決定。都市間連合がこれを取得し、現在ユグドラシルのキャピタルマスターが兼任する形となっている。

現在商業施設はほぼ撤退し人影はまばらで、都市間連合の演習地としての転用が示唆されている。

(cluster用ワールドとして公開されている同名のワールドは、この説明からさらに年月が経ち再開発を目指す時代のもの。かつての建物は海の底で、瓦礫や不発弾が転がっている。)

◆№74 ユグドラシル

現存する電脳都市ではもっとも古いものの一つ。ポータル人口3500人、ただしアクティブなものはその半数以下に留まる。

直径500m程の円形の草原エリアで、外周はガラス状の破壊不能オブジェクトで囲われており、その向こうにはマッピングされた高解像度の宇宙空間の映像が写っている。

中央には直径100m程もある巨木が立ち、遥か上方へ伸びている。ただしこの大樹はあくまで人工のオブジェクトであり、電子生物の類とは異なる。

エリアは高度300m毎に区切られ、樹冠まで5つのエリアに別れている。これは初期の電脳都市の仕様ではエリアの構造制限が現在より厳しかったため、複数のサブエリアを繋ぐ事で広大な空間を確保したものである。

古いエリアだが、旺盛なファンタジーアーティスト達によって巨大なアトリエとして使われており、電脳都市群有数の景観を誇る。ここから巣立っていった著名アーティストは数知れない。

(モチーフは「3001年終局への旅」に登場する軌道タワー。さすがにcluster向けワールドとして作るには大きすぎるけれど、次期工房はツリーハウス型もいいなぁと思う時はある。)

◆№34 アプリコット

電脳都市番号34番、しかしほとんどの都市と接続していない為長く忘れ去られていた。ポータル人口1名。
外観は20世紀初頭のパリと酷似しているが街道が幅平均5m程と極端に狭く、空は常に灰色に染まっている。人気のない街だがどこからともなくチェンバロの音がしたり、背後で足音が発生したりする。

キャピタルマスターは電脳都市発展初期に人知れず姿を消しており、その結果隔絶されたまま無人の町と化している。ポータル登録している唯一のiDはミスタリレと名乗る電子知生体で、キャピタルマスターによって人為的にエクト・マスコット現象を起こして生み出されたと考えられているが、その具体的な方法論は失われている。

ミスタリレのアバターはネオヴィクトリア調の衣装を纏った少女の姿をしているが、下半身が街道沿いの建物の三階窓際に固定されており、動くことができない。その代わり都市内部を縦横に走る制御装置の中枢と回路が接続しており、建物の一室から都市の機能のほぼ全てを制御することができる。

20世紀都市崩壊後は立場の不安定と機密保持性をトレードする形で都市間連合に参画。都市間連合の基地拠点として使用されている。

(LegacyOceanReport第三章でこの街の主ゴードンと遭遇することになり、メガロチェインの正体が明らかになる。VR向け再現ワールドのネタとするには無暗に広大かつ空虚か。)

◆№6548 ベルガモット

電脳都市番号6548番、アプリコット発見直後に立ち上げられた都市は紅茶にちなんだ名前が多い。ポータル人口620名、そのすべてがスケープゴートである。

これは拠り所のない放浪性のスケープゴートを各地で回収、一定の自治権を与えたもので、スケープゴートが人類への脅威存在にならないように管理する目的もある。ベルガモット市民のiDは制限付きの特殊なもので、市外へのポータル使用は厳しく制限されている。

(ここには記載していないが元々別の目的で使用され、運用が頓挫した都市を転用したものである。一時Discordのサーバーとしてこの都市名を使っていたがあえなく爆破処分、図らずも同じ運命をたどることになった。)

◆№1258 ラビリンスガーデン

当時流行していたファンタジー風都市のひとつであり、古城の中庭をイメージしたコンパクトな都市。同時期に作られた都市の多くが衰退していく中、図書館型の都市に大規模改造され現在まで生き残った。

先日、第4区画において空間が突然途切れ未知の別空間に接続される異常現象を確認。同区画は閉鎖され、内部空間の調査が続いている。

(第二章の舞台、ヨルムンガンド入り口が発見された都市。この世界ではエルフのアバターが絶滅危惧種だったりするあたり、「ファンタジー」の指すところも多少異なるのかもしれない。)

◆№3211 マギカパレス

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現代魔術都市連合「カヴンチェイン」を構成する13の都市のひとつで、比較的外界に開かれている。この「~チェイン」は複数の都市を束ねたコミュニティで、中でもカヴンチェインはそれ自体が一つの団体のように機能する。

オカルトの解析と現代文明への還元を目指し活動しているが、それゆえ危険な目に遭うことも多い。カヴンチェインには他に「リブレス」「オオツヅラ」などが所属する。

(この団体を考案した時は、まさかメタバースで活動する魔女宗が実在するなど夢にも思わなかった)

◆№3333 ナナ・ブルー

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WorldTypeの初稿には存在しない。別作品からアイデアを流用した都市であり、cluster向けワールド「サイバークリスマス」の正体である。流用元については、あまり知らない方がいい。

LegacyOceanReportで描かれたのは少し新しい時代であり、都市管理企業が買い上げ「希望の塔」をクリスマスツリーに改造した姿である。

◆№5515 オービタルブルー

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こちらも初稿には存在せず、第三章で名前が言及された都市。港町という話だったが水中ワールドとして建造されたあげく、リニューアルによって星降りの浜辺に造り替えられてしまった。

◆№5500 マスカテルシティ

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ポータル人口73人、数か所のコンティネントとプライベートモードでのみ繋がっている隠れ都市だ。

内部は薄暗いバーのような建造物型で、連絡している建物数か所を繋いでも非常に狭く、ごく少数の人だけがここに集い、会合や他愛もない会話をして過ごす。

非常にコンパクトな構造でサイズに余裕がある状況を利用し、一定の料金を払うことで個室を得ることが可能で、秘匿オンラインモードのままこの都市にずっと潜んでいる人もいるという。

(第二章のインターミッション回でしれっと出てきたこの街。これこそがカタリナ・プロジェクト運用母体の拠点である。cluster向けワールドとしての建造が水面下で進んでいるが本音を言えば…私自身としては、この街にあまり発展して欲しくない。)