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櫻坂46 3rd Single BACKS LIVE!! に「欅坂」の遺伝子を見る

VTRの中で、齋藤が「前回のBACKS LIVE!!が、こんな大きな意味をもつとは思ってなかった」というようなことを言っていた。
3rd Single BACKS LIVE!!で感じたのは、1期生の底力だ。「エイトやバックスの違いはあっても、櫻坂のライブとしてみてほしい」という小池の言葉は、1期生の中には言葉をかわさなくても(かわしたかもしれないけど)共有されていた。
絶対的なセンターが存在した欅時代において、たびたび突発的に起こったセンター不在を乗り越えた彼女たちだ。自分たちがステージに立つからには、一人ひとりが櫻坂の看板を背負っているという自負が、1期生には確実にある。
自分のセンター曲ではメンバーをリードし、参加曲では1期生がセンターまわりにいると明らかに強度が増した。特にオリジナル同様、すべての楽曲で小池が裏センターに立ったのは「櫻坂の未来、可能性を広げたい」という彼女の意識の現れだろう。『美しきNervous』はオリジナルポジション、『Buddies』は不参加だったけど、上村、尾関センターに委ねた形になった。

思えば、2nd BACKS LIVE!!は、初めての試みだけに運営もメンバーたちも手探り状態だったし、VTRで自虐回答を求められる演出もあり、このライブから得られるものがメンバーも実感できなかったのではないだろうか。もちろん、そんな状態でもこれをチャンスととらえたメンバーたちはいて、とくに新2期の6人は彼女たちがセンターに立った姿がすぐに思い出せるほど印象深い。
遠藤の「他のメンバーを焦らせたい」は、事実上の宣戦布告だ。『ソニア』という楽曲が生まれて、バックスの中のフロント5人、みたいなややこしい階層関係ができてしまったけど、彼女たちは戦闘モードに突入したのだ。

幸坂が「軽々しくBACKS LIVE!!やるよーっていえない」といっていたのも心に残った発言だった。2ndも3rdも新2期生にとっては、最大のチャレンジの場であることは間違いない。どころか、次期センターのトライアウトにもなっている。今後加入するだろう3期生以降にとっても、BACKS LIVE!!は絶好の舞台になるはずだ。
遠藤、大沼の表題チョイスは、もう完全にセンターを射程にとらえてる。残された時間は少ないかもしれないけど、表題センターに立つ姿を見たい。二人のWセンターもありかもしれない。
大園の『なぜ恋』→『Microscope』のチョイスは彼女なりの戦略がバシバシ感じられる。策士策におぼれる感がなくもないが、このトリッキーさは櫻坂では貴重な存在。
幸阪はようやくアクセスを踏み始めた感じ。配信だと意外にアップで抜かれることが多く(それがまたかわいい)、集団の中でもカメラを引き寄せる力は大きい。
増本は、櫻坂の救世主。今後、グループが再び闇落ちしそうな危機があっても、彼女が導いてくれるだろう。たぶん、本能的にサポートが必要なメンバーを察知してダル絡みの対象にしている。
守屋は、もうアイドル王道のど真ん中を突き進むレールができてる。新しい櫻坂の女神が誕生した。

『Nobody's fault』をはじめて観たとき、曲はかっこいいんだけど、踊りがヘン…と思っていた。それでも回数を重ねるごとに動きがこなれてきて、2nd BACKS LIVE!!の遠藤センター版の自信に満ちた表情で、一つの完成に到達したと思っていた。
ところが、武元センター版で、頭をガツンと殴られた。あ、この曲ってこうなるのか…、こんなに髪振り乱して戦う曲だったんだ。
「私(たち)はまだ全然満足してない、もっと進むんだ」という飢えや苛立ち、戦意が噴出していた。これはメンバー間でも意識の共有がされていたと思う。欅時代から、メイキングなどでTAKAHIRO先生やキャプテンが「勝ちにいこう」とたびたび声を上げていたけど、本来『Nobody's fault』にこめられたものは、こうしたマニフェストだったのではないか。

藤吉も目指すところは不変だ。「楽曲を届けたい」「音楽とともに進んでいきたい」とストレートに発言するその先には、欅の、または鈴本の姿があるのかもしれない。藤吉に『なぜ恋』や『偶然の答え』といった曲をあてて、さらに3rdではセンター、エイトからはずしたのは、松田青子の小説じゃないけど、彼女をセンターにおいたときに起こるであろう化学反応に運営が恐れをなしたか。藤吉の表題センターは誰もが望む櫻坂でありながら、運営がもっとも回避したいことなのかもしれない。彼女たちは「欅坂」の遺伝子をもっているのだから。

小池センターを観てると、ライブこそ櫻坂の生命線だと「確信」する。そして『二人セゾン』や『アンビバレント』もそうだったけど、彼女は楽曲を自分のものにする力をもっている。自分がどう見えているか、全体がどう見えているかという観る側からの視点が随一だと思う。藤吉がメンバーをリードする存在なら、小池は全体を押し上げる存在(知らんけど)。小池・藤吉はこのままバックスの核として残ってもらって、バックスライブでオリジナルメンバーを凌駕する存在になっててほしいとすら思ったりする。

ファン投票の#マイベストスクラムと実際のセンターがベスト3にすら入ってない曲が多く、実際そのぐらい外から見たイメージとメンバーたちの意識に差があることがわかる。そこがなんとも櫻坂らしい。乃木坂・日向坂だとここまで乖離しないのでは。逆に、小池『流れ弾』、藤吉『Dead end』は周囲の期待も加味しての選曲という面もあっただろう。小池・藤吉だけセンター2曲あったことの不公平さは、そこで差し引いて考えてもいいかもしれない(『なぜ恋』は、立候補した人がいなかったのでは、とも思う)。昨日悩んでたことが、今日はもう別の未来を見ている、なんてことはよくあることだ。

彼女たちは、日々、考え、私たちの先に先に進んでいる。

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