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スピード系スイッチにスペーサー入れてお手軽ショートストローク

上記記事を受けての話。キースイッチのストローク(トラベル)についての基本的なところは上記記事を参照してください。

完成すると次の動画のようになります。

前置き

といっても思いの丈はあるので吐き出すが。

ストロークが深いということは、それだけ力を使うので、疲れる。
プレトラベルが短いスピード系スイッチだと、反応は速いのだが、そこから底打ちまでが長い。
代表的なスピード系スイッチであるKailh Super Speed Switch Silverを例に取ると、プレトラベル1.1mmに対してフルトラベルは3.5mm。差し引き2.4mmは「無駄な動き」だ。
使い手の技量で底打ちせずに止める、いわゆる撫で打ちという打ち方もあるが、ホールドについてはどうにもならない。

最近は磁気スイッチのラピッドトリガーなんてのもあって(【特集】キーボードの革新的機能でゲームが上手くなる?界隈を賑わす「ラピッドトリガー」って何だ? - PC Watch)、ゲーミング界隈ではなかなか注目されている。
しかし、自作キーボードのオタクとしては、「物理的に浅けりゃいらんだろそんなもん」という気分が否めない。
ラップトップみたいなパンタグラフキーボードも単体で購入できるし、打鍵感に関してはそれでもいいのだが、自作派としては配列は妥協できない。

メカニカルスイッチで浅い(短い)ストロークにしようする場合、ロープロファイル系スイッチが選ばれることが多い。
スイッチ全体が薄ければその分ストロークも短いのが道理だからだ。
しかし、ロープロファイルのデザイン目的はあくまで低さ、浅さではない。代表的なロープロファイルスイッチであるKailh choc v1の場合、フルトラベルは3.0mmとそこそこ短いが、プレトラベルは1.5mmもある。スピードスイッチは名乗れないレベルだ。
「低い割に精一杯頑張って深くしました!!」みたいな売り文句さえある。そういう需要はあるのだろうが、Not for me。ショートストロークを求める者には物足りない。

逆に、低さではなく浅さを求めるのであれば、スイッチ全体は分厚くてもいいということになる。
一般的なCheery MX互換の「ハイプロファイル」スイッチで、ストロークだけを短くしたいのであれば、haruyama480さんの記事で書かれているように、Oリングをはめる方法がある。
キーボード用の製品としては、静音化リングと呼ばれる場合が多い。(ヨドバシ.com - Scythe サイズ MXORDP [Cherry MX軸対応 静音化リング] 通販【全品無料配達】
これは非常に簡単で静穏化効果も得られるが、分厚いゴムに突き当たることで(疑似的に)底打ちするので、グニャッとした感触になり、あまり打鍵感がよくない。
また、力加減によってストローク量が変化してしまうので、限界まで攻めるのが難しい。思いっきり打ち込めばアクチュエーションするが、撫で打ちだとしない、といったことが起こり得る。

そこで、これもharuyama480さんが書いているが、

「ステムとハウジングの底の間に何かしらの素材を挟む」という下駄をはかせる手法があると思います。

ということになる。簡単に言い換えれば、中に詰め物をする ということだ。
なんだか難しそうに聞こえるかもしれないが、全然そんなことはない。本題の本題として、簡単な方法を紹介しよう。

M2スペーサーで簡単ショートストローク化

結論を書くと、「ステムの軸にM2スペーサーをかぶせる」ということになる。

キースイッチのステムには、スプリングの「芯」として機能する細い軸がある。
この軸に円筒形のカバーを被せることで、カバーが「つっかえ棒」になり、ストロークを縮めることができる。
軸の太さ(直径)は、2mmが標準だ。つまり、M2のネジ用のスペーサーなら内径2mm強なので、ほぼぴったりフィットする。

ただし、M2スペーサーそのものの直径(外径)は4mmが標準。
MX互換スイッチ用のスプリングも外径4mmが標準。
つまり、思いっきり重なってしまう。
スプリングの圧縮具合が変わるし、うまく乗らないと「つまづく」ので、いらんとこまで打鍵感が変わってしまうことになる。
そこで、4mmより細いスペーサーを使うことで、打鍵感を損なわずにストロークを縮められる。

僕が使っているのは、ヒロスギCB-PCのM2用だ。これだと、外径は3.2mmと4mmまでかなりの余裕があり、スプリングの内側にスポっと収まる。

ここで注意してもらいたいのは、1mm入れたらストロークが1mm縮まるわけではないということ。
具体的な数値はスイッチの設計によるが、底打ちする時に当たる部分が変わるので、縮まる量はスペーサーの長さより小さい。実際のストローク量がどうなるかは、試してみないとわからない。
というわけで、実例を紹介しよう。この方法だとプレトラベルは変わらないので、元々プレトラベルが短いスピード系スイッチをベースに用いる。

スイッチ比較表

試した限り、0.5mm刻みのスペーサーではDurock Splash Brothersが一番短くできる。
個人的に、打鍵感・打鍵音はGateron Box CJが好みだが、スペック上のプレトラベルに0.6mm以上余裕があってもチャタリングがかなり発生する。総合的にはDurock Splash Brothersをおすすめする。

スペーサー候補データベース

個人的に作成している使えそうな製品の一覧。よろしければ参考にしてください。

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