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カスタマーサポートにおける「穴とドリル」

穴とドリル、ドリルと穴?っていう「顧客が本当に欲しいもの」のマーケティング理論、有名ですね。

わたしも過去、「お客さまがそう言っているから!」といったご意見をプロダクト側に「伝える」ことに喜びを感じていました。生のご意見をサービス改善につなげること、とても良いことです。

が、それを作ってもらった(実装してリリースされた)ときに「これじゃない・・・」「ちょっと違うんだよね」というご意見をいただくことがありました。

これ、なぜなのでしょう?

生のご意見を伝えたのに。

お客さまがこういう機能がほしいと言っていて、自分も共感したのに。


お客さまは、多くの場合、「実現したいこと」を「こういう機能」に差し替えて伝えてきます。カスタマーサポートは、そのご意見を「こういう機能が欲しいとお客さまが言っている!実現してもらわねば!」と解釈してしまうことがあります。(※もちろん、全員がそう、ということではありません。わたしも過去に経験しているので個人的な解釈です)

このときにお客さまは「本当にやりたいこと、困っていること」を多く語ってはくれません。理由は色々とあるかと思いますが、忙しさもあるでしょうし、個別の理由を事細かく説明してもあまり意味がないのでは?と思っている場合もあるかと思います。

しかし「サービス改善、有効なアップデートを行う」には、「やりたいこと、実現したいこと」を聞き出し、それを元にした開発や改善につなげないと、過去のわたしのように失敗してしまいます。

「穴とドリル」は説明するまでもなく、「ドリルを買いに来た顧客がほしいのは『穴をあける』という行為を完遂したいからですよね。

カスタマーサポートで、例えばメールや電話でのお問い合わせを受けていると「受け身」になってしまうことから「こんな機能がほしい」という要望に対して「それは何を実現したいからなのですか?」と突っ込んだ質問はしにくいと思います。多くを引き出せなくても構いませんが、「本当に実現したいこと」は何なのか、を探る癖をつけていけると良いと思います。

ちなみに個人的に試した例は、時間差で「過去にこういう要望を頂いて検討しているのですが、もう少し細かく実現したいことを聞かせてほしい」といった電話やメール等でアウトバウンドしたことがありました。

ご要望いただいた時点でこの話ができていて、「そうなんだよ、わかってもらえた?細かく聞いてくれてありがとう」と言われる方が良いのでしょうが、なかなか難しい。


「○○できる機能」と「**したい」は、必ずしも一致しません。機能を作ることによって使い手の業務負荷や作業がかえって上がってしまうこともあります。

すぐには難しいかもしれませんが、そんなことを意識しながら改善活動を行っていけると使い手と担い手の本当の意思疎通ができるのかもしれませんね。


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