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創作大賞2024・漫画原作部門俺はモブキャラで終わらない第三話.ようこそDead.city

チェイスは扉を開け廊下に出ると、自販機と鑑賞植物の間に屋上へ続く非常口を発見する、駆け寄ってドアノブをガチャガチャと動かすが、閉まっていて開かない。

「くそ、鍵が閉まっていて開かない。」

「ちょっといいか?」

ジムがチェイスを退かすと鍵穴を覗き込み、ハリガネを入れてカチャカチャと数分いじる、ドアノブを回すとドアが開く。

「ジム、いつからそんな特技を身につけたんだ」

「ナ・イ・ショだよ。」口に立てた指を当てるジム

首を傾げながら非常口の外に出ると、階段をあがる

ジムとチェイス。

階段を登り切り、屋上へ到着しゆっくり金網のフェンスへ歩いていくと、見たことのない風景が飛び込んでくる。

「これは一体…」ジムは言葉を失う、隣のチェイスも

言葉を失っていた。

「どうなってんだ……まさか?ワープゲートで別の世界に来たってことか。」

ジムはクスッと笑い

「そうだなぁ。ここはラッキーシティじゃないことはわかる。」

街が火の海、その中を逃げる人々、その人々を襲う化け物の群れ。アチラコチラで聞こえる阿鼻叫喚と地獄絵図に、身体の震えが止まらない,

武者震いではなく、

恐怖から来るものにジムとチェイスはわかっていたが、暫くの間、その恐怖から流れるため、遠くを眺めていた。

ジムとチェイスは無言のまま屋上から降り、ドアを開け中へ入る。廊下を歩いて4階から3階へ降りていく。


さっきいた囚人もそうだが、俺達を捕まえようとした隊員達も姿を消えていた。

あれだけ躍起になっていたはずなのに、一体どこへ

いったんだ?


2階へ降りようとした時、部屋を出てくるライアンとブリンダ「ジム、こっちに来い」

チェイスは無理矢理、腕を引っ張り近くの開いていた部屋に隠れる。ドアの隙間から覗き込むと、ライアンとブリンダは何やらブツブツと独り言を話していた。


「おい、どうなってんだ?」

激しく動揺するライアンにブリンダは

両腕を強く握り。

「落ち着けよライアン、なぁライアン」

ほっぺたを軽く叩くと正気に戻る。

ハッとしてブリンダをみると、

「すまねえブリンダ、ん?誰か来る」


階段の方を見る、コツコツコツコツと

階段を上がる音が響き渡る。

「誰か来る、気をつけろ」

戦闘態勢に入るライアンに「さっきのアイツラなのか」とライアンの後ろで、ファイティング・ポーズを取るブリンダ。


ゆっくりと姿をを現したのは、白い頭と白い髭に、デカイバックパックを背負った行商人の老人。

ライアンとブリンダは身体の力を抜き、老人に近づくとブリンダは顔を近づけ、「あんだ爺かよ、脅かしやがって」老人は奇麗に整った髭を触りながら、2人を観察している


「おい爺、ちょっと聞いてもいいか?」

「なんじゃ?」

上から爺を見下ろし、生ゴミのような息を吐きながら、

「ここは一体どこなんだ?」

「なんじゃ、あんたら別の世界から来たのか?ここはDead.CITYじゃよ」


Dead..…city……その言葉にライアンとブリンダは 

固まる。

「おい爺さん。噓だろ。冗談はよせよ」

「ライアン、Dead.cityってまさか?ゾンビが徘徊する世界だよな、噓だろ」

2人は戸惑いを隠せない、自分たちは望まない

世界に来たことに愕然とする。


「それより爺さん、2人のガキを見なかったか?」

「2人のガキ、わしは知らんよ」

そう言うと、ちらっとジムとチェイスがいる方へ目を向ける。


爺さんと一瞬目があったチェイスは目をそらす。

「どうした。チェイス」

チェイスは胸に手を当て「目があった」

ドキドキする胸に手を当て、再び隙間から見る。

ライアンの後ろにいたブリンダは、爺の腰に装着している刀に興味を持ち、しゃしゃり出ると

「おい爺、その刀を俺によこせ」

刀を奪おうと腰に手を伸ばした瞬間、爺の右手は手首を掴み足を引っ掛け、勢いそのまま階段下に落とす。

「うぁぁぁぁぁ…」

階段を転げ落ちていく、全身を強打、その拍子で頭を強く打ち気絶する。

「ブリンダ、大丈夫かぁ。おい、クソ爺」

ライアンは両手で爺の肩を掴むと動きが止まる。

「くそ、この爺がぁ」口から血が流れる。

爺の左手に装着された巨大ナイフが、ライアンの腹を突き刺す。

ゆっくりと巨大ナイフを抜くと、腹から大量の血が吹き出す、フラフラと階段の方へ歩くと、足を滑らせ転げ落ち、ブリンダの上に落ちる。

「おい、ライアン、ライアン」

ブリンダは話しかけるが反応はない。

懸命に話しかけるブリンダとライアンを

確認すると、行商人は壁に設置してある火災報知器のボタンをグーパンチで押す。

ジリリリリリリリリリリリリリ

刑務所に耳をすんざく機械音が響き渡る。

その音に寝ていたゾンビや、徘徊していたゾンビが

音のする方へ向かってくる。

ゾンビがこちらへ向かってくることに気づき、

抜け出そう藻掻くが、岩のように重くなったライアンはびくともしない。

そうしている間にも、ゾンビは数十人の集団と化し

ブリンダの階層に辿り着くと、ヨタヨタと歩く。

「来るなぁ、こっちに来るなぁ。うわぁぁぁ」

1人、2人、3人、4人と、ゾンビ達はライアンと

ブリンダに覆いかぶさると、肉を貪り食う。

そこから、までの数分の断末魔が聞えるが、ピタッと聞こえなくなる。

「死んだか…」行商人は階段下を覗き込む。

一心不乱に貪り食うゾンビを確認すると、

火災報知器を止める。音が鳴り止むとジムとチェイスのいる方へ目を向けると、「もう大丈夫だから、出てきなさい」

ゆっくりとドアを開けると、ジムとチェイスは恐る恐る外に出る。

「あ……ありがとうございます…」

その場で直立不動になる。ジムとチェイスに

ふふふと笑い、「そんなかしこまらなくていい、こっちに来なさい」

行商人が手招きすると、2人は行商人の側に近づく

「わしの名前はバロン、しがない行商人をしている」髭を触りながら言う。

「俺はジムといいます。隣にいるのが幼馴染のチェイス」2人は軽くお辞儀をする。

2人は自己紹介すると、「あのバロンさん、あの囚人2人は……」ジムがそう聞くと「あ……アイツラならゾンビに食われて死んだよ」階段の方へ歩いて立ち止まると下を覗くチェイス、数人のゾンビが肉を貪り食うり、その周りをゾンビが囲っていた。

「あ…あぁぁぁぁ」

その光景に裏声を出して尻もちをつく。

ガタガタと身体が震える。

「おい、どうしたチェイス」

「し、下を見てみろよ…」

指を指す方向を覗き込むジムは固まり

言葉を失う。

「噓だろ……」呆然と立ち尽くしていると、

「お二人さん、君達も別の世界から来たのかい?」

バロンは2人を尻目に、背中に背負っているバッグパックを床に降ろすと、布を広げ武器を1つ1つ置いていく。 

「バロンさん、何をしてるのですか?」

ジムは後ろを振り返ると、床に置いてる武器一覧を

品定めする。チェイスは立ち上がり、汚れたズボンの尻を叩くと

「おいジム、まさか…武器を買うつもりじゃあないだろうな?」

手に取った武器を床に戻すジムは、溜息をつくと

「分かってるよ。金なんて持ってないし」

「お金がない?お金ならあるじゃろ、ポケットを調べてみなさい」

ジムはズボンのポケットを調べると、見たことない

電子機器を見つける。

「これはなんだ?いつの間に」

ジムから電子機器を奪い取り弄りだすチェイス。

お金ってこれのことかいバロン?画面を見せて頷くと、ジムにも見せる。

画面には1000ジルと表示されている。

これがお金?ジムは疑いの目で画面をジッと見ていると、バロンは武器を買うように促す。  

「もし今、武器を持っているなら今すぐ捨てて、新しい武器を買いなさい。」

2人は顔を見合わせ、バロンを見る。

「武器を捨てる?本気ですか?」

「なんで武器を捨てなきゃいけないんだよ」

2人はバロンに文句を言うが、話を続ける。

「君たちはモブキャラだよね?」

バロンは険しい顔をする。モブキャラ……その言葉に

ジムはイラっとするが冷静になり「はい、僕たち2人はモブキャラですが」

「いいか?これから言うのは大事な話だから、ちゃんと話を聞きなさい。君たちは多分、ここだけじゃなく、他の世界へも行くだろう。だが、君たちには1つだけ大きなハンデがある。

「ハンデ?」

「それってなんですか?」

「モブキャラということだよ。いわゆる凡人てやつだ。」

モブキャラ……凡人……

大体は何かしらがあるのだが、それがない

ジムとチェイスはショックを受けるが、さらに

「2人は特別なスキルや、攻撃力、守備力、瞬発力もない。なに1つとしつしたものがない。」

ジムとチェイスは肩を落とす。確かにそうだ分かっていた、そんなことは。

自分はただの平凡なモブキャラだってことは、

だからこそ、思いっきりて行動をしたのに、

「でも安心せえ、そんな2人に1つだけ、他の誰にも負けないスキルがある。」

バロンがそう言うと、2人はジッとこちらを見る。

「なんですか?そのスキルは?」

「早く教えてください。」

早く教えろとせがむと、「教えてやらん。自分達で気付くことじゃあなぁ」

そう言うとバロンは豪快に笑うと

「さぁ、どれにする?あと言っておくが、君と相性の良い武器を買いなさい」

床に置いてる武器を慎重に選ぶが、結局、1番安い武器を選ぶハメになる。

そ鉄パイプと釘バットを購入する

2つ合わせて500ジル、ぼったくりじゃないかと

思いながらも、ジムは電子機器を手に持ってバロンが持つスキャナーに通す。

「毎度あり、あと初回特典のプレゼント、持って行きなさい」

バロンはデジタルの時計を2人に渡す。

腕に装着すると、体力・健康状態・次のレベルまでの経験値が表示される。

「なんだ?この時計は」

「体力?健康状態?経験値?どういう意味だぁ?」

バロンはその時計について説明を軽く話す。

話が終わると、バロンから買った鉄パイプと釘バットを受け取とると

デジタル時計には武器の特殊効果が表示される。

釘バットは数回に1回はクリーンヒットが炸裂、攻撃力が低いが耐久力は高め、鉄パイプはアンデッドに効果てきめん、ただし耐久力は低いと武器の特性を把する


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