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俺をモブキャラと呼ぶな第二話(決断と旅立ち)

ジムはカイに詰め寄ると、「カイ、その機器を俺に譲ってくれ。」

その言葉に、カイは機器をポケットに戻すと、
ぶっきらぼうに「それは出来ない。ただ一つ聞いてもいいか?」

ジムは頷くと、「どうして、この機器が欲しいだ?」とカイは訊くと、ジムは真剣な態度で何度もカイに 
プレゼンテーションするが、駄目の一点張りにジムは

「俺はラッキーシティで小さな道具屋を営んでいたが、ある日俺は思った、このまま退屈な毎日でいいのかと?そんな時にチェイスが俺に教えてくれたんだ。他の世界へ行けるワープゲートの存在を」
熱く語るジムをじっと見るカイ。

「なるほど……言いたいことはわかった。道具屋をやめたいと、そしてワープゲートを使って、他の世界へ行くと……で?それで何をするんだ?目的はあるのか?」

何がしたい?……目的は?……

カイの質問に言葉が詰まる、確かにワープゲートを
使って他の世界へ行ったとしても、目的がなければ
意味がない、1番大切な部分が抜けていたことに気付く。

何も言えないジムを見て、深く溜息をつくと、
チェイスの方を向くと「チェイス、お前もジムと同じで、ワープゲートを使って他の世界へ行きたいのか?警察官を辞めたいのか?なぁチェイス?」

チェイスも黙っていたが口を開く「そうだなぁ、俺もジムと同じで、退屈な毎日に飽き飽きしていたんだ。悪いか?」

開き直るチェイスに、半ば呆れるカイは
頭を掻きながら考えていた。

「2人はとんだ大馬鹿野郎だぁ、そんなにお前ら
別の世界に行きたいのか、わかった、わかった、ほらよ」

ジムに小型の機器を放り投げると
慌てて落とさないようにキャッチ
「え?いいのか?大切な物なんだろ?」
ジムとチェイスは心配そうな顔をする

カイは指を指しながら「お前ら2人はどうせ、俺が渡さなかったら、勝手にワープゲート探して、他の世界へ行くつもりだろ?」

ジムとチェイスは頷く

「それで死なれても困るんでね、だから渡しとく、
その代わりに一つ、俺と約束してくれないか?」

ジムとチェイスは互いに顔をみて、カイを見る。
「なんだ、約束って?」
「俺の代わりに、ジムとチェイスで3種の神器を奪い返してくれないか?」

俺達が3種の神器を奪い返す?何を言ってんだ?
そんな顔をするジムとチェイス。

「おいカイ、3種の神器を奪い返す?俺達が?
何を言ってんだよ。」
ジムの肩にそっと手を乗せるカイ、

「俺は本気だそ、それとも怖気づいたか?まぁ無理なら、この話はなしで」

ジムを煽るカイ、隣で見ていたチェイスは
カイお得意の相手を煽るテクニックに、

「わかった。俺とチェイスで三種の神器を奪い返してくる。いいよな?チェイス」

横にいるチェイスを見る、観念したような顔で
「あぁわかったよ、やればいいんだろ、やれば」
投げやりに言うが、まだ納得はしていなかった。

それとは反対に、ジムは小型の機器を真剣な顔で
いじっていると、ピピと音をたて表示される。
ワープゲートの発生場所と日時が表示されると
ジムは子どもの様に無邪気に喜んで、小型の機器を
2人に見せる。

「おい見ろよ。チェイス、カイ、」
ジムに呼ばれると、チェイスにカイは小型の機器の画面を覗き込むと、画面にラッキーシティの地図が表示され、ワープゲートの発生場所が赤く点滅され
時間も表示される。

「ワープゲートの発生場所は刑務所で、時間はお昼の午前十二時三十五分、曜日は木曜日らしい、チェイス今何曜日?」

チェイスは壁にかかっているカレンダーを見る
「今日は火曜日、あと2日しかない、急いで準備しないと」
カイは頷くと壁により掛かる。
「あぁ、そうだなぁ。できることをしないと」

ジムは浮き浮きしていたが、反対にチェイスは
不安を覚えていた。
確かに、この世界から出たいとは思ってはいたが、
三種の神器を奪い返すとか、刑務所に行くとか、
とにかく不安でしかない。

けど、もう引き返すことはできない。
腹をくくったチェイスの顔は穏やかだった。
その分、強い決意を胸に秘めて、

刑務所に行く前の2日間、ジムは散らかった店を掃除し、バックパックに必要な道具を入れて、入れられなかった道具は全て売り捌いた。

チェイスは勤めていた警察官を退職、身辺整理をして、2日後、ジムの道具屋へやってくる。

カイは道具屋の一室で静養、腫れぼったい顔も回復し、ジムが出す食事もガツガツ食べれるぐらい、体調も回復していた。   

ワープゲート発生日当日、午前十一時、ジムは道具屋のドアを閉めて、シャッターを降ろす。あらかじめ、店の倉庫から出してきたBANを、店の前に停車していると、カイとチェイスはひと足早く乗り込む。

「おいジム、早く行こうぜ」「あぁ、ちょっとまっていてくれ」店の前で立ち尽くす。感慨深い気持ちになりながらも、心は前を向いていた。
「行ってくるぜ」そう言うとBANの方へ走り出す
運転席に乗り込むと「さぁ、行くぞ」シフトレバーをPからDに、アクセルをゆっくり踏み込んでいき
Uターン、歩道を左へ横切ると道路沿いの道へと入っていく。

車が少ない車道を軽快に走行していると、黒い車が後ろをついてくる。「おい、後ろを見ろよ」

カイがそう言うと、ジムはバックミラーを
チラッと見る。「あの車に乗ってる奴らは、この間の奴らか?」

ガムの包装紙を取って、口の中に放り込みクチャクチャと音を立て、風船を作るチェイス。
「どうする?ジム」

ドリンクホルダーに置いてあるペットボトルの水を一口飲むと「ふたりとも、シートベルトしとけよ。」
アクセルをベタ踏み、60・70 ・80・90・スピードメーターの針が上昇、それと同時に後ろの三台の黒い車もスピードをあげ、黒い2台はBANの左右にピッタリと張りつく、もう一台はBANのケツにピッタリと
張りついて離れない。

ゆっくりと左の黒い車のスモークガラスのウィンドウが下がると、銃をつきつけてくる。
黒ずくめの男は「おい、今すぐ車を止めろ」

ジムはハンドルを左に切ってぶつけると、黒い車は
スピンして電柱にぶつかる。「よっしゃ~」

ガッツポーズをするジム、後ろの黒い2台は
ピタリと張り付く。
突き放そうとさらにアクセルをベタ踏み、
100・110・120・そのスピードの勢いで十字路の交差点を左に曲がる、

後ろの黒い車2台も、同じスピードで食らいついてくる。「くそ、何だよこいつら、しつこい」

「おいジム、前を見ろ、前」
助手席のチェイスが指を指している方向には
踏切が見えてくる、カン・カン・カンと甲高い音が
聞こえると同時に、ラッキーシティの住民を乗せた電車が踏切に向かって猛スピードで走行してくる。

「おい、このまま行くと列車に激突するぞ。ジム」
後部座席に座っていたカイが引きつった顔でジムに言うが、そんなのお構いなしに突き進む。

「ふたりとも、しっかり掴まっていろよ」
踏切への距離、1000・900・800・700と距離が短くなっていく。

黒い車の2台は、300付近でBANから離れる。
「おい、ぶつかるぞ」絶叫するチェイス
「よし今だ」ジムはハンドルの真ん中にあるボタン
を押すと、左右から翼が現れ、BANに搭載された小型のジェットエンジンが発動、ゆっくりと空へあがっていき、踏切を通過する電車の上を飛んでいく。

車の中から、空を飛んでいくBANを見つめる赤髪
「おい青髪、逃げられたぞ。」
運転席の赤髪は、助手席で寝ている青髪を叩き起こす。「あぁそうか、仕方ない帰るぞ」
そう言って目を瞑る青髪、車の窓から赤髪の部下が
「赤髪さん、どうしますか?奴らを追いますか?」いや、もういい、戻るぞ」
「わかりました。」

2台はUターンすると反対方向へ走行、暫くして街へ入ると青髪が目を覚ます。
「青髪、アイツラは必ず俺達がいる場所へ必ずやってくる。」
「あいつら来ますか?」
抜けた声で言う赤髪。
「来るさ必ず、むしろ来てくれないとつまらないからなぁ、あぁ早く来てくれないかなぁ」

赤髪が運転する中、赤髪はもう一度目を閉じて仮眠を取る。





















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