頑固それは情弱への入り口

20代なのに「キャシュレスとかペイペイとかよくわかんないよね」と言う人がいます。信じられないことですがそんな若者もいるのです。
そういう人は新しいものに適応しようとする気力そのものがないんです。

ばあちゃんの家の二槽式洗濯機を全自動洗濯機に交換したときの話。
ばあちゃんはボタン1つで洗濯が全て完結するこの文明を享受することはありませんでした。

普通に考えれば圧倒的に楽なのに、ばあちゃんは「二槽式に戻してくれ」と言うのです。
最初は意味がわかりませんでした。
「使い方覚えれば絶対に楽だよ」と思うのですが、それができないしそれをしようとしない。二槽式洗濯機を使いこなすことに比べれば圧倒的に簡単に作られているのですが、わからないらしい。(ちなみに祖母は認知症ではありません)

「わからない」の一点張りで、覚えようとする気力がそもそもないんですね。
使えた時のメリットを想像できないから、過去にしがみつくのです。
「全自動」という概念そのものを拒否するのです。

ちょっと脱線して若い人のために説明します。
洗濯と脱水がそれぞれ別の二槽式洗濯機というものがあるんですよ。
左の槽では洗濯専用、右の槽は脱水専用。ボタン1つで全てが終わらない、恐ろしく手間のかかる洗濯機です。

1 まずは洗剤をいれ洗濯。
2 洗濯が終わったら、隣の脱水槽に衣類を移す。(手作業)
3 脱水が終わったら、隣の洗濯槽に衣類を移してすすぎ。(手作業)
4 すすぎが終わったら、隣の脱水層に衣類を移す。(手作業)
5 脱水が終わったら、外に干す。

3つの手作業が必ず発生するので洗濯をしているという縛りからは解放されません。心のどこかで洗濯を気にしてなきゃいけない状態。当然何も生み出しません。
懐かしいなとは思いますが、絶対に戻りたくはありません。

ばあちゃんは効率を求めていなかった。
僕が面倒臭いと思うことを面倒だと思っていなかった。
それもわかる。使い方を覚えれば、もっと楽できることを想像できなかったのでしょう。おそらく楽することを罪なことだと思っているのでしょう。
無意味な勤勉さや美徳を刷り込まれた昭和教育の限界を見た気がします。

今では全てをボタン1つで乾燥までやってくれるドラム式洗濯機が主流になりつつあります。二槽式洗濯機の不便さを知っている世代にとっては、神のような存在です。
僕の中では絶対に導入したい家電の第二位にランクしています。30万は高いけど元は絶対に取れるでしょう。
ちなみに一位は食洗機です。自炊を始めて27年、もう洗い物の無意味さに耐えられません。とにかく時間がもったいない。

ばあちゃんの部屋には本が一冊もありませんでした。雑誌すらない。情報源はテレビのみという人でした。
本(活字)を読まないと人間はどうなるか。間違いなく脳は退化します。

■不必要な頑固さはその人の人生を退屈にする
僕はかなりの音楽好きなのですが、CDを全く買わなくなりました。音楽好きならCD買って当たり前という思い込みが10年くらい前は僕の中にありましたが、その時点でもう時代遅れの考え方だったのですね。

10年前の時点でCDはPCに取り込んだらほぼお役御免の存在。それを悲しいと思っていましたが、時代の流れかなと今は納得しています。

その当時ミュージシャン側にもうちはネット配信しないという頑固な姿勢を崩さない人もいましたが、さすがに今は誰もこの流れには抗えない。
こだわりは大切だと思いますが、頑固さは確実に自らを滅ぼします。

僕が最近気をつけているのはとにかく新しいものを否定しないで一度受け入れてみることです。昔はそれができなかった。

スマートスピーカーがその最もいい例で、衝撃的な事件でした。おそらく人生が変わった瞬間でしょう。

iPhoneに入れている音楽をBluetoothスピーカーで鳴らす。
それまで自分が普通だと思っていたことが、面倒くさくなりました。
アプリを起動して、曲を選んでという数十秒の行為に意味を感じなくなりました。
1枚のCDを見つけ出すために家中を探し回った経験が何度もあります。そんな時代もありましたが、今はそんなことをする必要はない時代。
音楽は聴いている時間が全て、再生するために費やす時間には意味がない。

「アレクサ、オアシスのワンダーウォールかけて」
これで全てが解決します。
自分の聴きたい音楽をアレクサが再生してくれるにはどうしたら良いかを常に考えるようになります。

「家で1人で機械に向かって話しかけるなんて寂しい男の典型だな」と思い込んでいた時期もありました。無駄に頑固だったんでしょうね。

効率が全てではありませんが、無駄な手間は省いたほうが幸せになれる。
僕はそう思っています。

頑固に何かを拒否することが必要な時期もあります。
それを経て、受け入れることの楽しさを知る。
今はそんな時期なのかもしれません。


ありがとうございます。有意義なことに使います。