東京ラブストーリーの最終回だけは救いがある

後半これでもかというほどドロドロした展開が続いていたが、最終回は少しだけ救いがあった。何度も観て結末も知っているし。

もうお互い心は決まっているので、あとはどういう別れ方をするかだけ。作り手側としてはどれだけ切ない演出をするか。27年経っても全然色褪せない切なく、悲しい別れでした。考えたのは脚本家の坂元さんなのかな、天才ですね。

愛媛の海沿いのロケーションも良かった。途中映るフェリーの行き先にあのころの僕は住んでいたので勝手に親近感。対岸ですけどね。

10年くらい前に四国旅行した時に、愛媛での別れのシーンの梅津寺駅までは行かなかったけど、近くの三津駅まではあの電車にも乗ったことがある。あの土地の雰囲気がわかるだけでも全然感情移入度が違う。

回想シーン
電車の中での回想シーン。リカの回想は全て前半5話まで、そこに全ての幸せが詰まっていた。それ以降は辛いシーンが多く、こちらも観てて辛かった。リカよく頑張った。

あのリカの涙は悲しみの涙じゃなくて幸せの涙なんじゃないかな。そう解釈した方がこちらが悲しくならずにすみます。

届く手紙
東京に帰ってから数日後、あの時点で別れの決断をしていたことをカンチと視聴者は知る。文面が素敵。

これからカンチにお別れを言おうと思います。
ちょっと悲しいけどでも悲しいだけでもありません。
いずれにしてもカンチと同じ季節に同じ道を歩けたことを愛してやみません。
カンチ、今が愛しいよ。カンチとお別れする今この時をやっぱり愛しく思えるから私のこれからはきっと大丈夫って思います。
カンチと出会えてちょっと人生得したかなって。
さよならは言いません。約束もしません。
でも、また会えるよね。
赤名リカ
追伸
元気ですか。

この文章構成力の高さ。
絵葉書っていうのも趣があっていいですね。

三年後
街で偶然出会う。そしてまたビルの屋上で語り合う。

そんなさあ、一生のうちに人を好きになるなんてそうそうあるもんじゃないんだから。好きになったらあっという間なんだけどさ。
でも、だから永尾くんを好きになれたことを大切に思ってる、思えるよ。
好きになったこと、好きになってくれたこと。いっつもここ(胸の中)で元気してる。
明日、この恋がどうなるとか考えて人を好きになるわけじゃないし。
あの時のわたしがいるから、今のわたしがいるんだから。
ちゃーんと自分に言ってあげられるよ。よくやったねってさ。

このプレゼン能力の高さ。あ、ドラマでしたね。

街角で偶然再会の意味
連絡先を聞くカンチを断固拒否するリカ。

いいじゃんその方が。
今日みたいに街角で偶然再会なんてさ。
そう。また、何年後かに。

前にも書いたが、今の時代これができない。
別れてもインターネット、SNSで容易に追跡可能な現代。そこからは切なさそのものが生まれない。別れてしまうと「相手が何をしているかわからない」それが本来普通なんですよ。

今回の再放送で一番感じたのはそこですね。便利になりすぎて、逆に不便な時代を生きている。自分から「繋がりっ放し」を選ぶ人は必ず闇に落ちます。

街角で偶然再会にこそロマンがある。

代々木公園での最後の別れ
再会してからずっとよそよそしい「永尾くん」だったのが、最後の最後で「カンチ」と呼ぶ。そこに救いがあった。流れてくる「チュクチューン」からの小田和正、ラブストーリーは突然に。カメラワークも含めてこれぞ東京ラブストーリーという見事なエンディング。
後半は特に辛いドラマだった。その悲しい物語の最高の美しい終わらせ方。だから多分こうして27年経っても人々を切ない気持ちにさせたんだと思う。

■永久保存に感謝
東京ラブストーリーで描かれたのはリカの強さと、鈴木保奈美さんの美しさ。
24歳の鈴木保奈美さんの美しさ、可愛さを両方共永久保存してくれて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

もうひとつは小田和正さんのラブストーリーは突然に。あの曲なくしてこのドラマの切なさはありえない。名曲は時代を超えます。

保奈美ワールドと小田ワールドの融合。これが東京ラブストーリーの魅力。

個人的には少しだけ知っているあの時代の東京に再び触れられて懐かしさと嬉しさを感じた。あのころの自分のピュアだった気持ちも思い出した。

あの時の自分がいるから、今の自分がいるんですよね。


ありがとうございます。有意義なことに使います。