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FXのエンベロープとは?設定数値や1分足・5分足を組み合わせた手法、MT4/MT5での使い方を解説

FXで最もポピュラーなテクニカル指標と言える移動平均線を応用して作られたのが、「エンベロープ」です。

移動平均線を上下に乖離させることで値動きの状況が視覚的に分かりやすくなり、エントリーや決済の目安に使えます。
逆張りと順張り、両方の用途に活用できるのもメリットでしょう。

しかし時間足によって最適な設定数値が異なる場合があるなど、正しく扱うには一定の知識が必要です。

そこでこの記事では、エンベロープを活用したトレード手法や適切な設定方法などについて、詳しくご紹介いたします。

また見た目が似ているボリンジャーバンドの違いや、利用時の注意点もお伝えするので、是非エンベロープを上手く使いこなしてください。


エンベロープとは

エンベロープとは、英語で「Envelope」と表記し、「包む」「封筒」「封をする」あるいは「ウイルスの膜」などの意味があります。
総じて言えば「中身を包むもの」と言えるでしょう。
その名の通りチャートでの見た目は、移動平均線(Moving Average)を上下で挟んで包み込むような形状をしているインジケーターです。

エンベロープはなぜ有効なのか?

エンベロープは日本語では「移動平均乖離率バンド」とも呼ばれており、移動平均線を一定の比率で上下に離したラインが描画されます。

乖離させる値は自由に設定でき、複数の乖離率のラインをまとめて表示させることも可能です。
これにより、現在の価格が本来の移動平均線からどれだけ離れているか、視覚的に把握できるようになります。
つまり、価格と移動平均線との距離を測りやすくしてくれるインジケーターというわけです。

これがどうして重要なのか、多少の説明が必要でしょう。
相場には、「移動平均線から離れて行った価格は、やがて移動平均線の方に戻ってくる」という性質があります。

両者の距離を「移動平均線乖離率」と言い、乖離率が大きければ相場は過熱しており、価格が行き過ぎていると判断されるのです。
その場合、時間とともに沈静化し、いずれは価格が折り返してくると予想されます。
実際、現在の価格が移動平均線からどれくらい離れているかは、多くのトレーダーが関心を持って見ているのです。

乖離率が重要

トレンド・レンジに関わらず、大きな視点に立てば、価格は移動平均線に絡みつくように動きます。
上側のエンベロープに達すれば買われ過ぎ、下側のエンベロープに当たれば売られ過ぎとなり、相場の予測に使えるというわけです。

こうした価格と移動平均線の乖離率は、株式やゴールドと言った取り扱いの対象や、移動平均線の設定期間などによっても目安が変わってきます。
そのため、チャートごとに適切な乖離率を適用させなくてはなりません。

例えばFXで25MAを見た場合、そこから価格が2〜3%離れたら、移動平均線の方向に戻る目安とされています。
それより大きな乖離率を設定すると、価格がそこまで達することが殆どなくなるので、サインとして機能しません。
小さすぎる乖離率では、すぐに価格が追い越してしまうので、やはり指標としては使えないでしょう。

エンベロープは、移動平均線を上下に移動させるだけの単純なインジケーターですが、扱いには注意が必要です。
適切に使うことで、エントリーや決済のタイミングを上手く測れる強力なツールとなるでしょう。

エンベロープとボリンジャーバンドの違い

エンベロープと見た目が似ているのがボリンジャーバンドです。

ボリンジャーバンドもエンベロープと同じく、移動平均線を元にして描画されるので、似てくるのは当然かもしてません。
しかしその中身は全く異なります。

エンベロープがシンプルに移動平均線からの乖離率で描画されるのに対し、ボリンジャーバンドは標準偏差を使って計算された結果が示されます。
その結果、相場の状態(ボラティリティ)に応じてバンドの幅が拡張・収縮し、これから水平に動くか大きく上下するかを示唆してくれるのです。

エンベロープはボリンジャーバンドのようにバンド幅が拡張・収縮することはなく、常に一定の幅で推移します。
そのため、相場の勢いを見る力はボリンジャーバンドには及びません。
しかしその分ダマシに遭う確率が下がり、判断を迫られる機会も減るので、初心者にとっては扱いやすいというメリットがあります。

また、ボリンジャーバンドではバンド幅を決める標準偏差の設定は、基本的に「1σ・2σ・3σ」の3種類しかありません。
それに対してエンベロープのバンド幅を決める乖離率は、1%未満から100%以上まで自在に設定できます。
カスタマイズ性はエンベロープの方が高いと言えるでしょう。

反面、どの時間軸でも共通して「1σ・2σ・3σ」の設定が使い回せるボリンジャーバンドに対し、エンベロープは時間足ごとに最適の乖離率を求める必要があります。
カスタマイズ性が高い分、設定には高い精密性が求められるでしょう。

エンベロープの開発者とは

ボリンジャーバンドは見た目がエンベロープに似ているという話をしましたが、実はエンベロープを開発したのは、ジョン・ボリンジャーという分析アナリストです。
つまりボリンジャーバンドの開発者自身が考案したインジケーターということになるので、両者が似ているというのも、不思議な話ではないでしょう。

ボリンジャーは、かねてより移動平均線をそのまま使って相場を分析するのには限界があると考えていました。
そこで価格との乖離率に注目し、移動平均線を使った新しい指標作りに取り組んだのです。

ボリンジャーバンドはエンベロープを発展させたものであり、両者は兄弟関係にあります。
そして計算方法の違いから見ても、エンベロープはボリンジャーバンドをシンプルにしたタイプであると言えるでしょう。

現在ではボリンジャーバンドの方が有名になり、FXの初心者でも多くの人が見かける存在になりました。
しかしシンプルに使えるエンベロープの方こそ、初心者には扱いやすい面があるでしょう。

エンベロープの計算方法

ではエンベロープを描画する計算方法について見ていきましょう。
とは言え、計算式はシンプルです。
また実際のトレードにおいて、計算式を知らなくても不利にはなりません。

計算式

エンベロープは、基準となる移動平均線をセンターラインとして中央に置き、その上下に表示させるラインです。
上のラインをアッパーバンド(UPPER BAND)、下のラインをロワーバンド(LOWER BAND)と言います。

エンベロープの計算式は、下記の通りです。

  • アッパーバンド
    = 移動平均線(n期間)×(1 + m%)

  • ロワーバンド
    = 移動平均線(n期間)×(1 – m%)

移動平均線の期間(n)と、乖離を示す距離(m)は、自由に設定できます。
また移動平均線はいくつかの種類から選べます。
センターラインは、上記で設定した種類や期間に合わせるのが前提です。

例えば、単純移動平均線(SMA)を使い、期間:n=14、乖離率:M=3%とした場合を見てみましょう。

  • センターライン = 14SMA

  • アッパーバンド = 14SMA × (1 + 3%)

  • ロワーバンド = 14SMA × (1 – 3%)

仮に14SMA(センターライン)が120円の場合、次のようになります。

  • アッパーバンド = 120 × (1.03)= 123.6円

  • ロワーバンド = 120 × (0.97)= 116.4円

エンベロープの見方・使い方

シンプルな計算方法で導かれるエンベロープについては、おおよその概要が掴めたでしょう。
ここでは実際の使用方法を簡単にお伝えします。

  1. 複数のラインを表示させよう

  2. 基本的な読み取り方

  3. エンベロープの最強の使い方は「逆張り」

  4. トレンド相場では「順張り」しよう

複数のラインを表示させよう

トレードに向かう前に、表示面でのおすすめをご紹介しておきましょう。
エンベロープは移動平均線の上下に1本ずつ表示させてもガイドとして成り立ちますが、複数のラインを使うと、より効果的に活用できます。

よく使われるのは、片側2本〜3本、両側合わせて4本〜6本程度です。
あまり多く出し過ぎてもどこを見ていいか分からなくなってしまうので、初心者の方は片側2〜3本くらいが良いでしょう。

外側のバンドになるほど、価格が到達する確率は下がりますが、到達するとそこからセンターライン方向に戻ってくる確率が高まります。

相場を見る時は、これらの帯状のラインの中で、現在の価格がどこにあるかに注目します。
センターラインから離れていて、なおかつ乖離線の近くに価格があれば、そこで反転する可能性が高まるでしょう。
さらに移動平均線の傾きから相場の状態を確認し、実際に売買に繋げるかどうかを判断することになります。

基本的な読み取り方

価格とエンベロープの関係から、大きくは3つのことが読み取れます。
それは「トレンドの転換」「トレンドの継続」「急騰や急落」のサインです。

■価格が反発した場合・トレンドの転換

最も基本的な読み取り方は、エンベロープに価格が接触した後、センターライン方向に折り返したタイミングです。

アッパーバンドに触れて下降したり、ロワーバンドに触れて上昇したら、トレンドの転換の可能性が高まります。

■価格が反発しなかった場合・トレンドの継続

エンベロープに価格が接触したが、そこから反発しないこともあるでしょう。
その場合、現状の勢いが強く、トレンドがそのまま伸びていくと判断できます。

価格がアッパーバンドに沿って上がって行く場合、上昇トレンドの流れをそのまま受けていることになるので、そのまま買いのパターンです。
ロワーバンドに沿って下がって行く場合は、下降の勢いに負けているので、そのまま売りが推奨されます。

■最終ラインを突破した場合・急騰や急落

最も外側のアッパーバンドやロワーバンドを抜け、バンドに沿うこともなく、そのまま離れて行ってしまうこともあります。

これはエンベロープの否定になるため、頻発するようならば、設定値が適切でない可能性があるので調整しましょう。
その上で、こうした局面が発生したら、通常の範囲でのトレンドを超えた状態と判断できます。

つまり、価格が激しく動く急騰や急落が起きているということです。

タイミングが合えばエントリーのチャンスにもなりますが、場合によっては高値掴みなどになってしまう危険もあるので注意しましょう。

■価格がセンターに貼り付く場合・レンジ相場

こうした動きがなく、いつまで経っても価格がエンベロープに到達しない相場もあります。
この場合、レンジ相場に陥っている可能性が高いので、ひとまず積極的なエントリーや決済は控えましょう。

エンベロープの元になっている移動平均線は、もともとレンジ相場を苦手にしています。
そこから派生したエンベロープも、動きのないレンジ相場では信頼性が下がってしまうのは避けられません。

エンベロープの最強の使い方は「逆張り」

基本的な読み取り方で示したように、エンベロープはバンドでの反発が期待できるので、使い方の筆頭はバンド際での逆張りです。

■サポレジラインとして考えよう

エンベロープは、「価格は最終的に、移動平均線の方に戻ってくる」という考え方に基づいているので、もともと逆張りを想定して作られています。
価格が移動平均線から離れるほど戻ろうとする力は大きくなり、それによる利幅も増えることになるので、チャンスです。
下記の点を心がけましょう。

  • アッパーバンドでの反発を活かして、「売り」のエントリーや決済

  • ロワーバンドでの反発を活かして、「買い」のエントリーや決済

バンド際で反発するという性格は、サポートラインやレジスタンスラインと同様です。
アッパーバンドやロワーバンドは、これらのラインとしても見なせるでしょう。

価格の推移から引いたサポートラインやレジスタンスラインが、エンベロープのバンドと一致していたら非常に強い指標です。

特に、天井圏や大底圏であることを示す水平線などが引けたなら、大きなトレンド転換の可能性が高まります。

■有効なのは、適度に動きのあるレンジ相場

一般的に、逆張りは、レンジ相場で効果的な手法です。
エンベロープを活用する場合も、適度なレンジ相場が有効でしょう。

価格が横に動く相場であっても、上下の動きがアッパーバンドやロワーバンドに達しているなら、そこが売買のタイミングとなります。

同じレンジ相場でも値動きが鈍く、価格がバンドに到達しないような場合は見送りです。
相場がどの状態にあるのかを見極めましょう。

■利確と損切りポイント

利確は、逆サイドのバンド際を目標にするのが、目安を付けやすい方法です。
ただ、そこまで到達しない可能性もあるので、センターラインをひとまずの目標にすると確実性が向上するでしょう。

損切りラインは、1つ外側のバンドに置くのが、分かりやすい方法です。
しかし、そこから価格が反発して戻って来たら、意味がなくなってしまいます。
そのため、バンドの少し外側に置く手もあるでしょう。

トレンド相場では「順張り」しよう

トレンドが強すぎる相場では、トレンド側のバンドに接触しても大きく反発せず、そのまま進んでしまうことがあります。
この場合、先ほどの逆張り手法は通用しにくくなるため、相場がどの状態にあるのかを見極めることが必要です。
もし相場がトレンド状態にあるなら、そこで有効となるのは順張りです。

■バンドに沿って動く、バンドウォークを利用しよう

相場に勢いがある時、バンドに沿うように価格が動いて行くことを「バンドウォーク」と言います。
バンドウォークが出現したら、その勢いを利用して、トレンドフォローの順張りを行いましょう。
エンベロープのバンド際で反発するかしないかを確認し、反発せずにバンドウォークを始めたら、そのまま勢いに乗るのです。

バンドウォークで難しいのは、利確目標を決めにくいことです。
多くの場合、いったん始まったバンドウォークがどこで終わりを迎えるのか、エンベロープだけでは事前に予測できません。
また既に大きく動いている価格を順張りしているので、損切りラインも流動的です。
価格の伸びに応じて少しずつ損切りラインを上げていく、トレール方式が良いでしょう。

■バンドを超えて遠ざかってしまった時

バンドウォークはあくまでバンド沿いに価格が動く状態ですが、さらに勢いが強いとバンドから離れて行ってしまうこともあります。
この場合も、その勢いを活かし、順張りによるエントリーや決済を行いましょう。

バンドの表示に標準偏差を使うボリンジャーバンドでは、勢いに応じてバンドが拡大するため、こうした現象はほとんど発生しません。
どんなに値動きが大きくてもバンドが拡大するので、結局その縁を移動することになり、バンドウォークが維持されるからです。

しかしセンターラインから等距離のまま変わらないエンベロープでは、往々にしてバンドから離れて行く現象が発生します。
この場合、バンドから離れた時が、買いや売りのエントリーのタイミング。
そして、価格がバンドに戻ってきた時が、決済のタイミングです。

■センターラインも起点にできる

バンドの縁でバンドウォークや、さらに大きく抜けて行くのを待つ手もありますが、それより早くエントリーできれば慌てることもなく利幅も取れます。

そこで注目したいのがセンターラインです。
センターラインとは言うものの、その正体は一般的な移動平均線ですから、基準として使うことには何の問題もありません。

トレンド相場では基本的に価格は移動平均線の上にありますが、その途中では何度か移動平均線と交差することもあります。
上昇トレンドでは押し目買い、下降トレンドでは戻り売りのチャンスです。

しかし、トレンドが転換したのか一時的な踊り場なのか、そこで見極めるのは簡単ではありません。
そこでポイントになるのが、再び移動平均線を超えてトレンド方向に戻るかどうかです。
戻るようなら引き続きトレンドが継続する可能性が出てきます。

エンベロープでも同様に、センターラインを抜けたら、そこで順張りエントリーを行います。

そしてトレンド側のアッパーバンドやロワーバンドに達したら、そこが一先ずの利確ポイントです。
ただ、そのまま抜けたりバンドウォークに移る可能性もありますので、注意深くその後の推移も見届けてください。

損切りは逆方向のバンドが候補ですが、うまく順張りできた場合はセンターラインや、価格に合わせて移動ささるトレール方式に移行しましょう。

エンベロープのMT4/MT5表示・設定方法

エンベロープは、MT4/MT5に標準で搭載されているので、すぐに使うことができます。

  1. チャートに表示させる

  2. 各種の設定について

  3. 乖離率や移動平均線の適切な設定値とは?

チャートに表示させる

メニューバーの「挿入」から、「インジケーター」>「トレンド」>「Envelopes」と進みます。

「ナビゲーターウィンドウ」からでも可能です。

選択するとエンベロープの設定画面が開き、乖離率や平均線の期間、ラインの色や種類などが変更できます。
特に変更がない場合は、そのまま「OK」を押してください。
選択されているチャートにエンベロープが表示されます。

なお、MT4/MT5の場合、エンベロープの設定の中にセンターラインの表示機能はありません。
あらためてインジケーターリストの中から「Moving Average」を選択し、チャートに表示させてください。
期間や種類は、エンベロープで使っている移動平均線の設定に合わせます。

各種の設定について

設定画面で変更できる内容について説明しましょう。
適切な数値などの詳細は、後ほど個別に行います。

■「設定」タブ

①期間
移動平均に使う期間を設定できます。
初期設定は「14」です。
そのままでも大きな問題はありませんが、使う時間足に合わせて変更しても良いでしょう。

②表示移動(※MT5では「シフト」)
バンドの位置を左右にずらす場合に設定します。
初期設定は「0」です。
数値を0より大きくすると右に移動し、小さくすると左に移動します。

③移動平均の種別(※MT5では「種別」)
エンベロープで使う移動平均線の種類を設定します。
初期設定は「simlpe」です。
それぞれ、下記のような種類となります。

  • simlpe:単純移動平均線(SMA)

  • exponential:平滑移動平均線(EMA)

  • smoothed:平滑移動平均線(SMMA)

  • linear weighted:線形加重移動平均線(LWMA)

④適用価格
エンベロープで使う移動平均線の計算に使う値を設定します。
初期設定は「Close」です。

  • Close:
    時間足の終値を使います

  • Open:
    時間足の始値を使います

  • High:
    時間足の最高値を使います

  • Low:
    時間足の最安値を使います

  • Median Price(HL/2):
    時間足の最安値と最高値を足し、2で割った値を使います

  • Typical Price(HLC/3):
    時間足の最安値と最高値と終値を足し、3で割った値を使います

  • Weighted Close(HLCC/4):
    時間足の最安値と最高値と、終値を2倍した値を足し、4で割った値を使います

  • First indicator’s data:
    最初に表示したインジケーターの値を使います
    ※MT5では「始めのインディケータデータ」

  • Previous indicator’s data:
    最後に表示したインジケーターの値を使います
    ※MT5では「前のインディケータデータ」

⑤偏差
エンベロープで表示させる線の上下幅を設定します。

■「色の設定」タブ

バンドの線の設定ができます。

  1. 上限:
    アッパーバンドの色・種類・太さが設定できます
    ※MT5では「上バンド」

  2. 下限:
    ロワーバンドの線の色・種類・太さが設定できます
    ※MT5では「下バンド」

■「レベル表示」タブ

偏差で設定した数値を基準に、複数のバンドを表示させる機能です。

レベル設定を「0」にするとセンターラインとなり、「1」にするとアッパーバンドから偏差の数値分だけ、外側にラインが追加されます。
数値をマイナスにするとロワーバンド側に表示されますが、線ごとに色は変えられません。

初期設定では、標準で表示されるアッパーバンドとロワーバンドの色が赤と青で異なります。

それに合わせることは出来ないので、合わせたい場合は、複数のエンベロープを追加する方が良いでしょう。
特に拘らないのであれば、このように単体でまとめて設定する方が簡単です。

乖離率や移動平均線の適切な設定値とは?

エンベロープには、バンドの乖離率と移動平均線の期間という2つの重要な設定項目があります。
どちらかを変えると結果に影響を及ぼすので、両方をいじるのではなく、片方を固定して調整する方が効率的です。
まず、移動平均線の方から検証しましょう。

■移動平均線の設定

エンベロープは移動平均線を上下に移動させたものなので、当然ながら、基準となる移動平均線の期間を決めなくてはなりません。
普段からよく使っている期間があれば、それをそのまま使うのがおすすめです。

とは言え、ゴールデンクロスなどを見るために、複数の期間を同時に表示させている人も多いでしょう。
しかしエンベロープで使う移動平均線は1本なので、どの期間を使ったら良いのか、迷ってしまうかもしれません。
その場合、使っている中で最も短い期間の数値を使ってください。

実際にエントリーや決済のタイミングを決める時、参考にするのは一般的に短期線です。
長期線は全体的な傾向を見たり、ゴールデンクロスなどの発生を見る目的が多いでしょう。
エンベロープの利用方法は、売買のタイミングをピンポイントで掴むことですから、長期線より短期線を使うことが理にかなっているのです。

よく使われる期間は、初期設定でもある「14」ですが、「20」や「25」など、他の数値でも問題ありません。
ただ、数字を小さくし過ぎると反応が過敏になってダマシになってしまう可能性が高まります。
逆に大きく過ぎると反応が鈍くなり、売買チャンスを逃すことに繋がります。

移動平均の期間を決めたら、続いて、乖離率の設定に移りましょう。

■乖離率は実際に試して調整する

乖離率を示す単位は「%」です。
「1」であれば1%、「2」であれば2%の価格差のラインが、センターラインの上下にセットで表示されます。
これらが、エンベロープのバントとなるわけです。

バンド幅の適正な数値については、絶対的な正解がありません。
それは移動平均の期間やチャートの時間足、さらに通貨ペアによっても、値動きの特徴が異なるからです。

特に時間足は、価格に対する1本当たりの上下の動きがチャート次第で大きく変わります。
1分足で動く範囲と、1分足が1440本集まって出来る日足で動く範囲とでは、全く異なることは分かるでしょう。

結果として個々のチャート単位で見た時に、ローソク足がバンド際で反発したり、バンドを沿って伸びるような動きを見せる数値が最適解となります。
一般的な目安は2〜3%とされていますが、かなり限定された環境での適正値であると言えるでしょう。

一例ですが、下記のような数値で設定し、実際に上手く機能するかどうかを試してみましょう。

移動平均期間14の場合の乖離率(%表示)

  • 1分足:0.01~0.05%

  • 5分足:0.05~0.1%

  • 15分足・30分足:0.1~0.25%

  • 1時間足:0.25~0.5%

  • 4時間足・8時間足:0.5~1.0%

  • 日足:1.0~2.0%

  • 週足:2.0~4.0%

■乖離率の実例

下記チャートは、以下の設定をした場合のエンベロープです。

  • USD/JPY

  • 1時間足

  • 期間14

  • 種別SMA

  • 偏差0.5%

バンドが価格の高値や安値と離れているため、サインとしてはあまり機能していません。
そこで偏差を半分の「0.25%」に変更してみましょう。

かなりヒットするようになったことが分かります。

また、同じ設定を「GBP/JPY」に適用させたのが下図のチャートです。

ここではバンドの幅が少し狭いようにも感じます。
数値としては、もう少し大きくした方が良いと判断できるでしょう。

そこで偏差を「0.3%」にすると、バンドと価格の対応が改善されます。

このように、通貨ペアごとのボラリティの違いも反映させることで、エンベロープはより使える指標になっていくのです。


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エンベロープを用いたトレード手法

エンベロープの基本的な使い方は説明しましたが、より実践的な手法も見ていきましょう。

  1. 他のテクニカル指標を組み合わせる

  2. スキャルピングは、1分足と5分足を使い分ける

他のテクニカル指標を組み合わせる

エンベロープは有力なインジケーターですが、単独で使うより他の指標を組み合わせた方が、信頼性がより高まります。
そこで、組み合わせて使いたい指標をいくつか紹介しましょう。

■RSI

まず、真っ先に使って欲しいのが「RSI」です。
RSIはエンベロープと同じく相場の過熱感、売られすぎや買われすぎを可視化するので、組み合わせやすい特性があります。

期間設定は初期状態(13)のままで構いません。
9〜12など少し短くすると、サインとして働きやすくなることもあるので、調整してください。

使用方法も標準的なやり方です。
価格がエンベロープのバンドに触れたら、RSIの数値を確認します。
上昇相場なら70%以上、下降相場なら30%以下になっていれば、そのままエンベロープのサインを信じて売買しましょう。

バンドに触れたが、RSIの数値条件を満たしていない場合は、その取引を見送ります。
赤線の部分は、その状態になっている場合です。

それぞれ、バンドに触れても大きな反発をせず、そのまま元の方向に進んでいることが分かります。
こうすることで、片方のサインだけで判断するより勝率が上がるので、おすすめです。

■フィボナッチリトレースメント

フィボナッチリトレースメントは、過去の値動きから、今後の値動きの山や谷を予測する水平ラインを複数示してくれるインジケーターです。

エンベロープはバンド際での反発を狙う逆張りが主な使い方ですが、フィボナッチリトレースメントも水平線での反発を狙います。

両者の手法が似ていることから、その指標が合致した場合、売買の根拠が補強されるのです。

フィボナッチリトレースメントで重視されるのは、38.2%や61.8%のラインになります。
価格がエンベロープのバンドに触れた時、フィボナッチリトレースメントのラインも近くにあれば、大きな売買チャンスです。

また、100%を超えたラインを利確目標に出来るのも、フィボナッチリトレースメントを併用するメリットになります。

スキャルピングは、1分足と5分足を使い分ける

スキャルピングは、ごく短時間にトレードを繰り返し、小さな利益を積み上げていく手法です。
その性格上、向いているのは価格が細かく上下しており、動きの上端や下端で逆張り狙いのできる相場となります。
つまりエンベロープを活用しやすい手法と言えるわけです。
そこで、スキャルピングに特化したトレード手法を取り上げましょう。

■基本的なやり方

スキャルピングを行う場合、1本調子のトレンド相場ではなく、周期的に価格が上下していることが前提条件です。
そこで「バンドの上端で売り下端で買う」という、エンベロープの基本に則ったトレードを行います。

スキャルピングでは、薄くても利益を抜くことが重要です。
利確ポイントは、必ずしも反対側のバンドに置く必要はありません。
センターラインにするか、もしくはpips幅を決めてしまい、予約決済してしまう方が良いでしょう。

合わせて、損切りも浅めに入れておきます。
勝負は一瞬で決まることもあるので、価格が逆方向に進んでしまうと危険です。
指値と逆指値を同時に予約できるOCO注文を使うと確実でしょう。

■どの時間足を使うか?

スキャルピングは目先の動きに集中すれば良いので、長い足で相場環境を見たりするような手間は、それほど重要ではありません。
それより、短期に足が閉じる1分足を使うか、それなりに猶予のある5分足を使うかがポイントです。

一般的にはスキャルピング=1分足、という認識が強いでしょう。
1分足は比較的動きが読みやすく、成功率が高いのが特徴です。
反面、動く幅が小さくなるので利幅は小さく、価格がバンドに触れる機会も少なくなります。
つまり勝率は高いがチャンスは少なく、取れる利幅も薄くなりがちということです。

それに比べ5分足では、動きが大きくなるので価格がバンドに触れやすく、得られる利幅も大きめに取れます。
しかし、成功率は1分足より下がる傾向となります。

いずれも一長一短があるため、実際のチャートを見てどちらのバンドが効いているかを確認し、選んだ方が良いでしょう。

エンベロープ利用時の注意点

最後に、エンベロープを使う時の注意点について、お伝えします。
使い方はシンプルですが、下記のような相場ではサインが正確に機能しない可能性が高まるので、エンベロープの利用は見送りましょう。

  1. 値動きが殆どない場合は機能しない

  2. 急激な値動きをしている相場は避ける

  3. 既にトレンドが発生している場合は見送る

値動きが殆どない場合は機能しない

エンベロープでは、バンドまで価格が達しなければ、エントリーの機会が発生しません。

時間足や通貨ペアなどの要素もありますが、同じ条件であっても市場に参加者が少なかったり、大きな取引が終わった時間帯などでは一時的に値動きが弱まることがあります。

そうした環境ではエンベロープは当てにできません。
取引スタイルによっては、そうした時間帯が長くなってしまう可能性もあるでしょう。

その場合、乖離率を小さくすることでバンドへの接触を増やす手段もあります。
しかし、そもそも値動きが無ければ取れる利幅も小さくなるため、あまりおすすめは出来ません。

急激な値動きをしている相場は避ける

「移動平均線から離れると戻ってくる」性質を使うため、一定の穏やかな値幅で動く相場では機能しますが、急激な変化を伴う相場は苦手です。

例えば、定期的な統計の発表や要人の発言などに相場が反応し、激しい動きを見せるような時期は、使用を控えましょう。
そもそも、そうした場面では多くのテクニカル指標は信頼性が下がります。
トレード自体を休止するのが無難です。

既にトレンドが発生している場合は見送る

いわゆる乱高下ではなくても、一方向に強い流れが生まれている場合、バンドでの反発より勢いの方が勝ってしまうことも珍しくありません。
その場合、逆張りではなく順張りで追いかけるのがセオリーですが、問題はどこまで伸びるかが分からないことです。

飛び乗った瞬間、そこから折り返してしまう可能性もあるでしょう。

バンドを超えたタイミングを捉えられれば良いのですが、それを逃した場合、後からエントリーするのは危険と言えます。
むしろバンドから離れた価格が、再びバンド内に戻ってくるタイミングでエントリーを検討した方が、大きく負ける危険を減らせるでしょう。


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