ヒンデンブルグオーメンとは?点灯する条件やメカニズム、想定されるシナリオを解説
ヒンデンブルグオーメンが点灯すると、米国株式の株価が下落すると言われています。
FXと株価は関係ないのでは?と思う方もいるかもしれません。
しかし、世界の金融の中心となっている米国株式の暴落は為替にも関係してきます。
またCFD取引においては米国銘柄を中心に直接的な影響を受けます。
相場分析のヒントを得るためにも、ヒンデンブルグオーメンを理解しておきましょう。
この記事は、ヒンデンブルグオーメンの基礎知識やメカニズム、シグナルの点灯条件などをまとめています。
ヒンデンブルグオーメンとは
ヒンデンブルグオーメンとは、米国株式の株価急落を予兆するシグナルのことです。
4つの条件を満たすとシグナルが点灯し、それから30日以内に株価の下落が発生すると言われています。
盲目の数学者「ジム・ミーカ」が導き出したテクニカル指標です。
ヒンデンブルグオーメンについて、以下の順番でさらに詳しく解説していきます。
ヒンデンブルグオーメンの的中率
どこで確認できる?
ヒンデンブルグオーメンの的中率
ヒンデンブルグオーメンの的中率は、1ヵ月以内に80%の確率で株価が5%下落します。
さらにヒンデンブルグオーメンが点灯したときに、パニック売りが発生する可能性が約40%、市場がクラッシュする可能性が約25%と言われています。
的中率は100%ではないものの、テクニカル指標の中では非常に高い的中率を誇ります。
近年の米株式市場において、重大な株価暴落が発生したケースでは、すべてにおいてヒンデンブルグオーメンが点灯しています。
どこで確認できる?
ヒンデンブルグオーメンの状態は、カイカ証券が運営しているeワラントジャーナルのサイトやTwitterで確認できます。
更新は毎営業日です。
ヒンデンブルグオーメンが点灯してから30日間が株価の下落警戒期間となります。
ヒンデンブルグオーメンの点灯条件・メカニズム
ヒンデンブルグオーメンは以下の4つの条件を満たすと点灯します。
ニューヨーク証券取引所で52週高値更新銘柄数と52週安値更新銘柄数がともにその日の値上がり、値下がり銘柄合計数の2.2%以上
52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の2倍を超えない
マクレランオシレーターの値がマイナス
NYSEインデックスの値が50営業日前の値を上回る
それぞれの条件がシグナル点灯や株価の下落につながる理由やメカニズムを解説します。
ニューヨーク証券取引所で52週高値更新銘柄数と52週安値更新銘柄数がともにその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上
一般的に高値更新している銘柄が多いと「株価は上昇」、安値更新している銘柄が多いと「株価は下落」方向に進んでいきます。
過去52週間の高値更新銘柄と安値更新銘柄が、ともにその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.2%以上ということは、高値更新と安値更新の銘柄が混在し、相場が均衡状態になっていることを表しています。
株価上昇の力が低下し始めている状態とも言えます。
52週高値更新銘柄数が52週安値更新銘柄数の2倍を超えない
高値更新銘柄数が安値更新銘柄数の2倍を超えないということは、株価が上昇している局面ではあるものの、2倍を超えるほどの勢いがなく相場が下降傾向に入ったと言えます。
FXのトレンドで言うと、上昇トレンドの勢いが低下して価格が横ばいになりはじめ、下降トレンドに転換するシグナルが見え始めた状態です。
マクレランオシレーターの値がマイナス
マクレランオシレーターとは、株式のトレンドを判断するために使われるインジケーターです。
具体的には、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差を並べ、2つの差の短期指数移動平均と長期指数移動平均を求め、この2つの移動平均の結果からトレンドを判断していきます。
マクレランオシレーターの結果がプラスなら上昇トレンド、マイナスなら下降トレンドになります。
値がマイナスになったら点灯するということは、上昇トレンドから下降トレンドに移行したと言えます。
NYSEインデックスの値が50営業日前の値を上回る
NYSEインデックスとは、ニューヨーク証券取引所に上場されているすべての普通株を対象としている調整時価総額加重平均指数です。
これはニューヨーク証券取引所に上場している普通株の株価を平均化した指標になります。
NYSEインデックスの値が50営業日前の値を上回るということは、株価が上がっていることを意味します。
NYSEインデックス単体で見ると、これから株価が下落する根拠はありません。
しかし、他の点灯条件で株価の下落シグナルが表れているとどうでしょうか。
株式全体が異常に高騰している状態と言えるので、反発して下落が発生すると予想できます。
そのため、NYSEインデックスの値も点灯の条件の1つになります。
直近の点灯開始日とその後の値動き
ここでは、直近のアラート点灯開始日とその後の値動きについて検証しています。
2022年
2021年
2020年
2022年
2022年は4回ほどヒンデンブルグオーメンが点灯しています。
※2022年8月時点
1/11
1/17
2/14
4/7
実際、点灯後に米国株式の株価は下落したのでしょうか。
以下の画像をご覧ください。
2022年においては、点灯後にすべて大幅下落が発生しているのが分かります。
ちなみに、S&P500とは、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場・登録している500銘柄を時価総額で加重平均して指数化したものです。
2021年
2021年は8回ほどヒンデンブルグオーメンが点灯しています。
3/3
3/24
5/12
7/28
8/18
9/29
11/18
以下の画像をご覧ください。
2021年においては、8回の点灯のうち6回ほど下落しています。
シグナル通りにならなかった3/3と7/28は、どちらも1ヵ月以内に再びヒンデンブルグオーメンが点灯しています。
2回目の点灯のあとは下落していることからも、完全に外れたというよりは、点灯するのが早すぎたとも言えます。
2020年
2020年にヒンデンブルグオーメンが点灯したのは1/28の1回のみでした。
以下の画像をご覧ください。
下落はしているものの、すでに下落が始まったタイミングで点灯しています。
点灯して3日後には再び上昇に転じていることから、ダマシと捉えることもできます。
このように、ヒンデンブルグオーメンが点灯した後の値動きにはさまざまなパターンがあります。
ヒンデンブルグオーメン点灯後の注意点
ヒンデンブルグオーメン点灯後の注意点として以下の3つがあります。
ヒンデンブルグオーメンは当たらないこともある
アラート点灯直後に下落するとは限らない
株価が下落してもドル安になるとは限らない
それぞれ解説します。
ヒンデンブルグオーメンは当たらないこともある
ヒンデンブルグオーメンは高い的中率を誇るものの、アラート点灯後に株価が上昇して当たらないこともあります。
的中率が約80%なので、5回のうち1回は外れる計算です。
このように、ヒンデンブルグオーメンの根拠となる4つの条件が揃っても例外はあります。
CFDでS&P500やNASDAQ100などの取引を行うときは、アラート点灯後に売りポジションを保有すると利益につながる可能性が高いです。
しかし、下落しないケースもあることから、損切り注文を入れて備えたり、取引量を減らしたりするなどの備えも必要になります。
アラート点灯直後に下落するとは限らない
ヒンデンブルグオーメンは、アラートが点灯してから30日間有効です。
過去の例を見ても、アラートが点灯した直後に下落しているケースもあれば、2週間〜4週間ほど経ってから下落を始めるケースもあります。
またアラートが点灯したタイミングですでに下落が始まっており、2日〜3日ほど経過すると上昇に転じるようなこともあります。
ヒンデンブルグオーメンは、下落の細かなタイミングが予想できないことに注意してください。
株価が下落してもドル安になるとは限らない
ヒンデンブルグオーメンを為替に活用する場合はドルの値動きに注意してください。
米国株式の株価が下がることはアメリカの経済悪化につながります。
通常であれば、ドル安に進むことが想定されます。
しかし、実際はヒンデンブルグオーメンが点灯して株価が下落してもドル安には進まないケースが多いです。
下の画像をご覧ください。
S&P500とドル円のチャートを並べています。
ヒンデンブルグオーメンが発生した直後にS&P500では下落が見られます。
一方、ドル円では価格が横ばいになっており、最終的にはS&P500が下落しているにも関わらずドル高円安になっています。
ドル高になっているのは、ドルが安全通貨に位置付けられているからです。
アメリカの株価が下がることは、世界の景気に悪影響を及ぼすことにつながります。
ドル円で言うと、アメリカの経済悪化がもたらす日本への影響によって生じる円安圧力の方が、安全通貨のドル安圧力よりも強くなるというわけです。
このように、株価が下落してもドル安になるとは限らないので注意してください。
ヒンデンブルグオーメンに関するよくある質問
ここでは、ヒンデンブルグオーメンに関するよくある質問をまとめています。
ヒンデンブルグオーメンの仕組みを教えてください
ヒンデンブルグオーメンは米国株式が暴落する前に表れるシグナルです。
4つの条件から成り立つインジケーターの一種で、このシグナルが表れると30日以内に80%の確率で米国株式の株価が下落します。
ヒンデンブルグオーメンが当たらないことはありますか?
約20%の確率で外れる可能性があります。
アラートが点灯してから30日以内に下落が始まるシグナルなので、点灯してもすぐに下落しないこともあるので注意してください。
ヒンデンブルグオーメンはどんなシーンで使えますか?
株式のシグナルなので、CFD取引に役立ちます。
特にS&P500、NASDAQ100、NYダウ先物など、アメリカの関連銘柄の値動きを予想するのに最適です。
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