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馬糞(ボロ)の話

前回までのあらすじ

ウマ娘にはまって乗馬をはじめたものの、乗馬にはとてもお金がかかる。

前回最後に『次回は何かを書くか考え中ですが、「乗馬クラブ入会後のレッスンがどのように進むか」「乗馬クラブにいる馬」「今まで集めた競走馬のビデオのこと」「奈良競馬場跡と鳴尾競馬場跡に行った話」のいずれかについて書くと思います。』と書きましたが、予告を無視して今回は馬糞、ボロ、つまり馬のウンコの話です。みんな好きでしょう、ウンコの話。
今回は乗馬クラブに通ってから今まで見聞きしてきた馬糞にまつわる話を書きます。

ボロとは?

馬糞のことをボロと言います。ボロの語源については、

  • 馬糞が丸いことから「ボール」を語源とする説

  • ボロボロ出るからボロという説

等を乗馬クラブでよく聞きますが、確かなソースが見つけられませんでした。また、短所、欠点、失敗をあらわにすることを

  • ボロが出る

と言いますが、これを「馬がボロを出しているさまから」と説明している人も見受けられるのですが、こちらのボロは「襤褸」すなわち使い古しの布や衣服のことを指していると思うので、直接の関係は無いのではないかと思います。

森鴎外の「金貨」(1909)では、「馬の糞(ボロ)を捨てる箱があったので」という表現があるので、1909年時点では言っていたことがわかります。

古来から木曽馬等の日本在来種がいたことを考えると、昔から馬糞のことを「ボロ」と言ってた可能性はあると思うので、近代になって英語由来でボロと呼ばれるようになったという説明は無理があるんじゃないかなぁ?と思いますが。いずれ確かなことがわかったらまた書きたいと思います。

ボロはどんなものか?

できたてホカホカのボロは抹茶のような緑色ですが、出してから数分で茶色に変わります。
ボロの状態で健康状態がわかるといわれており(まぁこれは人間含めてほかの動物もそうなので当たり前ですが)、お尻からプリッと出て地面に落ちたときに3,4つに割れる程度の硬さがちょうどよいと言われてます。
通常、一日合計15~25kg出すと言われています。競馬でもパドックで落ちているのをよく見かけます。ちょっとでも軽量化できるので有利では!?と考える人もいますが、体重500kg近い馬の1回の馬糞の重さは数キロ、つまり体重の1%程度なので、レースには影響はないというのが一般的な考え方のようです。また、「ウンを落とす」ということで嫌うファンもいるようです。
ボロの匂いですが「まぁ、草食動物のウンコだな…」という感じです。競馬場のパドックでも馬糞が落ちてると匂いがしますね。私はあんまり気になりませんでしたが、人によっては気になると思いますし、もしかすると乗馬をやるかどうかの一つの篩なのかもしれません。(まぁ馬は汗やヨダレや尿など匂いのことを言い出すときりがありません。)

ボロをどんなふうに出すか?

自分が乗っている馬が出すときは、大概止まります。鞭や拍車でけしかけてもなんか動かないな、よく見ると息んでプルプルしてるな、と思ったらボロです。邪魔するのもかわいそうなので出し終わるまで待ちましょう。

別の人が乗っている馬、特に前を走る馬が出すときは、やはり大概止まります。しっぽがフワ~~~と持ち上がったなと思ったら、尻の穴が開いて直腸が見えて中からホカホカのボロがコンニチワしてぼとぼと地面に落ちます。追い越すわけにもいかないのでやはり出し終わるまで待ちましょう。

ボロをどこで出すか?

乗馬クラブで馬を見ていると、ボロを出す場所は下記のいずれかです。

  • 馬房で出す

  • 洗い場で出す

  • 馬場で出す

  • 移動中に出す

つまりどこでも出る可能性があります。

馬房で出す

馬房で出す場合はさらに下記の場合分けがあると思います。

  • 定位置に出す

  • ランダムな位置に出す

  • ウォーターカップに出す

定位置に出す子は少数派です。きれい好きなのかもしれません。厩務員の方も片づけが楽とのことです。
多くの場合、ランダムな位置に出します。
ウォーターカップというのは馬房内に設置された水飲み場のことです。ここに尻を向けてウンコするやつがちょいちょいいます…お前それ飲むんか…

ウォーターカップ(出典:JRA 馬の資料室)

洗い場で出す

自分の馬が洗い場でボロを出した場合は箒と塵取りで片づけます。片づけるときに後肢で蹴られないように馬体をちょっと押してどいてもらいますが、どかないときはどかない。

馬場で出す

レッスン中に馬場で出すパターンはかなり多いです。現在までに以下のようなパターンを見ました。

  • 立ち止まって出す

  • 歩きながら/走りながら出す

  • ちょっと脇にそれて出す

立ち止まって出す場合がほとんどです。複数人でレッスンを受けていても1頭がボロを出したくなって止まれば全員止まらざるを得ません。でも生理現象だから仕方ない。
歩きながら/走りながら出せる馬はちょいちょい居ます。彼らはせっかちなのかもしれません。
ちょっと脇にそれて出す馬は頭がいいなと思います。これはどういうことかというと、初級の乗馬レッスンではひたすら同じルートをぐるぐる回るのですが、回っているうちに蹄で地面が押し固められて幅30cmぐらいの溝(蹄跡)ができます。この蹄跡から自ら脇にそれてそこでウンコする馬がちょっとだけ居ます。そりゃぁ蹄跡の上で出したら1周回った後に自分で自分のウンコを踏むことになるからね。

移動中に出す

馬房から洗い場への移動中とか、洗い場から馬場への移動中とか、人間も含めてみんなが通る往来で出さないでくれとかそんなのは人間の都合であって、出したくなったらとにかく出す。動物だから。ただし移動をウンコタイムだと学習してしまって、移動中必ず出す馬は一定数いるようです。

出したボロはどうなるか?

肥料として利用される

ゴミ箱に回収された馬糞は肥料として再利用されるようです。

馬糞を引き取る農家さん等を募集する乗馬クラブもたくさんあります。

食う

何言ってるかわからないと思いますが、一部の馬はウンコを食います。これをボロ食いと言います。ボロを食べる理由としては、

  • 飼料中の繊維不足

  • 飼料全体のエネルギー不足(給与量が少ない)

  • 精神的あるいは何らかのストレス

が挙げられるようです。詳しくは下記のページの通りです。

ボロの中にはまだ栄養価があるようですが(だから肥料になる)、細菌や場合によっては寄生虫もいるので食べさせてはいけません。レッスン中に馬がボロの匂いを嗅いでいたらそれは食べる予兆なので手綱を引っ張って食べさせないようにしましょう。人目がないときに馬房で出した自分のボロを食っている可能性もあるため管理は難しいようです。

馬場にまぜまぜされる…

馬場で出したボロ、特にレッスン中に出したボロは片づけている暇がありません。また、ほとんどの場合、蹄跡に上に出すので、後続する馬に何度も何度も踏まれ、砕かれ、やがて土と見分けがつかなくなります…特に雨の日は一体どこに出したかすぐにわからなくなります…そんな馬場の上を、レッスンの前後では馬を曳きながら行き来します。馬が戯れに前掻きでもしようもんなら、ウンコ混じりの泥水が自分にかかります。

先ほども述べましたが、馬の匂いに耐えられるか、もっと言うと馬のウンコに耐えられるかが乗馬を始められるか/続けられるかどうかの篩の一つなのかもしれません。

雨の日の馬場で汚れたチャップスやブーツを洗うとき「これウンコ混ざってるんだろうな…」って思う

次回もお楽しみに!


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