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改稿作業と串焼きづくりは似てる

小説は、初稿が終わると、次は改稿ってやつがはじまる。
初稿もしんどいが、この改稿もしんどい。

改稿作業というのは、こう……まな板の上に置いた肉とか野菜とかを、「目指せ、最高の串焼き!」と己をふるいたたせながら、串でぐいぐい刺していく感覚に似ている。
肉と野菜をどの順序で刺していくか。あれこれ試して、最高の取りあわせを手探りで見つけていく。
ときに具材を入れかえたり、あるいは減らしたり、増やしたり……。

減らしたり増やしたりで言うと、私の場合は、だいたい増える。
だいたいというより、100%増える。
たとえば、これまで公募に投稿してきた小説たちは、全作、規定枚数を超過した。〆切直前に、「間にあうのかこれ」と顔面蒼白になりながら、何十ページも削ったりしてきた。削るスキルだけは妙に上がってしまった。
ばかばか! そんなスキルよりも、はじめから規定枚数に収められるスキルを手にいれてくれよ、翁……!

ちなみに、無事に削りおえると、安心してまた増える。こら。

けれど、具材に「ぐぐーっ」と串を入れていく感触は、つらい改稿作業の中でも、楽しい、と言える作業だ。いや、つらいけど楽しい、と言うべきか。
とくに、串がきちんと入っていってくれたときは、とても心地がいい。
ばらばらだった食材が、「串焼き」というひとつの名称を持つ料理へと変わっていく。
もちろん、うまく串が通らないと「こんなものお客さまに出せない」と絶望する。なぜ、一本の串を通すことが、これほどまでに難しいのだろう、と遠い目になる。
そういうときは、ひとしきりウダウダして、いったん途中まで通した串を泣く泣くはずす。うまくはまっていた手前の具材も串から外し、はじめからやり直したりする。つらい。つらすぎる。無限にウダウダしていたくなる。

そんな串焼きづくりを、今日もがんばる。
いつか「ハッ」の気合の一声で、具材を一発でつらぬきとおせる職人になれたらいいなあ(涙)

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