思考メモ4-コナトゥス

かつての僕は、人々のコミュニケーションを“お互いの誠実さを貨幣とする契約の元、相互に欲されている物を渡し合う事”と考えていた。

だが自らの“嘘”により僕はいつまで経っても“ほんとうにほしいもの”を受け取れないのではないかと考えていたのだ。

そうして、その解決策として僕は一度それを世界から”既に受け取っている“と仮定し、返礼しようと試みている。

全てを”正しい位置“に戻していくのだ。
これは言い換えれば、以前の僕が怠惰にも不正により受け取り続けた物を手放していく物語である。

この働きは既にとても苦しい。何十年間も欲し続け、不正によって得た物を元の場所に戻していく。

怒りにまかせ友人を悪者にしてしまった事、段々と、一時的に整合性が取れなくなっていく僕への不信感、そして次々と手元から全てが零れ落ちていく感覚、その全てが僕を苦しめている。

しかしこの働きは僕が人々のコナトゥスを尊重していく事なのだ。彼らが居たい場所に戻れるよう、より大きな完全性を得られるよう僕は努力と手助けをする。

彼らの本当の幸せに寄与するために。

それが最終的に僕を完成させることを願っている。
決してこの働きが、失敗に終わらないことを願っている。

こうして、今嘘をつかない事により、以前僕が嘘をついていた事が数日のうちに証明され切る事だろう。

その業火を僕は受け入れなければならないと思う。
それが収斂する頃にはきっと、僕もより大きな完全性に近づくはずなのだから。

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