カタチかココロか…
─それは吉野の山の山桜
川のほとりで水を浴む
吾の傍で笑む君は
舞う桜の如し─
「これでもう離れることはない。」
男は、空を見て隣で微笑み続ける女を見て
言った。
女は、もう男の問いには答えることはできなくなっていた。その代わり、少女のように微笑み
目に映るものを見ては嬉しそうにするだけだった。
男はそれでも良いと言い、女の髪を指でそっと梳いた。
女には、記憶がなかった。
今の瞬間と女の目に映る世界だけが全てだった。
続く…
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