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辻に立つ─歩むは心か足か─
─祓い給い
浄め給いて
鎮まり給うは
いつの世も変わらぬ心─
「ひとの感情は止められぬ」
聴こえてきた声にふと立ち止まると
そこは辻であった。
「あなたの声ですか。あなたは…?」
その問いに、辻に立つものは言った。
「私はいつもここにいて、気付いたものへ
問うている。幼い子どもや若い娘、年老いたものに私は問うてきた。
ここは、道。ここは、辻。
行き先を選ぶことができるが、辻に立つ私を
見ていない、知らなかったこととして
これまでと同じに歩むもよしとするならば、
お前はどうするか。」
こちらを見やりそのものは、更に続ける。
「…まるで祭りのようだった。泣き出すもの、
怒りだすもの、無邪気に選ぶもの、中でも
泣いていたものや怒りだしたものは、心を
掻き乱されていたようだった。それを見て
これは、祭りだ。感情の起こりは……
…人の祭りだと思った。
あぁ、私は黙って見ていた。ずっと。
ひとしきり、掻き乱されたあとは、ふっと
穏やかな表情を浮かべ、皆、様々な方向へ
歩いて行った。」
辻に立つものは、まるで懐かしい友を
思い出しているかのようだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1652083605912-upCU4CTxhe.jpg?width=1200)
辻に立つものの少し先には、道の先を
指し示すものがいた。
あまり話すことはなく、道の先で迷ったものに
道を指し示すのだそうだ。
「あのものは…」
と、問うと辻に立つものは、首を振り
静かに言った。
「あれは、そのようなものだ。迷ったものに
のみ見える。すると、あなたは何かを迷って
いるのかな?」
急にこちらに向いてきた問いに、驚きを
隠そうとするが、ふと答えた。
「…そうかもしれない。私に見えたという
ことは、つまりはそういうことなんだろう。」
そう答えた私に、辻に立つものは笑って
問うてきた。
「あなたは、どうされるか?」
その問いに私は……。
![](https://assets.st-note.com/img/1652083735290-xaLsyqwRMP.jpg?width=1200)
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