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何処かの彼方の大樹の話

古に思い馳せ
見つめ行くは
変わらぬ姿の香の山

大樹に向かい歩く
手を伸ばして大樹に触れる
その瞬間近くにいたものは慌てたように
「いけない!」
と叫んだ。
気づくと大樹の中に吸い込まれるように
入っていることに驚きを隠せない
近くにいたものは言葉を続ける
「その大樹に吸い込まれたらもう戻れない
吸収されてしまう、消えると言ったらいいか。
だから触れてはいけないんだ」
残念そうに言うそのものに答える
「大丈夫。出てこられるよ、見てて。」
すると、大樹からするりと抜けてきたのを
見てそのものは驚いたように目を見開いた。
「この大樹は吸収するが、それこそが
大樹すらも巡りなんだよ、
地上の木々もそうであるように。
抜けるにはコツがあるけれどね。」
と、銀色に光る大樹の幹をさすりながら言った。

これは、ある場所に在る大樹のお話。
どこかでいつか出会えるかもしれない。

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