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ただ在る、それは…

ただ、在ること。
それ以上もそれ以下も望まなかった。
『ただ、在る…それだけでいい』
……の場所で、俯いて言った言葉は
それだけだった。
感情までも自由にならなくてもいい。
ただ、此処に在る…それだけで良かった。
自分なら、そういうことを
必ず探して辿り、思い出す筈なのだから。
実感を伴って知った時、目を閉じて息をつく。
『…そうだったね。思い出したよ。』

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でも、左目から流れ続ける涙は止まらない。
感情は何を感じているのか、
只の反応なのか…
悲しいとも辛いとも、嬉しいとも感じない。
私に解るのは、此処で呼吸し、誰かと共に
笑い合う時、『此処に在るだけでいい』と
言ってしまう。『此処に在れて良かった』と
言う。
『自分が何者でも構わない。
ただ、在るだけで良かった。』
そんな自分の望みを聞いた者は
何も言わずそうした。

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そういうことを感覚で掴んだ時に思う。
誰かに必要とされる一瞬を知ることは
自分にとって、…にとって、
タカラだと思った。
此処に在って、生きている実感は
勿論ある。
今ここの時点で、何か変わったのだろうか。
繰り返している様で
変容を続けるこの世界で。

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大切な誰かがたくさんいてくれる
この世界で在れて良かったと心から思う。

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