金言345:短期取引

『東京の人にはわからないと思いますが、「あの人」が信用できる人どうかは、関西の人間にはわかるのです。』と、某業界大手の専務さんから言われたことがあります。

いわゆる、人を見る目はあるということ以外に、微妙なことを言われたのではないかと最近気がつきました。東京の人間にはわからない関西特有の事情といえば、平安時代から続く差別と東アジアの半島を植民地として長期間統治した明治時代からの民族問題があります。苗字や居住地や顔つき、しぐさなどで、ルーツが想像できるようです。さらに差別者と被差別者の間で予想される行動・思考パターンなどの暗黙知を加えることで、この専務さんは「あの人が信用できる人かどうか」分かっているとコメントされました。

そして、この専務さんは「あの人」を信用できない人物と評価した上で、信用しているふりをして、「あの人」が持ち込んでくる胡散臭い案件に関心を示しました。その案件にのれば、利益から口銭を請求されるのは当然として、仕入れや必要経費にまで法外な取扱手数料を上乗せされることを知っていながら、それでも儲かると計算されたのでしょう。

いわゆる「WIN・WIN」の紳士的な取引ではなく、必ずいつか破綻することを知りながら、自分だけはババをひかないことを前提にした何でもありの短期取引でした。専務さんにとって、「あの人」との付き合いは、業界大手として右肩上がりの恵まれた収益環境のもとで通用したビジネススタイルです。半年以上先のことは不確実ですが、1週間から1ヶ月程度は何となく予想がつきます。「あの人」との付き合いは、きっちりと一線を画した短期取引であったと、最近になってわかったような感じがします。

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