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金言531:一極集中の危うさ

2012年だったかコダック社がチャプターイレブン。倒産しました。
1975年世界初のデジタルカメラを開発していながら、当時儲かっていた銀塩フィルムにこだわり続けました。その結果、後戻りしないデジタル化の流れに逆行したコダックは市場から退場となりました。

儲かっている本業に集中して事業の多角化を嫌い、堅実に一極集中で事業展開する手口は、バブル崩壊後の生き残りの王道でした。身近な生き残り商売の例としては町の床屋さんでした。バブル期には周りが儲かっていても床屋さんの売上は変わりませんでした。顧客の髪はバブル期でも伸び率は変わらなかったからです。ところがバブルが崩壊したとき、証券マン、不動産屋、車のセールスマンが真っ青になっているときに、床屋のマスターは淡々と今までどおりの商売を続けられました。ウィズバブルでもアフターバブルでも、営業マンの髪の毛の伸び率は変わらなかったからです。営業マンは接客商売ですから調髪を1か月に1回から2カ月に1回にするわけにはいきませんでした。

ところが、100年に一度1000年に一度の天災・人災の後、消費マインドが変わり始めました。残りの人生で使いきれないほどの資産を持つ年配者が、子孫に残す分を減らし始めたのです。次は2000年に一度の首都直下型と東南海、それに富士山噴火と続き、東京・名古屋に壊滅的な打撃を与える天災がいつ起きてもおかしくないという有識者の警告が現実味を帯びてきたからです。家を残しても地震と火災で焼失、貴金属は津波や土砂や火災で無くなってしまう恐れがあります。地震保険をかけても、保険会社が潰れてしまうかもしれませんし、何よりも、有事の際に本人が生き残れるかどうかが全く不透明です。

そういう中で、町の床屋さんは、1000円から1800円程度の「髪屋はうす」などのチェーンに顧客をもっていかれて閑古鳥が鳴いています。現下の疫病感染拡大も逆風です。

老舗コダックの消滅より、一極集中のリスクと事業多角化のヘッジを見直す経営者が増えたはずです。負けているときも常に次の一手を考え、そのための軍資金を減らさないようにしながら市場調査やR&Dに先行投資していく企業が1000年に一度2000年に一度の有事にも生き残るに決まっていますから。

いただいたサポートはこれからやってくる未知のウイルス感染対策、首都直下型大地震の有事対策費用に充当します。