金言458:ダウングレード・ダウントレード

===昔話です。===
まだサプライチェーンマネージメントが定着していない頃、中国の工場では素材・デザイン・機能が本物にそっくりでラベルだけがちがうスーパーコピーが出荷されていました。

正規品を製造する工場で、同じ製造ライン・同じ材料・同じ従業員でつくっていたので、良質の偽物ができました。依頼主から支給された材料の余った分を使って工場長の裁量で作っていました。正規品についているブランドマークをPBに換えて出荷します。材料費にはほとんどコストがかかっていないので、低価格で正規品と同じ素材・機能・品質の商品を出荷できました。製造できる量と流通経路が限られ、大量に市場に出回るわけではないので、正規品の売上を脅かす恐れはなく、工場長の小遣い稼ぎとして業界では黙認できるレベルでした。

ところが、昨今の偽物ビジネスは、低価格で低品質のコピー商品を大量生産・販売するので、正規品メーカーと販売代理店の利益を圧迫しています。さらには、高機能・高品質の製造が得意なメーカーは、ダウングレード品の製造は苦手という事情がコピー商品の流通を一掃できない原因にもなっているようです。

疫病感染拡大が3年も続き、経済不況で雇用環境も厳しい現在、ダウングレード・ダウントレードが必須となっている経済環境で、高級ブランド品のライセンス権をどのように守るかという話題は、ロシアがウクライナ侵攻中のなかで憲法9条を守ると題目を唱える立憲共産党と似ています。少しずれているような感じがします。

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