金言321:フレッシュスタート=出直し

一時、横浜市内中心に神奈川県内のみで20店以上の店舗を展開していたレストランの話です。このレストランは、横浜駅で2店、関内・馬車道、本牧、狩場、三浦海岸などおなじみの観光スポットにありました。創業1969年のレストランです。今から10年以上昔のこと、菅直人が厚生大臣時代のO157の事故に続き、全国的な狂牛病騒動で焼肉屋・ステーキレストランが大打撃をうけるという逆風のなかで、倒産寸前に追い込まれ、リストラの結果、4店舗まで縮小して事業継続をはかりました。

久しぶりにランチに訪れたところ、おなじみの冷えた赤ワインがありませんでした。ワイン本来の味を楽しんでもらうため、常温でサービスすることにしたとのことでした。赤ワインは通常、常温で飲みます。それを冷蔵して提供するサービスを40年近く続けていたはずです。やはり、新たな経営者がサービス方法を変えたのだと思いました。我が家では、この店で初めて味わった冷えたカルフォルニア赤ワイン以来、赤ワインは冷蔵庫にいれています。ハシゴをはずされた気分です。

次に行ったときは、なんとお客様のナイフ・フォークを使わず、接客係がサービス用のナイフ・フォークで鉄板にのったハンバーグを半分に切ってソースをかけていました。感染予防対策です、これには驚きました。そして、新しい経営者は着実にレストランを運営していると感心しました。

これは、O157で営業停止処分を受けたとき、改善すべき内容でした。焼肉屋で生肉を焼くとき、お客様は自分の箸を使いません。それなのに、このレストランは生のハンバーグをお客様のナイフ・フォークを使って半分に切っていました。ここに食中毒のリスクがあることは、飲食業に携わる者の常識でしたが、100%牛肉でしっかりと衛生管理しているということで、リスキーなサービス方法を継続していました。それを是正しました。やはり、経営者が変わらないと創業以来のサービス方法は変えられなかったのだと納得しました。

常温の赤ワインで少し酔ったところで、店長を呼び、サービス方法の変更について理由を尋ねました。意外だったのは、こちらが、サービススタイルが変わった理由を代替わりのためと思い込んでいたところを、オーナーは変わっていないと40台前半の店長が言ったことです。会社は身売りしていないとのことでした。それなら、なぜ、O157の事故を起こした直後にサービス方法を変えなかったのかと聞きたいくらいでした。店舗数を大幅に削減しなければならなかった元凶は、BSEによる牛肉離れであったのですし。なぜ今頃になってといったら、評論家の後講釈になりますし。

何はともあれ、食中毒のリスクが減り、当分このレストランが存続する期待が持てたことはめでたいことです。捲土重来、フレッシュスタート(出直し)です。

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