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駿川たづなと秋川やよいとのモチーフが競走馬という話から思いついた駄文

「ウマ娘プリティーダービー」の登場人物の中で、「実はウマ娘ではないか」と言われている人物が約2名ほどいる。

一人は「駿川たづな」で、理事長秘書である。アニメだけではなくゲームにも出てきていて、サポートカードまで設定されているし、さらにはシンデレラグレイでも登場している。

もう1人は「秋川やよい」。トレセン学園理事長である。

「実はウマ娘」説は各項目を見ていただければわかる通りで、秋川やよいについてはやや弱いのであるが、駿川たづなは全力スプリントのウマ娘を追いかけるなど、なかなかの超人である。

で、ちょっと考えたのは、「ウマ娘ではないが転生前は競走馬だった」という設定ができないかな、ということで、思いついたら忘れないうちに書いておこうということで、以下に書き連ねておくことにする。もしこれをベースにしたいい絵が描けたら見せてください()

ここは天上界。一人の女神が乗馬を楽しんでいた。

天上界での乗馬は、地上界の乗馬とほとんど変わるところはない。違うのは、乗るのは主に女神であること、地上界で生きていた馬が活躍していること。そして、言葉によって意思疎通が可能というところである。女神たちは息抜きとして乗馬を楽しむのである。

女神「今日はありがとう、ノーザン。楽しい時間でした」
馬「いえいえ、楽しんでおられましたね。私なんかでよかったんですか」
女神「よかった、とは?」
馬「自分でいうのもなんですけれど、私なんかは脚は短いし、見た目もあまりすらっとしていないですから」
女神「いいえ、あなたの乗り心地はとても安定していましたよ」
馬「ありがとうございます。体がしっかりしているのが自慢ですから、嬉しいです」

ノーザンと呼ばれたその栗毛の馬は、地上界で生きていた頃には、数多くの優秀な子孫を残していて、「日本競馬の血統を大きく塗り替えた名種牡馬」とも称されていたという。

その時、もう1頭の鹿毛馬が厩舎から姿を見せた。

鹿毛馬「ノーザン。今日はもう終わりかな?けがはないか?体調は問題ないかい?」
ノーザン「ああ、今終わったところだ。けがもないぞ、ミノル」
鹿毛馬「さっき別の女神が探していたぞ。誰だったかなぁ…」
ノーザン「誰だろう?」

ミノルと呼ばれた鹿毛の馬は、地上界での馬のレースでは連戦連勝であったが、破傷風のため志半ばで地上界を去ることになった。そんな経験からか、やたらと健康状態や負傷の有無を気にする傾向がある。

女神「もしかしたら…姉さんかも」
ノーザン「えっ…あの荒っぽく乗ってくる方ですか…あまり会いたくないなぁ…」
別の女神「荒っぽくて悪かったわね!」
ノーザン「わぁぁ?!」

別の女神(以下「長女神」と表記)から不意に声がかかり、ノーザンが慌てている様子を見て、乗っていた女神(以下「次女神」と表記)がフォローを入れた。

次女神「姉さん、スレイプニル(北欧神話に登場する8本脚の軍馬。気性が荒い)と違って、ここの子たちはみんな大人しいんですよ」
ノーザン「そうですよ、まったく…」
長女神「だって、スレイプニルしか乗ったことなかったんだもん」
ノーザン「私たちはこうして口きけるんですから、あんなに荒っぽくしなくても、言ってくれればいいのに、まったく…」
長女神「…と、こんな話をしている場合ではなかったわ。大天界長が『落ち着いたら来るように』と。」
次女神「お父様が?」
長女神「うん、以前ノーザンが出していた希望の件だって。それから、ミノルも来るようにってよ」
ミノル「僕も?!」
次女神「それなら、みんなで一緒に行きましょうか」

大天界長が待つ場所へ、女神2人と2頭の馬でゆっくり歩いていくことになった。

ミノル「ノーザン、いったいどんな希望を出したんだい?」
ノーザン「いや、別に…気になるか?」
ミノル「そろって呼ばれるあたり、もしかして僕と似たような内容じゃないかと思ってね」
ノーザン「…転生先のことさ」
次女神「以前と同じ世界線でなら他のどの生き物にでも転生できるし、人間になることも可能。また、別の世界線で馬に相当する生き物にも転生可能。それ以外の希望ということですか?」
ノーザン「はい、別の世界線で人間になって、その世界での馬に相当する生き物のために尽くしたい、と」
長女神「できなくはないと私は思うけれど、確かに前例がないわね。それで調べることになったわけね」
ノーザン「そうなんです」

それを聞くと、ミノルは少しうれしそうだった。

ミノル「それなら僕と似たようなものだな」
ノーザン「そうなのか?」
ミノル「僕は破傷風でこっちに来ることになったのだけれど、人間の立場から僕みたいな目に合う子を防ぎたい。だけど、人間と馬は意思疎通が難しいから、同じ世界では馬になろうが人間になろうが、僕と同じ目にあうことは避けられない。だから、人間と馬にあたる生き物の意思疎通が簡単な世界に行きたい、と思ったんだ」
ノーザン「そうだったのか…こうして呼ばれたということは、何か進展があったのかな」
次女神「そのあたりは、私たちの妹が調べているはずですわ。きっといい答えが出ていると信じましょう」
ノーザン「はい」
ミノル「そう願っています」
長女神「もし、できないという話だったら、どうするの?」

一瞬、ノーザンとミノルの体が震えたが、その答えは即答であった。

ノーザン「もし今はできないというのなら、できるまで待ちますよ」
ミノル「私もです」

やがて、大天界長が待つ建造物に到着した。

大天界長「ノーザン、ミノル。よく来たな」
ノーザン「お呼びいただきまして恐縮です」
ミノル「よろしくお願いいたします」
大天界長「今回呼んだのは、以前お前たちから聞いた希望についてだ。実現可能かどうか調べさせていたが、答えが出たというので、こうして来てもらったわけだ」
ノーザン「ありがとうございます」
ミノル「感謝いたします」
大天界長「では、調べた結果を…」

大天界長が言い終わらないうちに、脇から別の女神(以下、「末女神」と表記)の声がした。

末女神「あら、お姉様たちも来ていたの?」
次女神「ええ、一緒にここまで」
長女神「お話もここに来る間に2人から聞いたわ」

大天界長の前だというのに、末女神は普段通りの言葉遣いそのまま。ノーザンとミノルが不思議そうな表情をしているのを見て、次女神がフォローを入れてきた。

次女神「実は私たち姉妹は、大天界長の娘なんです。ですので、普段通りに話しているんです。お2人も少し体の力を抜いて構いませんよ」
末女神「じゃあさっそく調べた結果を言うね」

少し緊張が解けたノーザンとミノルであったが、調査結果と聞いて目が真剣になった。

末女神「まず、結論としては、別の世界線での人間になること自体は二人とも可能!」
ノーザン「本当ですか?」
ミノル「ありがとうございます」
末女神「ただし…」

可能と聞いて喜ぶ2人であったが、末女神が「ただし」といったため、少し不安げな様子。末女神がその先を続ける。

末女神「少し問題があってね…」
長女神「どんな問題?」
末女神「まず、ノーザンなんだけど、人間になったら、見た目があまり成長しないことになる」
次女神「どういうこと?」
末女神「まあ、大人になっても子供っぽい見た目、ということ。私みたいなもの」
長女神「あんたは自分が大人だと思っている子供でしょ?」
末女神「子供じゃないもん!」
次女神「まあまあ落ち着いて…それ以外の問題はないの?」
末女神「ええ、それ以外には特に問題はないわ」

ノーザンは何か考えているようだった。

末女神「次に、ミノル。人間になっても、体の能力の一部が馬のままになる」
長女神「どんな感じになるの?」
末女神「例えば、人間とは思えないスピードで走れたりとか…」
ミノル「他には問題ありますか?」
末女神「それ以外は大丈夫だったよ」

ミノルも少し考えている様子。しばしの沈黙の後、大天界長が質問した。

大天界長「娘が調べた結果は、こういうことだそうだ。さて、二人ともどうする?」

ノーザンとミノルの答えは、ほぼ同時だった。

ノーザン・ミノル「ありがとうございます。それで行きます!!」
大天界長「分かった。では後日娘たちが迎えに行くので、心の準備はしておいてくれ」

数日後(と言っても天界での数日だから、地上界ではどのくらいの年数かは分からない)、3姉妹女神と共に厩舎を出るノーザンとミノルの姿があった。

ミノル「これからどこに行くんですか」
次女神「別の世界線を担当する女神への引継ぎです」
末女神「転生自体はその世界線の女神が担当することになってるの」
ノーザン「お手間をかけますねぇ」
長女神「ノーザン、もう荒っぽくされないからいいなぁ、とか思ってない?」
ノーザン「いやいや!!思ってませんでした。言われて気づいたので、そう思うことにします」
末女神「あはははは!」
長女神「笑うなっ!!」

こんな感じで笑いを時々交えつつ話しながら進むうち、引継ぎ場所へ到着した。そこには、別の3人の女神が待っていた。

次女神「紹介します。これからあなたたちが行く世界線を担当する女神で、ゴドルフィン、バイアリー、ダーレーの3人です」
ゴドルフィン「初めまして、ノーザン、ミノル」
バイアリー「ここから先は私たちがご一緒します」
ノーザン・ミノル「はい、よろしくお願いします」
次女神「それでは私たちはここで失礼しますね」
ダーレー「はい、あとは私たちにお任せください」
長女神「ノーザン、ミノル、じゃあね!」
末女神「さよならー!」
ノーザン・ミノル「はい、ありがとうございました」

ノーザンとミノルは歩きながら、これから行く世界線の話を3女神から聞いた。この世界線では、今までの馬にあたる生き物は、人間と同じ見た目でありながら、ウマの耳と尾を持っており、別の世界線での名前を引き継いで生まれるという。

ゴドルフィン「実際に、以前あなたたちがいた世界線から、こちらで転生した方もいらっしゃるんですよ」
ミノル「人間と同じ見た目ということは、言葉も同じなんですか」
バイアリー「ええ、体の大きさもほぼ同じです」

転生後の話についても聞いたが、天界での記憶は基本的には残らないこと、ただし以前の世界での性格や、強い思いについては継承されるという。

ゴドルフィン「ですから、あなたたちのように、この世界で人間となってウマをサポートするという希望は、転生後もしっかり持つことになりますから、その点は安心してくださいね」
ノーザン・ミノル「ありがとうございます」

ノーザンが、ふと気づいた様子で質問する。

ノーザン「今度の世界では、猫はいますか?」
バイアリー「いますよ。猫は以前あなたがいた世界と同じです」
ダーレー「あ、そうそう。1つだけ言い忘れていました」
ノーザン「え、なんでしょう」
ミノル「どんなことですか?」
ゴドルフィン「今度の世界では、馬はすべて人間型の女性です。呼び方も『ウマ娘』となります」

やがて、ある建物の前に到着した。

ゴドルフィン「それでは、準備をしてまいります」
バイアリー「少しお待ちくださいね」
ダーレー「ここにはウマ娘へ転生するのを待つ他の馬がいます。ここから離れなければお話ししていてもかまいませんよ」

そう言われてみれば、周りに何頭か馬がいる。ここではまだ馬の姿らしい。ミノルは近くにいた栗毛馬に声をかけてみることにした。

ミノル「こんにちは」
栗毛馬「あなたも転生待ちですか?」
ミノル「そうです」
栗毛馬「私、レース中に骨折してしまって…こちらの世界で転生すれば、また走れるというので。いっぱい走りたいんで」
ミノル「そうだったんですか…お名前は?」
栗毛馬「スズカと呼ばれていました」

ノーザンは、積極的には話しかけず、その様子を見ながら、これからの世界に思いをはせている様子だった。

ゴドルフィン・バイアリー・ダーレー「お待たせしました。ノーザン、ミノル、こちらへお入りください」

ノーザンとミノルが、3女神に導かれて建物の中に入っていった。

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