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FOLK MUSIC OF JAPAN (岡山)
(LP FOLKWAYS FE4429 1952)

レア度:☆☆
内容 :★★★★★

ガイジン視点のインクレディブリー・ストレンジ・ミュージック決定盤といっていい本作。日頃名誉白人ぶって英米及び第三国の音楽を聴取している我々に、「辺境」とは、「モンド」・ミュージックとは何かという当たり前の前提を今一度考えさせるきっかけになるかもしれません。

カナダ生まれの人類学者Edward Norbeckが1950年から51年にかけて日本で行ったフィールド・レコーディング音源で編まれた一枚は、本来付けられるべきタイトルとしては『Folk Music Of Okayama』だったはずの奇跡的なレコード。ジャパンといいつつ 新潟のラヴ・ソング"佐渡おけさ"以外はなぜか岡山に歪で局所的なフォーカスが当てられており、日本国内を見渡しても非常に貴重どころかまさしく唯一無二の音源集となっています。

蒜山地方の盆踊り唄"大宮踊り"や北木島の"石屋節"に"糸繰唄"、神楽ファンもフリー・ジャズ・ファンもCrampsファンも必聴のインストロ・モンストロ"備中神楽"、現地系盆踊りマニアにも人気の白石島の秘境系スロウ・コア"白石踊り"等も素晴らしいですが、中でも今では完全に失われた秘宝的盆ダンス・チューン、高梁市の松山踊りの亜種である"浦島踊り"がトランスワールド・ガレージ的にヤバイにも程があります。とはいえ普通に聞いてしまえばなんのビートもないじじいと子供の掛け合いなのですが。

かつて踊り手は子供たちを中心としていた時代があったらしく、キッズ世代のダンサーへ直球のフロア受けを狙ったのか 大ネタ・フェアリーテイル「花咲か爺」や「種まき権兵衛」といった童話や民話も外題として存在していたようですが、郷土が誇るレジェンド桃太郎の地で口説かれる浦島太郎の物語が封じ込められた録音物は世界でもおそらくこの一枚だけ。全岡山県人マストでしょう。

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