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KHS-509~10

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八千代市民俗音楽シリーズ5 念仏・題目 (千葉)
(2CD 東芝 八千代市文化財総合調査団 委託制作盤 KHS-509~10 1991)

レア度:☆☆☆☆☆
内容 :★★★★★

80年代からバブル崩壊まで栄華を誇った埼玉県立民俗文化センターによるレコード事業「埼玉の民俗音楽」シリーズで中心的役割を担った斉藤修平氏が、活躍の場を千葉県八千代市に移して取り組んだ「八千代市民俗音楽」シリーズ。第4弾まではレコードでしたが、最終作となったこちらの5ではCDにフォーマットを変えています。

この当時(1988年録音)までは郊外のベッドタウンにもどうにか残っていたムラ社会の中で、一定の年齢や条件"オバアサン"になったら加入が半強制される唄集団≒念仏講。

娯楽の少なかった年寄りの自らの楽しみとしての側面だけでなく、繋がらざるを、参加せざるを得ないという不自由さの中で 土地に縛られること・閉じていることによって生まれるグルーヴというものが確かにあるのは多くの民謡とも共通するところ。ハレの場としての祭り等と違い、祝いの席がケ、日常と地続きなところにも魅力を感じます。

そもそも民俗音楽が好きなわけでも、民俗音楽ならなんでもいいわけでもないので、念仏・題目といっても仏の徳を讃え俗を祓う有り難い地の宗教音楽としての云々は一切無視して、単なるばばぁの集団による「いい声」としてのみ楽しむポスト・ポスト・モダン時代の民俗聴取。

カウベルのような軽い打音とともに圧倒的なユニゾンでラフに重なる女性の声は、BongwaterのAnn Magnusonや ART, The Only Band In The WorldのLori Montana、ChicのKimberly Davisらも参加していた Y Recordsが誇る80sマンハッタンの大所帯ガールズ・パーティ・ノー・ウェーヴ・アート・パンク・ディスコ・グループ、女性版変態Tom Tom ClubことPulsallamaを思い起こします。

完全に一致↓

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EM Recordsからの『境石投げ踊り』解説でも触れられていますが、アートワークにまで拘り「LPの大きなジャケットは今でも捨て難いと思う」等々、裏方としての斉藤修平氏の一般的な音楽好き・レコード好きの感覚が埼玉および本シリーズをより一層魅力的なものにしているというのも忘れてはならない点。

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