同人小説の言葉遣いあれそれ

 底辺字書きです(気さくな挨拶)。
 noteのログインパスワードを思い出している今のうちにせっかくだから常日頃ROMをしていて思っていることをしたためようと思う。

 同人小説、それは所詮素人が書いている文章だから細けぇことはいいんだの精神もある。しかし果たして全部が全部些事として投げ出してもいいのだろうか?
 例えばよく間違いに挙げられる“汚名挽回”。本当に間違えて使う人はいるのだ。流石に“名誉返上”は見たことはないけれど汚名挽回はいる。
 それからこれはもう一般的になりつつあるが”的を得る“。矢を当てる的を得てどうするのだ。的は射るものだ。
 一人でゲラゲラ笑うことは”爆笑“ではなく”大笑い“。爆笑は複数人でするものである。しかし待てよ、口もしくは頭が複数ある存在は爆笑でもいいのかもしれない。あとは確信犯なんかも微妙に使い方を間違えている。
 “気の置けない仲だから一緒にいると落ち着かない“。意味が真逆です。直すなら”気心が知れないから一緒にいると落ち着かない“とかだろうか。
 そしてここ2、3年で急速に増えていると感じるのは「ず」と「づ」の間違いである。以下に私がこれまで見かけた間違いを羅列しよう。

・ヅルヅル/引きづる(引き摺る。漢字から考えるべきですわ)
・うなづく(頷く。どこぞのビジネスマナーテキストで見かけておファックですわ)
・気ずく(気付くですわ)
・気まづい(ご飯が不味いのまずいですわ)
・一個づつ(新聞とかではずつを使っているけれどづつはもう殆ど市民権を得ていますわ。でもやっぱり気持ち悪いですわ)
・つまづく(躓く。こちらも漢字で考えてくださいまし)
・力づく(力尽く。これは尽くがどちらも読めるので少々意地悪ですわ。しかし商業漫画で前ページで力ずく、次ページで力づくになっていた時はせめて統一しなさいと思いましたわ)
・こずかい(小遣いですわ)
・いなづま(稲妻ですわ。これも意地悪問題ですがイナイレのロゴを脳に刻みつけたらきっと間違えませんわ)

 きつい言い方になりそうだったので思わずお嬢様が出てしまいましたわ。まだあったような気がするけどざっとこれだけ思い付く。確かに稲妻や地面のように漢字から考えても罠はある。でも作文で引きづるって書いていたら先生に赤文字で訂正されるだろう。私はいわゆるゆとり世代、なんなら唯一のフルゆとり教育でもある学年である。それでも国語のテストできちんと学んでいたように思うが、最近は違うのだろうか。
 あとはうる覚え。本当に気持ち悪い。いったい最初に間違えたのは誰だろうか。うろ覚えという単語すらうろ覚えで悲しくなる。
 さて、それからもう一つ気になっているのは無碍だ。多くの場合はこのような場面で使っている。

「荷物を持ってあげる」
 頭が隠れるくらいノートを積み上げた後輩に僕は言葉をかけた。けれども彼女は顰め面をし、僕の気遣いを無下にして職員室へ行ってしまった。

 そう、この場合使うべきは無碍ではなく無下なのである。無碍を使いたいならば後に続く言葉は無碍に“扱う”のだ。この単語のニュアンスや違いはこちらやこちらの解説を読んでくれた方がわかりやすい。

https://kurashi-memocho.com/884.html#toc8
https://metalife.co.jp/business-words/2359/#

 無碍を使いたくなる心理はなんとなく理解できる。無下よりも無碍の方が難しい漢字で字面が格好良いのだ。しかしそれで正しくない使い方をしているのは果たして格好良い文章なのだろうか。

 最後に、これもまた最近よく見るいわゆる掲示板風小説に関する話である。私は掲示板小説を書いたこともあるし、実際のとある掲示板でROMをしていたり書き込んだりしている。
 悪い例がこうだ。

0001 名無しの同人字書き
創作垢がリア友にバレそう
リア友がどうも同CPにいるっぽくて
非常に気まづいからなんとかしたい

0002 名無しの同人字書き
垢消せば?

0003 名無しの同人字書き
2>>で解決
ていうか、一つ突っ込んでいい?気まづいじゃなくて気まずいね

 どこがおかしいかわかるだろうか。そう難しいことじゃない。どこでもいいから掲示板を見たことある人ならばすぐ気付くだろう。
 正解は3のレスの付け方である。普通は>>のあとにレス番がくる。どこの掲示板でもこれが基本で、例のようにレス番の後に記号が入っているのを自分は見たことがない。
 こうなってしまう原因はおそらくPixivで創作された誰かの掲示板風小説しか読んでない人が真似をして、誰かが間違えたのを更に同じく真似をしているのが連綿と続いているのだろう。
 これはここ2年くらいROMしてるジャンルで観測しているもので、もしかしたらそのジャンルだけのものかもしれない。しかしその人がジャンル移行しても直らなければどんどんこの安価の付け方間違いは広がっていくに違いない。

 長くなってしまったが、文章を書いて言葉遣いを間違えることはきっと誰にでも起きる。偉そうなことを言ってる私もどこかで間違えていることはあるだろう。読んでいて気付いた間違いを指摘するのはスルーして欲しいと明言する人もいるから止めた方がいいが、自分の文章をより良くしたいと思うならば何かしらのツールで炙り出すのも手だと思う。私は普段使用していないが一度作った際にWordと喧嘩をしたので一太郎を購入した。二度目に本を使った際に使用したのだが、校正機能があり文章をチェックしてくれるのだ。
 この文章がほんの少しでも自分の小説の言葉遣いを見直すきっかけになってくれたら私は嬉しい。

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