持続可能な社会へ 〜ESG投資〜

GraSPPに入って一年が経ちました。周りの優秀なメンバーに囲まれて、この一年間自分なりに成長できたかな〜と思います。そこでここにこの一年受けてきた授業で僕が思う面白い内容を何回かに分けて、より多くの方に紹介できればと思います。では早速第一回「ESG投資」について書きます。

1地球温暖化対策における日本の現状

地球温暖化が深刻になる中で、国際社会では対策シナリオを描き、その中で目標達成のためのコストとして、450ppmシナリオを達成するために必要なコストはベースラインのGDPの1~4%(2030年)、2~6%(2050年)、3~11%(2100年)ということが予想されている。そこで世界各国で迅速な緩和行動が求められ、全ての技術が利用可能であることが前提である。またCCS、BECCS、原子力、風力、太陽光などの利用が進まないとコストが大幅に上昇するだとも予想されている。そして2030年の約束草案達成のための日本の費用として約400億ドル(約4兆7000億円)という莫大な費用がかかるだろうと日本側は約束している。一方で日本の政府支出は増加傾向が見込まれる。

2ESG投資とは?

そこで、日本が国際社会で約束した案を達成するために民間投資の力が必要である。民間の力を発揮させるのにふさわしいと最近提唱されてきたのがESG投資である。環境(E)、社会(S)、企業統治(G)という非財務項目を投資分析や意思決定に反映させる投融資をさす。またESG投資を牽引する国連責任投資原則は、「環境、社会、企業統治の問題が運用ポートフォリオのパフォーマンスに影響を及ぼすことが可能である」との考えがあり、ESG投資は、企業の環境配慮等を促進する契機となるほか、投融資先の企業価値の向上等を通じて、投資家や金融機関自らの長期的な収益拡大につながると考えられる。大まかにESG投資では6種類あり、ネガティブスクリーニング、ポジティブスクリーニング、インテグレーション、テーマ投資、インパクト投資、そしてエンゲージメントである。そして投資機関や投資家がESG投資をしやすいようにヨーロッパでは企業のESGへの取り組みを格付けする機関もある。

3企業のESG投資受け入れにおける課題

しかし、すべての企業がESG投資先になっているわけではない。ではなぜ多くの企業が未だにESG投資を受けられないでいるのか?僕が思う2つの課題を示したいと思う。それは「企業のESG投資受け入れ体制」と「複数省庁のESGの方向性の違い」であると思う。まず「企業のESG投資の受け入れ体制」について話したい。実際に僕の班はESG投資について東芝へ企業見学にいき、そこで東芝がESG投資先になっていない理由として言われたのが①人材不足(現状では12人しかESGの担当がいなく、この12人はESG以外にも別の業務を担当している)、②投資家とのコミュニケーション不足だった。また「複数省庁のESGの方向性の違い」という課題については、例えば今は環境省、金融庁、厚生労働省、そして経済産業省の4つの省庁がESGについて取り組んでいる。その中で4つの省庁のESGに対する見方も違い、環境省では民間資本の環境保護への投資促進を目指してESGの取り組みを実行しているのに対し、金融庁では投資環境の整備を目標として取り組んでいる。これでは各省庁がバラバラのガイドラインをESG投資家やESGの活動を取り組む企業に与え、民間でESGに対する姿勢が一致せず、混乱を招く恐れがあり、最終的にESG投資が促進されなくなる。

4課題のまとめ

ここで課題を具体的にまとめると3つあると思う。①ESG投資家の必要な情報の開示支援②長期的な視点を持った投資家と投資対象企業間の対話の環境整備③政府内での統一的なESG投資促進政策推進が挙げられると思う。

5課題の解決法

そこでこれらの3つの課題を解決する方法を提示したいと思う。①ESG投資の必要な情報の開示支援の課題背景として投資家と コミュニケーション不足もあり、投資家がESG投資をする際に本当に必要な 情報を開示することができていないという背景がある。これに対する解決法として統合報告書において、非財務情報と財務情報を結び付けて中長期的に当該企業がど ようなリスク もとにいかに成長していくかをストーリーとして描けるようにガイドライン を政府が作成することが必要だと思う。

そして②長期的な視点を持った投資家と投資対象企業間の対話の環境整備という課題の背景としては投資家 短期的利益を追求する傾向により、投資対象が長期的な持続可能性を考慮し づらい。投資家-投資対象間 対話が短期的視点になることから長期的な視点が必要 なESGについて対話が深まらず、投資対象 投資家 ESG投資に必要な情報を把握・ 開示できていないことが挙げられる。その解決の方向性として投資家が長期的な視点を持てる対話 場を作ること。ESG投資に必要な情報 を投資家と 対話によって投資対象が把握し公表することが必要だと考え、具体的には四半期報告書の廃止をすることで企業側の報告書作成負担を軽減し、投資家側にとっても短期の事由に一喜一憂することなく、長期的な視点を持てるという効果が期待できる。なお、四半期報告書の廃止からの悪影響も考えられるが、一方でEUではすでに廃止されていることやアメリカでも提出の義務が日本と比べ相当緩和されていることから、そこまで深刻な影響は出ないと思う。

さらに③政府内での統一的なESG投資促進政策推進の背景としては政府内で ESG投資に対する方向性 違いがESG投資促進を阻害している。対策としては政府内で一体となってESG投資に取り組むため、各省庁 総合調整として内閣官房にプロジェクトチームを設置することが必要だと思う。その効果としてまず、政府内で統一的な対応ができる。そして政府としてESG投資 進む方向を定めることで、投資対象も動きやすい。さらに情報の集約ができることも期待できる。

以上がESG投資を促進する上での問題点と僕の班が考えた解決策でした。ESG投資というワードは結構新しく、僕も最初はわかりませんでいた。ただ、これから持続的な社会を構築していくためにはESG投資は外せないワードだなと調べていくうちに思いました。またこれから投資家に求められるのはただ単に短期的な財務情報を読み取る力だけではなく、長期的な視点をもった非財務情報に対するアンテナだなと感じました。今ESG投資の規模を見ると欧米が6割と大きく占めており、一方で21世紀の市場とも言われるアジアでは1〜2割しかありません。そこで将来的な利益のことも考えるとますますアジアはESG投資に注目していかなければいけないのではないかと考えました。とりあえず、今回は以上です!!またESG投資について書きたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?