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25日間フィビヒチャレンジ!10日目

 全音10曲目(Op.41-Ⅰ-17)。なんだかロ長調はすごく高いところにある感じがします。大きな木を見上げて、交差する枝葉の間からのぞく空の色。時折落ちる金色の木漏れ日に目を細めます。小さな鳥が美しい声で鳴いています…というように、私の中ではこの曲は目線を上に上に向けていく印象のある曲です。空気がきれいで癒されそう。

 さて、昨日私の好きな曲に連弾ソナタを挙げたわけですが、独奏曲だとやはり「画家の習作」Op.56かと思います。絵画からインスピレーションを受けて作曲された5曲から成り、フィビヒの様々な面が表れている内容はまるで大きな万華鏡、それか虹色の水彩色鉛筆(特に5曲目なんて本当にチャーミングなの…みんな私来年きっと弾くから聴いてね…)。技術的には高度ですが、ピアニストに献呈された経緯からなのか、「気分、〜」に比べ演奏面で困ることが少ないです(ピアニスティックに書かれているというべきか…)。「気分、〜」は演奏上は平易なものでも、なんとなく無理をしていることとか、扱いにくいと感じる箇所、なぜこうなる…と思うようなことが割とよくあります(個人の見解です)。メモの役割、日記的なもので、タイトル通り素直に気分、印象と思い出を綴ったものなのかな…と思うようにしています。
 個人的にはフィビヒはアンサンブル以上の編成の方が書くのが得意だったのではないかと感じます。室内楽から大編成まで。それから、今日でもプラハでたびたび上演されるオペラももちろんですが、歌曲にも素晴らしいものがあります。
 あとこれは推測ですが、ことピアノに関しては、生涯に渡りコンスタントに作品を演奏してくれたピアニストの友人、パートナー的な存在はいなかったのではないでしょうか?フィビヒは自身もライプツィヒ音楽院でピアノをモシェレスに師事していたようなので演奏もできたでしょうが、恐らくスクリャービン、ラフマニノフ、メトネルといったコンポーザー・ピアニストのような感じではないでしょうし、やはり同時代に自分以外に作品を取り上げてくれる名手がいて熟成される書法というものもあると思いますので。フィビヒはピアノ独奏曲に関しては晩年の作品もあまりそういう要素が感じられないように思います。まあ勝手な推測に過ぎませんが…(フィビヒもまさか21世紀に日本でこんなこと言われてるなんて思わないだろうな、謝らなければ)。
 「画家の習作」は恐らくですが2021年前半開催の配信コンサートで全5曲取り上げますのでお楽しみに。

 それではまた明日!

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