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憧れのクライマー、倉上慶大

起こっては欲しくないことが起こってしまった。

僕は山岳部出身とかではなく、誰かに憧れてクライミングを始めたわけではなく、健康のために室内ジムでのボルダリングを始め、なんとなく興味の向くままあれこれやっていたらソロでのアルパイン・マルチピッチクライミングというものに辿り着いた。

そして、ソロクライミングをやっている人というのはさほど多くないため、必然的に倉上さんの記録には興味をそそられた。

だから、「憧れ」というのとは違うかもしれないけど、僕が影響を受けた数少ないクライマーの一人であり、特に最近重点的に行っていたソロでのマルチに関しては彼のノーズ ソロの記録に大きな影響を受けていることは間違いない。

クライミング業界は結構狭く、活動するフィールドも限られているので、岩場通いをしていればいつか顔を合わせることもあるんじゃないかと思っていた。レベルは全然違えど、今なら倉上さんの話を実感を伴って聞けたのに。

倉上さんのことはそれより前から「Rainy Monkey Radio」を聞いていて知っていたのだが、当時はまだソロを初めてなかったので、トップクライマーの一人くらいの認識しかなかった。
https://podcast.app/rainy-monkeys-radioyu-yuan-razio-p2325189

ポッドキャストの更新が突如止まった2021年に心臓の病気で死の淵を彷徨い、そこで本来医学的な観点から考えれば取るべき処置を敢えてとらないという選択をしたということで、客観的に考えて、同じようなことが起こる可能性があるんだろうとは思っていた。

ただ、最近は一線級で活躍し、世間的にも「病気を克服した」と捉えられている節があったので、まさかこんなすぐに起こってしまうとは思ってもみなかった。

普段の生活の中で予兆でもあれば止めただろうし、突然だったのだろう。

そこで意識を取り戻してから3日ほど、僕はひたすら考え続けました。命を守ることを優先するのか、それとも優先すべきはクライミングなのか。そう考えたときに、やはりクライミングは自分の人生に欠かせないものだと確信したんです。

https://number.bunshun.jp/articles/-/856054

すごく残念ではあるが、彼は自身の価値観に従い、自らの意思で選択をし、その人生を全うした。そして、そんな生き様を残し、触れることも近づくことすらできない「憧れのクライマー」となってしまった。

心より御冥福をお祈り申し上げます。


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