pretendするあたし

書き始められなかった便箋には
罫線だけが行儀よく並んだままだった
乱暴に置いたペンは思いのまま姿を消した
滴り滲み始めた水滴が
乾いた夜風にさらされる
きっと残ってしまうそれは
天然の刺青だとどこか言語化された
物体でも肉体でもいつかは灰と化しては
この世から失われる
だれかの記憶に
なんて執着な欲は葬っておくのが妥当だ

読み取り方を間違えた感情は暴徒化する
傷つけてしまうのではないかと恐れる先
選択の連続はエラーを起こしていく
知らずしらずのうちに
逸れていってしまうだろうと不安がった
過程に“正解”を求めるのは安直で
遠回りして寄り道して創るものだと
自覚しては虚無を繰り返し躊躇った

わかっている“はず”だったばかり
それをわかっていなかったのだと
なにも“ふり”だけでは続かないって

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