にんじん

小説を書きます

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    「湖中町の日常」

    回転 だからどうというわけではないのだが。  或る日、湖中商店街に相田佳奈という名前の女の子の姿があった。湖中町内にある公立小学校に通う三年生で、その辺の地理には通じている筈であるが、なんだか落ち着きなく首を巡らせている。時には首だけではなく体までぐるぐると回転させていた。  最初のうちはなにかを探している風でもあったが、だんだんと体を回すほうに気が向いてきたようで、視線は足元に落ちて平衡を保ちながら、限界を試そうとするように速度を上げていく。当然、通り過ぎる人々はそんな彼女

      • 「古傷」

        0.内容紹介 小学五年生の夏休み。  半年前に、遠く田舎から引っ越してきた双子の姉妹の妹・眞見沙織(マミ サオリ)は、ふとしたことをきっかけに望郷の想いを強くする。既に亡くなった祖母との確執のために帰省に消極的な母親と、面倒がって帰りたがらない姉。家から逃げるようにさまよい歩くうち、沙織は或る男の子と出会う。自分の名前を告げる時、風のいたずらに、彼に伝わった名前は「カオリ」。彼の前で演じ始めたカオリという自分の姿に、沙織は忘れていた””古傷””に導かれていく―――。小説〈湖中

        • 「人間伝」

           これはそう昔の話ではない。その人は、裕福といえないまでも、貧苦を感じることなく育った。高校までを公立校で過ごしたが、大学では私立へ進んだ。これは第一志望の国立大学を、高望みしすぎたためでもある。そこで学問に励み、修士課程へ進学し、博士課程に至ったが、急に学問に打ち込むのが馬鹿馬鹿しく感じられ始めた。持論では、学問とは徳の修養である。しかし、先輩の研究者を見るに、皆、不徳とまでは言わないものの、あまり上品でないように思われた。  中途退学した後は、一人暮らしをし、人との交わり

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            はじめてみました 小説置き場です。  まったく使い勝手がわかりませんが、少しずつ載せて行きます。