アメリカかぶれ4

バスはオークランドと言う街経由になるのでかなり時間がかかる。そのオークランドのバス停を通過した時僕はすごい看板を見つけた。RED WING SHOPと書かれた小さな店を僕は見逃さなかった。ついにずっと欲しかったワークブーツが手に入る。最後の最後でやっと出会えた。これは神の啓示かと当時の僕は確信した。でもアメリカでは労働者が履くワークブーツはサンフランシスコのような都会ではなく郊外のバス停の近くあたりにあるものだとは考えもつかなかった。サンフランシスコからの帰り道同じルートのバスに乗ってオークランドで途中下車してレッドウイングの店に入った。強い皮と油の匂いで少し気が遠くなる気がしたがそれは嬉しさのあまりだったのかもしれない。
お店のおじさんにモデル875の6インチブーツが欲しいと告げるとサイズを測る器具を持ってきて7だねと言って裏から新品のワークブーツを出してきた。履いてみると少しきつい。でもおじさんはこれがジャストサイズだと決めつけて履いているうちにフィットするからと言うのでおじさんを信じて7を買った。スニーカーとかは7.5なので7.5も試したかったけど諦めた。
50年経った今でも愛用している僕のレッドウイング6インチブーツはジャストサイズでカッコいい。



サンフランシスコからロスアンジェルスまでは飛行機で約40分ほどだ。バークレーでの2週間はあっという間に過ぎてしまった。欲しかったものはほぼ買えたけどもう残りのお金は僅かである。これからロスアンジェルス3泊ハワイ2泊はギリギリである。もう買う物もないし何とかなるだろう。

ロスアンジェルスでは1日観光がついていた。マリナデルレィでは木彫りの海賊人形を買った。次がディズニーランドである。当時のディズニーランドは乗り放題ではなくチケット制で7-8枚の綴りを渡された。平日のせいか空いていて何でも待ち時間なしで乗れた。チケットを使い尽くす頃集合時間になり宿泊のホテルに向かった。
アレキサンダーホテルはハリウッドブルーバードに面して建っていた。ほとんどクラシックホテルだ。夜は外出しないように念押しされたけど、とても出られるような雰囲気ではない。部屋のテレビをつけると「逃亡者」をやっていた。日本で観ていたやつだ。デビットジャンセンが主役のオリジナルもちろん白黒だった。それを観ているうちにいつのまにか眠ってしまった。
翌日はバークレーでお世話になったサンディの家に一緒に行った女性とルームメイトと僕の3人で行った。
ロスアンジェルスに来たらウチに遊びにおいでよと誘われていたのだ。行き方を書いた紙を頼りにバスに乗って終点のサンタモニカに着いた。そこで公衆電話でサンディの家に電話をするとすぐに迎えに来てくれた。サンディのクルマはハイウェーコースト1を北に進んでサンビセンテアベニューを右に曲がってすぐのコンドミニアムだった。学生なのにこんなすごいところに住んでいる。僕はと言えば豊島園の近くの6畳1間の風呂無しだ。この違いは何だ。やっぱりアメリカはすごい。もっと驚いたのは玄関を入ったら真っ白のシャギーカーペットが敷いてあった事だ。
慌てて靴を脱ごうとしたらそのまま上がるように言われてさらに仰天してしまった。

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