見出し画像

学校という異文化の組織

行政の教育関係に身を置いていて,今でも民間の教育関係にいる身として,神戸市の教員間のいじめ問題には,モヤモヤとする思いがある。

今日になって,病欠しているいじめ被害者の男性教諭(25)の保護者と子どもたちへのメッセージが発表された。直筆の手紙は,きれいな字でつづられていて,真面目な人柄が見て取れたし,担任した子どもたちへの思いが溢れていた。

この先生にとって,3年生から3年間受け持ってきたクラスの子どもたちの担任を自らの病休によって離れることは忸怩たる思いでしかないだろう。

文部科学省は,いじめ問題に対して,いじめ対策推進法を平成25年に制定し,いじめを定義している。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302904.htm

だが,これは生徒間のいじめの定義であって,教職員間の定義ではない。教職員ならば,厚生労働省のパワーハラスメントの提言がある。

今回のケースは,明らかなパワハラだ。

わたしが去年取得した国家資格の公認心理士でも,このパワハラについて,事前の現任者講習会では,厚労省の「あかるい職場応援団」というサイトを見て勉強しておくように!という,お達しがあった。

わたしもさらっとは見たけれど,法規に関する設問をほぼほぼ,放棄していたので,深くは読んでいなかった。わたしは,産業カウンセラーじゃなくて医療の臨床心理士だから,医療分野はいいけど,産業はわかんないし。と,消極的だった。

そもそも,スクールカウンセラーとして学校に派遣された場合,教職員からの相談は,多重関係になるのでアウトだ。スクールカウンセラーは,生徒やその保護者のカウンセリングの関係,クライエントと関係のある学校関係者とのコンサルテーションの関係は業務であるけれど,学校関係者の個人的な問題についての相談は受けられない。

この場合,もし,自身が学校内でパワーハラスメントを受けているという相談が先生があったら,どうすればいいか。あかるい職場応援団のサイトを案内し,窓口にそうだんせよ,と言えばいいのだろうか。

実際,わたしがスクールカウンセラーとして勤務していた時,このような多重関係になりそうな相談を受けたり,上司から「先生たちの話も聞いてあげてくださいよ」なんて,声をかけられて,困惑した。

「大学院を出たての若い姉ちゃん」であっても,新任教諭の離職率の高さ,ベテラン教諭の時間外労働の多さなど,従来の学校というシステムがもう立ち行かず疲弊していることは見て取れた。

だから,今回の学校もその疲弊した学校という特殊システムが少なからずも関係しているだろうし,この学校だけの問題ではないと思われる。なぜ,このような異常な事態に陥っていたのか,原因究明をし,保護者や生徒の不安を静めてもらいたい。

正直,同じ小学生の子どもを持つ親としてはこんな学校に通わせたくないし,心理士としてはなぜこのような状況を黙認していたのか,そのシステムのひずみを分析したくなる。まぁ,緊急支援という,このような緊急の事件が起きた場合,教育委員会からチームが派遣され,生徒や保護者のケアがなされるのだけど(実際,すでに弁護士などが派遣されている)。

スクールカウンセラー時代,守秘義務があるからここには書けないけれど,「あれれ」のような学校の職員室の内情があった。わたしも,職員室が大嫌いで,職員室の机にいる時間を減らしたいなぁ,なんて,思っていたこともあった。

管理職は3年単位で変わり,管理職が変わると学校のシステムもまた変わるので,教頭派VS校長派なんて派閥もあったり,派閥間の静かな抗争もあったり,部外者として週1回組織外から学校組織に入る日は,朝から気が滅入った時もある。あまりに,学校は異文化だったし,大きすぎたのだ。

なんてことを,新聞を読みながらつらつら思った。あの頃は,毎朝,地方版を見て,子どもたちが事件を起こしていないかチェックすることが日課だったっけな。










論文や所見書き、心理面接にまみれているカシ丸の言葉の力で、読んだ人をほっとエンパワメントできたら嬉しく思います。