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憂いのオイルサーディン #夜更けのおつまみ

お酒を飲むという行為に異常にはまっていた時期がある。

25歳〜28歳くらいまでの3年間は週2日必ず地元のBARに通っていた

これも1つの偏愛と言えるのかもしれない。

その頃の僕は仕事もうまくいかず、自分自身のことも見つめずただくすぶっていた。

だからそこで出会う色んな人々に救われて僕は生きていた。

そこで出会った人たちとは今でも個人的に飲みに行くほど仲良くさせていただいている。

そこのBARで僕は本格的にウイスキーというものを覚えた。

体質に合っているのかウイスキーだけはどんなに飲んでも美味しく酔わずに飲める。

これは今でも変わらない。

ただその頃の僕は飲む量が尋常ではなかった。

40度以上あるウイスキーをロックでひどい時は7〜8杯近く飲んでいた。

それでも酔ったという感覚はない。

何かを紛らわしたくて。

見つめない理由にしたくて。

僕はウイスキーに頼っていた。

もちろんその後、身体にも財布にも響いては来た。

そんな頃に家でよく作っていたおつまみがある。

オイルサーディンのチーズ焼き

もちろんそんだけ通っていてそんだけ飲んでいれば金もなくなる。

でも飲むことをやめなかった僕はせめてつまみは食べようという浅はかな考えでこのレシピを編み出した。


何も考えずに家にあるものだけで作れるつまみはないか。

最初はそのままオイルサーディンを食べていたがすぐに飽きた。

そしてこのレシピにたどり着いた。

作り方はカンタン。

まずはたまねぎを刻む。

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適当に雑にただ包丁を動かす。

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どこにでも売ってるあのオイルサーディン。

少しだけ缶を開けてオイルを半分ほど捨てる。

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そこに玉ねぎ、ニンニク、チーズ、レモン汁、オリーブオイルをかける。

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それをトースターで焦げ目がつくまでしっかり焼く。

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この組み合わせでキッチンでタバコを吸いながらずっとハイボールを飲む。

そんなことを繰り返していた。

先日久しぶりに作って食べたがひどく懐かしかった。

でもあの頃とは少しだけ味わいが違った。


最近の僕は「楽しそうだね」と言われることが増えた。

それはうれしいことだし、すこしこそばゆい。

もちろん認識もあるし、このオイルサーディンを一人で食べて黙ってウイスキーを飲んでいた頃に比べれば大きな変化をしている。

あの頃の僕がどう見えていたか知見のある方に聞くと

「ふわふわ浮いているみたいに歩いていた」

と言われた。

なるほどと思う。

写真なんかでも僕は大きく変化していて20代の写真は面白いほどに笑えていない。

目も虚。

引きつった笑顔。

ただ立ってるだけ。

そんな写真ばかりだ。



今は家でほとんど酒は飲まない。

飲みに行く回数も圧倒的に減った。

酒を求めていないのだと思う。

体調も昔に比べれば良くなった。


久しぶりにこのレシピを作ってそんな少し昔の自分と久しぶりに再会できた。

あの頃のレシピはこんな形でみんなに見てもらえたよ。

ありがとう。

少し悲しくて、でも懐かしい。

オイルサーディンの赤いパッケージを見ると僕はそんなことを思う。

読んでいただきありがとうございます。もし気に入っていただけたらサポートをおねがいします。今後の感性を磨くための読書費や学びへの費用とさせていただきます。