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ニューヨークとタバコ、お酒

アメリカは禁煙社会で、どこもかしこも喫煙ができない、と聞いていた。夫がスモーカーなので、アメリカに来たら苦労するんだろうな、と思っていた。しかし、そんなことはなかった。

確かに屋内、公共交通機関、公園の敷地内、ビーチ、遊歩道などが禁煙とされている。自分の私空間である、アパートの部屋内もダメだ(電子タバコでさえ)。タバコの箱にも「Smoking Kills」という単刀直入なフレーズが、でかでかと書かれている。一見、四面楚歌のように思える。

しかし、逃げ道もしっかり用意されている。ビルの外、25フィート(=7.62m)より外側であればOK。ビルの脇には喫煙コーナーが設置されていたりする。ハイラインのような散策道ではない、車の走る道路に接した歩道もOK。道路にはポイ捨てされたタバコが沢山落ちている。。歩きたばこしてる人もいるし、吸っている人に対する憎悪の目も特にない(あくまで個人の自由は尊重されている感じ)。…なんだ、最近の日本とほぼ同じで、全然吸えるじゃん。むしろ人の目を気にしなくて良い分、吸いやすいのでは、という印象である。

他方、お酒に対しての方が不寛容のように思える。レストランの屋外テラスやカウンターを除いて、外で飲むのはNG(公園ピクニックでもダメ)だし、持ち歩くときも見えないように袋に入れるのが一般的だ。(2000年にレジ袋が有料化されたためか、袋に入れないで持ち歩いている人を見たことがあったが、とても奇異に見えた。)…私がかつてアメリカ留学をしていた時に、(日本に留学経験のある)アメリカ人の友達が次のように教えてくれた。「お酒を大量に飲んでパーッと騒いで、ができるのは大学生の間だけ。社会人になって、同じことをしたら大人としてありえない、と思われる。だから日本みたいにおじさんたちが泥酔して道端に倒れこんでいるなんて光景はない。」当時は学生街に住んでいたため、一般のビジネス街の事情を確かめることはできなかったが、実際、今ニューヨークに住んでみて観察すると、友達の言っていた通り、そういう大人は見かけない。夜、駅のホームや駅周辺でふらふらしたり、倒れこんだりしているのは、お酒で酔っているのかドラッグでおかしくなっているのか(多分後者)という様子のホームレスさんか明らかな不審者ばかりだ。

自由の国といえど、こうした面で、規律ある部分もある、というのは面白い。他にもないか、観察の目を凝らしてみようと思う。

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