注意深く見回さないと危険!~ニューヨークの交通慣習
マンハッタンは南北に長く、歩いて移動できる距離ではない。その分、様々な移動手段のオプションがある。…地下鉄、タクシー、ウーバー/リフトなどのライドシェア(NYに来る前まではライドシェアは他の乗客との相乗りサービスだと思っていたが、専用で利用するのが一般的だ。ドライバーに対するユーザーの5段階評価がついているので誘拐の恐怖感はない)、バス、レンタサイクル。道路はなかなか危ない。
まず第一に、歩行者は赤信号でも、車の往来がないと信号を無視して横断するのが一般的だ。脇にパトカーが待機していても、気にせず信号無視を貫く人たちもいる。車は車で、信号無視して渡る歩行者に対して寛容さのかけらもなく、スピードを緩めずに交差点へ侵入してくる。
その歩行者の感覚で赤信号を突進してくるのが自転車だ。コロナ禍でも他人との接触を避けつつ移動を可能にする、利用者急増のレンタサイクル、City Bike。近頃のユーザーは観光客ではなく住民なので、ニューヨークを闊歩する感覚で信号を無視し、そして他人を見ていない。
これもまたコロナ禍の影響で需要が大幅に増えたレストランの配達サービス。配達には主にモーター付き自転車が使われる。彼らは基本的には赤信号では止まる人たちが多いが、そうでない人もいる。高速なので急に止まれない。結果、こちらが注意してないと事故に遭う。
そして自動車は運転が荒い。ある意味、技術が高いのか、向こう見ずなのか、少しの隙間があったら割り込んでくるし、逆に車線変更したがっている車を入れてあげたりしない。運転席の中に入っていて、他者との距離にワンクッションあるからか、クラクションをガンガン使う。交差点を歩いていても、歩行者の横断を待たずに目の前を曲がってくる車もある。アグレッシブな街、ニューヨークの姿を見事に投影している。
思うにこれは、運転サービス関連の仕事が、来てすぐの移民でも簡単に就ける職だからだろう。タクシーやウーバー然り、デリバリー然り。出身国の交通慣習をそのままニューヨークに持ち込んでいるのだと思う。古くから住む移民たちも引けを取らない運転感覚を養って、今のニューヨークの交通慣習が形成されていく。
ロンドンに住んでいたときは全く逆だった。車は歩行者に対して譲って待ってくれた。車線変更をしなくてはいけない時も、ほぼ100パーセント入れてくれた。クラクションもほとんど使われない。ロンドンのタクシー免許は取るのが難しい。ロンドンの地図を完璧に頭に入れていないと合格できない。移民がまず初めに就こうと思う職ではない。道路上でも、マナーと心遣いのロンドナーのスピリットが崩れにくいのではないか。(ウーバー普及で変わるかもしれない?)
ともかくも、郷に入りては郷に従え。外に出るときには、注意深く左右を見回してから道路を渡る毎日である。
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