URC系アーティストについて(後編)はちみつぱい、西岡恭蔵、溶け出したガラス箱

前回↓ の記事に引き続き


今回もURC系アーティストについて語っていきます。

「URC系」と言っていますが、ベルウッドレーベル系も含んでます。高田渡、はっぴいえんど、加川良など、URCとベルウッドの両方でアルバムをリリースしています。高田渡さんのベルウッド時代に出した三部作(『ごあいさつ』『系図』『石』)の方が、URC時代の作品よりもずっと充実しています。

はちみつぱい
はちみつぱいははっぴいえんどの「弟分」として語られるバンドです。名前のひらがな表記も雰囲気が似ています。
鈴木慶一率いるムーンライダースの前身バンドで、アルバム『センチメンタル通り』しか残していませんが、日本のロック史において非常に重要な作品の一つです。

アルバムタイトルがセンス抜群ですね。
ザ・バンドやフェアポート・コンベンションを日本語ロックとして昇華させたような作品で、叙情的で刹那的な歌詞が素敵です。駒沢さんのペダルスティールが強く効いており、ザ・バンドやフェアポート・コンベンションにはペダルスティールは使われていないので一層、独自性を引き出してます。
曲は少し長めであり、サビらしきメロディもあまりないため、はっぴいえんどよりも取っ付きにくいかもしれませんが、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』のような噛めば噛むほど味が出てくるサウンドです。
『センチメンタル通り』だけでなく次作の『火の玉ボーイ』も併せて聴くべきかもしれません。『火の玉ボーイ』はティン・パン・アレイ風サウンドが少し感じられます。

西岡恭蔵
西岡恭蔵さん大好き。
彼の叙情的で温かみのある声とサウンドには、今もなお惹かれ続けています。
今でもヘビーローテーションで聴いています。

ファーストアルバム『ディランにて』も良いのですが、少し大味で未完成な感じがあるので、
真に聴くべきはセカンドの『街行き村行き』です。
細野晴臣プロデュースであり、はちみつぱいのメンバーも素晴らしい演奏をしています。名曲揃いで日本のポップス史に残る名盤。細野さんもベースとして参加しており、はちみつぱいと一緒に演奏するのはレアです。

次のアルバム『ろっかばいまいべいびい』も素晴らしい。前半では鈴木茂率いるハックルバックによるファンキーな演奏が聴けて、後半ではフォーク調のアレンジで、細野さんのプロデュースが光ります。

タイトル曲『ろっかばいまいべいびい』のカバーも最高で、西岡恭蔵さんのバージョンは特に群を抜いて良いです。
彼のアコースティックギターの技術は素晴らしく温かみがあるボーカルは唯一無二です。書いているうちに、また彼の声が聴きたくなってきた。

溶け出したガラス箱
溶け出したガラス箱は、木田高介、西岡たかし、斉藤哲夫のユニットでアルバムも同名の一枚のみ。

ジャケはアレだけど、内容は最高。
アシッド・フォークというか、プログレッシブフォークといった感じで、ジャケットからは大味な感じが予想されるが、完成度の高いサイケアルバムに仕上がってる。

このアルバムは20年ぐらい前から何度も聞いた。

サウンドのベースは、フォークロックぽいが、曲によってはビブラフォン、フルート、オーケストラが入っていたり多種多様な音楽性を感じる。

西岡たかしは、五つの赤い風船の中心メンバーで、五つの赤い風船は、カレッジフォークぽい爽やかなイメージがあるが、実は実験的な人なんだということが垣間見える。
全曲(ドラムが入っていない曲もある)、木田高介がドラムを叩いていて、ジャックスの時のような、らしさが出てる名演がたくさんある。

洋楽、邦楽の他のアーティストを含めて、どれにも似ていない唯一無二のサウンドになってる。
サブスクでも、海外の人に聞かれているのはないか?

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