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電動アシスト付き自転車を大阪から東京まで貨物列車で運ぶといくら掛かるのか?

 ご覧いただいているみなさんこんにちは。

 鉄道が好きな方なら一度は見たことがあるYouTuberさん、東京から大阪までご自身が乗ってきた電動アシスト付き自転車を、大阪貨物ターミナルから東京貨物ターミナルまで貨物列車で運んでもらうという動画があったのを、皆さんご覧になられたのではないかと思います。超有名なYouTuberさんなので、駅構内であれだけの動画の撮影を許可されたのではないかと思いますが、私を含め一般の人があの企画をしようと思っても難しいのではないでしょうか。貨物列車実況YouTuberの私としては非常にうらやましい限りです。

 ところで、あの電動アシスト付き自転車を運ぶのに運賃がいくらかかったのか、結局は公表されていないですね。当然通運会社さんとの契約運賃なので公開することはないと思いますが、これから実際に貨物列車輸送を行ってみたいという企業さんからすると、運賃がいくらかかるのか気になるところだと思います。

 今回は、大阪から東京まで荷物を運んだらいくらくらい掛かるのかを計算してみたいと思います。当然正式に掛かった運賃は分かりませんが、算出の仕方も含めてお話しできればと思います。
 なお、以下に記載している金額は、私の経験から算出したものになります。このYouTuberさんやJR貨物さん、通運会社さんへの問い合わせはしないようにお願いします。また、以下に記載してある金額をSNS等で発信されることもご遠慮ください。

①鉄道貨物輸送の仕組み

 まずは、運賃はどのように算出されるのかを説明します。貨物列車で荷物を運ぶ際の運賃を知りたい場合、JR貨物さんではなく鉄道利用運送事業者さんに依頼をします。鉄道利用運送事業者は以前は「通運会社」といい、コンテナなどを用いた鉄道貨物輸送で荷主から配達先まで貨物を取り扱う運送業者ことを指します。つまり、鉄道輸送の部分は自社で行わないが、JR貨物さんのサービスを利用してコンテナを運ぶ運送会社さんを指します。

 発送側の鉄道利用運送事業者さん(以下、「発通運」と記載)は、自社で掛かる集荷費用、JR貨物さんに依頼する鉄道運賃、到着駅から配達先までコンテナを運んでもらう鉄道利用運送事業者さん(以下、「着通運」と記載)の費用、その他梱包などに掛かる諸費用を計算し、見積を発行します。日本通運さんなど全国に事業を展開されている企業だと重量当たりいくらとか、体積当たりいくらとか、独自の計算方法があるのかもしれませんが、一般的には上記の合計金額になります。

 荷物の発送が決まり発通運さんに集荷日時と場所、配達先と日時を伝えると、その時間に集荷にやってきます。貨物列車の予約や着通運さんへの依頼は発通運さんがやってくれます。現在ではJR貨物さんの「IT-FRENS&TRACEシステム」で一元管理されていて、発通運さんが配達先と日時をシステムに入力すると、空いている貨物列車の予約と着通運さんへの指示が自動でできるようになっています。このシステムが稼働したことにより、コンテナにつけられていた「コンテナ荷票」が廃止されました。このシステムにはトレース機能があり、荷物を積んだコンテナが今どこの駅のどの場所にある、もしくはどの列車の何両目のどの位置に積載されどこを走っている、という情報もリアルタイムに分かるようになっています。

 さて、では実際に運賃を計算してみましょう。今回は、冒頭の電動アシスト付き自転車を運ぶ運賃に加えて、「金沢城から江戸城まで年貢米を運んだ際の運賃」というのも計算してみたいと思います。私貨物ジャーナルが住む石川家金沢市は「加賀百万石」と呼ばれていましたので、年貢米を荷馬車ではなく当時なかった貨物列車で運んだらどうなるのかを算出してみたかったという思いもありますが、それとは別に2パターン用意する必要があったので、このような内容にしてみました。詳細はこの先の文章に記載しておりますので、ぜひご覧ください。では早速見てみましょう。

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